ウクライナ軍、迫るレッドライン ロシア核使用の懸念も

ウクライナ軍、迫るレッドライン ロシア核使用の懸念も
編集委員 高坂哲郎
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM291TH0Z21C22A1000000/

 ※ 『ロシア軍がこれらを使用する地点として考えられるのは、①ウクライナ軍が今後つくるドニプロ川東岸の橋頭堡や西岸の補給拠点②同軍がヘルソン州南部のクリミア半島付け根部分まで前進した場合の兵力集積地③オデーサなどの黒海沿岸都市の沖合洋上(威嚇目的の核爆発)――などだろう。』…。

 ※ オイオイ、ホントか?

 ※ そんなことしたら、自軍もモロに巻き込まれてしまうんじゃないのか?

 ※ 「戦術核」と言っているが、爆発の規模は、「ヒロシマ型」の5倍とも言われているぞ…。

『ウクライナでは、侵攻中のロシア軍が戦力を南部から東部に再配置し始めたことで、今後の戦闘の焦点は東部に移るとの見方が浮上している。ただ、ウクライナ軍は東部だけでなく、南部でも反転攻勢を続けており、ロシア軍が南部で大きな後退を強いられれば、化学兵器や小型核兵器といった大量破壊兵器の使用に踏み切る事態がかつてなく現実味を帯びそうだ。

ロシア軍は11月、南部へルソン州のドニプロ川西岸から部隊を撤退させ、東岸地域で防衛線を構築している。同時に、後退させた部隊の一部を東部戦線に振り向けたことで、東部地域で攻防が激化するとの見方が多い。

ただ、主戦場が東部に限定される保証はない。ウクライナ軍は9月以降、南部にロシア軍主力を引き付けたうえで、東部で一気に占領地を奪回してみせた。一方、現在はロシア軍が東部を重視していることで、南部でのロシア側の守りは手薄になっている。
ロシア軍によって破壊されたドニプロ川にかかる橋(ヘルソン)=AP

ウクライナ軍にとって9月と状況が異なるのは、南部での前進を阻むドニプロ川という地理的障害があることだ。ただ、これまでの戦闘でもウクライナ軍は渡河作戦を実施しており、ロシア軍がウクライナ軍のドニプロ渡河作戦を警戒しているとの情報もある。仮にウクライナ軍が東岸に橋頭堡(きょうとうほ)を築ければ、そこを起点に障害が比較的少ないヘルソン州南西部を経てクリミア半島の付け根部分まで短期間に進出する展開がみえてくる。

一方、そこはロシア軍にとってはレッドライン(越えてはならない一線)で、「過激な反応」を誘いやすい。これには二つの事情がある。まず、ロシア軍が2014年の電撃侵攻の成果であるクリミア半島を失う可能性が出てくる。これが現実になると、ロシア国内の厭戦(えんせん)気分や、強硬派によるプーチン政権への突き上げが強まるのは避けられない。もう一つは、ロシアの中長期的計画が狂うことだ。「ロシア軍はヘルソン州からさらに西に支配地域を広げ、モルドバを制圧することで、ウクライナを海への出口を持たない内陸国にしてしまうことを企図している」(防衛省情報部局関係者)。できれば、目下の戦闘を膠着状態に持ち込んだ上で、今後数年間かけて軍を再建し、14年、22年に続く3度目となる次回侵攻でウクライナの内陸国化を果たしたいと考えているわけだ。その意味でも、ロシア軍はドニプロ東岸(へルソン州南部)を失うわけにはいかない。

ただ、ロシア軍は既に10万人前後の死傷者を出しているもようで、新たに動員した新兵らの能力や士気も低いままだ。南部でウクライナ軍の足を止められる手段があるとすれば、まずは通常兵器だが、破壊力が大きな「気化爆弾」や、放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」、それでも効果がなければ国際社会の反発を覚悟の上で、化学兵器や、爆発力が限定的な小型核兵器を実戦使用する形で戦闘をエスカレートさせる可能性が大きくなる。

ロシア軍がこれらを使用する地点として考えられるのは、①ウクライナ軍が今後つくるドニプロ川東岸の橋頭堡や西岸の補給拠点②同軍がヘルソン州南部のクリミア半島付け根部分まで前進した場合の兵力集積地③オデーサなどの黒海沿岸都市の沖合洋上(威嚇目的の核爆発)――などだろう。

ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用をほのめかす(モスクワ郊外)=ロイター

ロシア軍の大量破壊兵器使用の可能性に関しては、米軍を基幹とする北大西洋条約機構(NATO)軍の直接介入を招きかねないことから、多くの西側の安全保障専門家が「ロシアが合理的に考えるならば、使用は控えるはず」との見方を示している。

ただ、プーチン政権に本当に合理的な思考力があるのであれば、そもそも2月のウクライナ侵攻はなかっただろうし、開戦後の不本意な戦況をみて停戦に動き出していたはずだ。「大量破壊兵器の使用には合理性がない」との西側安保専門家の思考には「使ってほしくない」という願望バイアスが働いているようにみえる。「史上3回目の核の実戦使用」という考えたくない展開を、頭の片隅に置くことが必要になってきたのかもしれない。

[日経ヴェリタス2022年12月4日号掲載]

日経ヴェリタス https://www.nikkei.com/theme/?dw=20062208 』