カナダ外相「中国に対抗」 日本と機密情報共有も

カナダ外相「中国に対抗」 日本と機密情報共有も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3009W0Q2A131C2000000/

『【ニューヨーク=斉藤雄太】カナダのメラニー・ジョリー外相は日本経済新聞の単独取材で「中国が国際秩序を尊重しなければ、対抗していく」と語った。カナダで中国への脅威論が高まっていることも念頭に、インド太平洋地域の経済安全保障で日本などと協力関係を深める考えを示した。

北大西洋条約機構(NATO)の外相理事会に参加するため訪問したルーマニアの首都ブカレストで11月29日、電話取材に応じた。

カナダ政府は11月、インド太平洋地域における経済・外交の包括的な戦略を発表した。最初の5年間で約23億カナダドル(約2342億円)を投じて、同地域でのインフラ整備や気候変動対応、カナダからの天然資源輸出などを推し進める。アジアの高成長を自国の成長につなげるとともに、安保面でもアジア各国との連携を進めて中国をけん制する狙いがある。

ジョリー氏は「第2次大戦以降、国際規範が我々の安全や国益を守ってきた。これを尊重する必要がある」と強調した。新戦略では「中国はますます破壊的でグローバルな力を持つようになった」と指摘。同氏はこの理由として、東シナ海や南シナ海、台湾海峡などで中国が軍事的な圧力を強めていることを挙げた。国際秩序が脅かされたと判断すれば「中国に挑戦していく」と述べた。

台湾海峡では、米軍の艦船とともにカナダ海軍のフリゲート艦が同海峡を通過する行動を複数回起こしている。同海峡は国際水域ではなく、自由な航行は許されないと主張する中国を強くけん制する動きだ。ジョリー氏は「カナダ軍の仕事は重要であるだけでなく、我々のパートナーや同盟国からも評価されている」と指摘した。

一方、中国とは「対抗すべき時には対抗し、協力すべき時には協力する」との考えも示した。気候変動への対応や核兵器の拡散防止、新型コロナウイルスの感染予防など保健分野の取り組みを例示し、利害の一致する地球規模の課題では協力するという。

日本との関係については「すでに良い友人だが、我々は最高の友人になることを望んでいる」と話した。ビジネス面では「重要な鉱物資源(の輸出)やクリーンエネルギー、人工知能(AI)、テクノロジーなど様々な分野で協力関係を深めることができる」とみる。2025年にはカナダ西海岸のブリティッシュコロンビア州で日本企業も参加する液化天然ガス(LNG)プロジェクトの生産が始まり、日本へのLNG輸出が活発になるとの見通しを示した。

ジョリー氏は「安全保障の協力でも間違いなくもっとできることがある」と語った。同氏の10月の来日時には、安保上の機密情報を共有しやすくする「情報保護協定」の締結に向けた交渉開始で合意している。

カナダは米国や英国、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国で機密情報をやり取りする枠組み「ファイブ・アイズ」のメンバーだ。参加国の情報機関は互いに通信の傍受施設を共同活用する。日本が米英などと締結済みの情報保護協定をカナダとも結べば、機密情報のやり取りでより緊密な連携が可能になる。

ジョリー氏は北朝鮮による度重なるミサイル発射にも言及。「この困難な状況で日本をより一層支援したいと考えている」と述べた。

「カナダはこれまでインド太平洋地域における信頼できるパートナーとはみられていなかったが、新戦略をてこにより多くの外交的関与ができることを期待している」とも話した。日米豪印による協力枠組み「Quad(クアッド)」に加わる可能性については明言を避けつつ、「4カ国すべてと良好な関係を築いており、話し合いを持つことに常に関心を持っている」と語った。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Indo-Pacific/Canada-ready-to-challenge-China-increase-Indo-Pacific-role-minister2?n_cid=DSBNNAR 』