海保と自衛隊「有事の協力不可欠」 防衛力を補完

海保と自衛隊「有事の協力不可欠」 防衛力を補完
防衛を考える・有識者提言(3)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA255XT0V21C22A1000000/

『政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」がまとめた報告書は有事の海上保安庁と自衛隊の協力態勢の重要性を説いた。これまで防衛費の枠外に位置づけてきた海保を「防衛力を補完する」ものと位置づけた。

報告書は軍事的な圧力を強める中国を念頭に「有事における防衛相による海上保安庁への統制、それに基づく海保と自衛隊の連携も極めて重要な課題だ」と指摘した。

自衛隊法第80条は有事に「海保を防衛相の統制下に入れることができる」と規定する。報告書が念頭に置くのは海保と自衛隊が共同で活動する際の「統制要領」の策定だ。

海保と自衛隊は歴史的に距離があり、統制要領の内容は詰まっていなかった。日本が侵攻を受ける「武力攻撃事態」を想定した共同訓練も実施していない。岸田文雄首相は11月28日の衆院予算委員会で「政府内で既に作業に着手した」と言明した。

背景にあるのが中国船の動向だ。2021年に海警法を施行し不法侵害と判断した場合には武器の使用など必要な措置をとる権限を中国海警局に付与した。

中国海警局の船舶は尖閣諸島の領海やその周辺で連日航行する。海保が中国公船を日本の接続水域内で確認した日数は21年で332日だった。12年の91日と比べると4倍近くに増えた。

報告書は「シーレーンの安定を確保する上で海保による法執行活動も死活的に重要」とも記した。「補完する総合的な防衛体制の強化の適切な連携が確保されるようにすべきだ」との考えを示した。

日本は輸出入の99%以上を海上交通に頼る。直接的な武力行使でなくともシーレーンが封鎖されれば甚大な経済的被害に遭いかねない。政府は予算枠組みでも海保を新たな防衛費と位置づける。

明治学院大の鶴田順准教授(国際法)は「外国船が尖閣諸島に上陸する事態を想定すると、現在の海保と自衛隊の連携体制で十分に対処できるとは言いがたい」と話す。

いわゆるグレーゾーン事態に対応するためにも「外国船の権利侵害行為に自衛隊が対処できるよう海保と役割分担を事前に明確にしておくべきだ」と主張する。

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