マスク氏率いる米新興、ヒトの脳に小型デバイス計画

マスク氏率いる米新興、ヒトの脳に小型デバイス計画
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0128V0R01C22A2000000/

『2022年12月1日 17:30

【ラスベガス=白石武志】起業家のイーロン・マスク氏が率いる米新興のニューラリンクは11月30日、脳とコンピューターをつないで情報をやりとりする小型デバイスを半年以内にヒトに移植する臨床試験(治験)を始める計画を明らかにした。脳卒中の後遺症で体が不自由になった患者らが、装置を介してコミュニケーションすることなどを目指している。

ニューラリンクが開発中の技術は「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」と呼ばれる。専用ロボットでヒトの頭蓋骨の一部を切り取って硬貨ほどの大きさのデバイスを埋め込み、脳の信号を読み取って外部と無線通信することを目指している。

サルを使った実験では脳に埋め込んだデバイスを介して簡単なテレビゲームを操作することなどに成功したとしている。その後にサルが死んだことが判明して動物愛護団体などから批判を浴びた。ヒトへの治験開始に向けた米食品医薬品局(FDA)との協議は順調に進んでいると説明している。

ニューラリンクでは脳のほかにも、脊髄などに埋め込むデバイスの開発を進めていることも明らかにした。30日にオンラインで開いた技術説明会に登壇したマスク氏は「脊髄を損傷した患者が全身の機能を回復することも可能だと確信している」と述べた。

BMIは大学などを中心に長年研究が続けられてきた分野だが、マスク氏が2016年にニューラリンクを設立して本格参入したことで後を追う企業が相次いでいる。ベンチャーキャピタル(VC)などからの投資も拡大し、実用化に向けた開発が加速している。

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最相葉月
ノンフィクションライター
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別の視点

脊髄損傷からパーキンソン病、認知症、自閉症、精神疾患まで、彼らがターゲットとする病はとても幅広いです。ロボット手術で開頭してデバイスを埋め込むわけですから様々なリスクが想定されますが、早晩、被験者は現れるでしょう。医療は、同じ病や障害に苦しむ人のためには自らを差し出すこともいとわないという患者たちの勇気と自己犠牲の精神によって進歩してきました。このデバイスを埋め込んだ人が会社で働いたり、パラリンピックで活躍したりする日もくるでしょう。
2022年12月1日 20:59

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竹内薫
サイエンスライター
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分析・考察

「脊髄を損傷した患者が全身の機能を回復することも可能だと確信している」。これが実現できれば、まさに夢の技術といえるでしょう。ブレイン・マシン・インターフェースは、われわれホモ・サピエンスの「生き物としてのデジタル化」において、きわめて大きな役割を担うと考えています。マスク氏は常に話題を集めるとともに、その分野に大きな投資を呼び込むことができるので、研究開発が一気に進む可能性があります。
2022年12月1日 19:24

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岡島礼奈
ALE 代表取締役CEO
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別の視点

ちょうどこの中継を見ていたのだけれど、イーロン・マスクが、
”Prototype is easy, production is hard.”といっていたのがとても印象的であった。
月に行くというアイディアは簡単なんだけど、実際に月に行くのは難しい、とも続けていた。テスラ・SpaceXを手掛けるイーロンの言葉が身に染みた会見であった。

ちなみにこのデバイスはロボット手術により自動で埋め込まれるらしい。そしてそれにかかる時間がたったの15分とのこと。まだこれに手を出す勇気は出ない、、
2022年12月2日 23:59

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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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分析・考察

BMI、ブレインマシンインターフェイスは日本も含めて永らく研究が進んでおり特に医療向け用途のそれが顕著であるが、その殆どはいわゆる非侵襲タイプ、つまり頭皮などに何らかのデバイスを接触させて脳内の電極を読み取り出力デバイスに活かすものである。本件はいわゆる侵襲タイプ、つまり脳みそ直付けで接触するものでありそのタイプにおいては世界最先端を走っており人体での本格的治験は世界初だろう。但しサルにおける実験も一定の成果を見たものの結果としては成功したとは言い難く、仮に人体実験に進んだとて実用化までには今後年、十年単位のロングランゲームとなるだろう。
2022年12月1日 18:57』