中国の国営食料品店、アリババに迫る売上高 有事備えか

中国の国営食料品店、アリババに迫る売上高 有事備えか
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『【北京=羽田野主】中国で、食料や日用品を実店舗で扱う国営の「供銷社」が売り上げを伸ばしている。2021年の売上総額は前年比19%増の6兆2600億元(約120兆円)で、インターネット通販の巨人アリババ集団の8割に迫った。習近平(シー・ジンピン)指導部が国主導の流通網の強化に向けて支援していることが一因だ。紛争など有事の際にも食糧を安定供給する狙いがあるとの見方が出ている。

供銷社は農家から農産物を買い上げて流通させており、日本の農協に似たところがある。国の機関である中華全国供銷合作総社が管轄する。

北京市中心部の朝陽区団結湖地区。外国人も多く住むこの地域に10月、供銷社が開店した。11月平日の午前中に訪れると店内は中高年の買い物客でにぎわっていた。「きょうは大根がほかのスーパーより安い。ここの野菜はどれも形がきれいね」。40代の女性客は笑顔で話した。

入り口のポスターには、特売品ではなく「共産党に従い、共産党とともに歩む」とのスローガンが並ぶ。外壁には「供給を保障します」と書いてある。店内は普通のスーパーだが、部分的に国営色が色濃く出ている。

供銷社は建国直後の1950年に誕生した。農産品や日用品の配給が滞らないように党と政府が流通統制を敷いたのが誕生のきっかけで、改革開放前の計画経済時代には食品や日用品の主な流通経路だった。
壁面に描かれた供銷社の宣伝(北京市、2022年11月)

改革開放後は民間小売業に押されて衰えたが、近年はじわじわと復活している。

特に習氏が党トップに就いた2012年以降に拡大が加速し、21年の売上総額は12年比2.4倍に膨らんだ。21年の伸び率は19%で、中国全体の小売売上高の伸び(12%)を上回る。

好調の一因はゼロコロナ政策だ。外食を減らし、自炊する人が増えたことが追い風になっている。

習指導部も拡大を後押ししてきた。21年に出した重要文書で「農家の生産・生活にサービスを提供する総合的プラットフォームを整備せよ」と号令をかけた。

22年の共産党大会前には中国各地で供銷社の復活が相次いで示された。省幹部が「政治業績」としてアピールする狙いがあるとみられる。

湖北省の地方紙、湖北日報によると、同省内の供銷社は14年に一時696カ所とピークの1984年(1800カ所)の4割以下に落ち込んだが、21年末までに1373カ所まで増えている。

ネット通販も含め民間小売業が全盛の時代に、なぜ国営商店なのか。北京市の有名大学の教員は「将来起こりうる『危機』に備えて食糧供給が滞らないように準備している可能性がある」と指摘する。

習指導部が「公約」に掲げる台湾統一に武力を用いた場合、米国が中心となって対中国の「経済封鎖」に乗り出す可能性はぬぐえない。仮に食糧不安が起きれば共産党体制を揺るがしかねない。供銷社を通じて流通網への国の関与を強めることが有事の備えにつながるとの見立てだ。

中国の穀物自給率は公式統計では95%と高いが、実際には7~8割との見方もある。豚の飼料に欠かせない大豆など大半を輸入に頼る穀物もある。

供銷社は中国が貧しかった計画経済時代の「象徴」ともいえ、中国の庶民は供銷社に複雑な感情を抱く。北京市出身の50代の男性は「子どもの頃、親が食糧配給切符をもって供銷社で農産物を受け取っていたのを思い出す。あの頃に逆戻りしているようだ」と語る。

人口が2千万人を超える北京市では民間の大手スーパーがしのぎを削る。安くて鮮度の高い野菜を売る市場も残る。「国営商店が前面に出てくる事情がわからない」と首をかしげる市民も少なくない。

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