防衛省、2027年度までを目処に最大500発のトマホーク購入を検討中

防衛省、2027年度までを目処に最大500発のトマホーク購入を検討中
https://grandfleet.info/japan-related/defense-ministry-considers-purchasing-up-to-500-tomahawks-by-2027/

『防衛省、2027年度までを目処に最大500発のトマホーク購入を検討中

噂されている日本のトマホークの導入について読売新聞は30日「防衛省は2027年度までを目処に最大500発の購入を検討しているが、製造能力の問題もあるため購入規模は変動する可能性がある」と報じている。

参考:トマホーク最大500発購入へ、反撃能力の準備加速…8年前に購入の英は65発190億円

2027年度までに500発という日本の需要にレイセオンが応えるためには年間生産数を2倍程度に引き上げる必要がある

日本は反撃能力を確保するため国産巡航ミサイル(12式地対艦誘導弾・能力向上型)の開発を進めているが、実用化は早くても2026年度以降になると予想されているため、早期に反撃能力を確保する一貫として米国からのトマホーク導入が噂されていたが、読売新聞は30日「防衛省は2027年度までを目処に最大500発の購入を検討している」と報じている。

出典:令和4年度版防衛白書 12式地対艦誘導弾・能力向上型

さらに日本メディアはトマホーク導入について艦艇運用だけでなく陸上運用や潜水艦運用の可能性も指摘しているが、トマホークの現状は以下の通りだ。

トマホークの最新バージョンは2021年に米海軍が調達を開始したトマホークV(移動する水上目標を攻撃可能なBlockVaと地上目標の破壊により適した弾頭を備えるBlockVbが存在する)で、新規調達と平行して既存のトマホークIVをトマホークVにアップグレードしており、現時点でトマホークを新規調達しているのは米海軍と米陸軍(MK.41を流用したロングレンジウェポンの実用化に向けて米海軍が調達しているのを融通してもらっている)しかなく、レイセオンの年間製造能力は154発(2022会計年度発注数)に過ぎない。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Jason C. Swink/Released

さらに水中発射に対応したトマホークもVLSバージョンと魚雷発射管バージョンは完全に別物で、米海軍は魚雷を保管する弾庫容量(ロサンゼルス級/弾庫容量26発でバージニア級/弾庫容量38発)の関係からシーウルフ級を除く攻撃型原潜にVLSを搭載しているため魚雷発射管バージョンのトマホークを現在調達しておらず、このバージョンをもっとも最近取得した英海軍も調達を終えているため魚雷発射管バージョンの生産ラインは閉鎖済みだ。

アップグレード予定のコリンズ級潜水艦にトマホーク統合を検討中のオーストラリアでも「魚雷発射管バージョンの再生産にレイセオンが応じてくれるのかがネックだ」と指摘されており、もし日本とオーストラリアが魚雷発射管バージョンのトマホークを共同調達するなら数量が確保できるためレイセオンが再生産に応じてくれるかもしれないが、日本の潜水艦は米国製の戦闘管理システムや魚雷発射管を採用していないため統合に手間がかかるかもしれない。

出典:Royal Australian Navy

読売新聞も米国の製造能力の問題もあるため購入規模は変動する可能性があると指摘しているように、2027年度までに500発という日本の需要にレイセオンが応えるためには年間生産数を2倍程度に引き上げる必要があり、サプライチェーンが供給する部品やコンポーネントの生産量引き上げ、手作業に近い組み立て作業に必要な作業者も増やさなければならず、短期的な需要=2027年度以降も日本がトマホークを継続購入する意思がないのならF-15J改修の時と同じように「高額な対策費」を請求される可能性がある。

2%に増額される予算を背景に「生産量引き上げに必要な設備投資も日本がカバーする」というアプローチで行くなら「2027年度までに500発購入」も実現可能かもしれないが、ウクライナ侵攻で発生した莫大な需要をカバーするため欧米諸国が産業界に働きかけても遅々として増産が進まないのは防衛産業企業も株主が存在する民間企業=過剰な設備投資や余剰生産力を抱えるの嫌うためで、仮に生産量の引き上げに応じてもリードタイムは必ず年単位で発生するだろう。

出典:U. S. Navy photo by Petty Officer 1st Class Stephen J. Zeller, fire controlman/Released

勿論、調達のプロである防衛省(もしくは防衛装備庁)はそのあたりの事情を踏まえた上で「2027年度までに500発購入」という数字をはじき出しているので何らかの算段や確証があると思われるが、これがどのような目論見があるのかは今のところ見当もつかない。
管理人が思いつくのは退役→非武装化が予定されている旧型のトマホークIII(何発あるのかは不明)を米海軍から買い取り、寿命延長プログラムを施して導入するという方法ぐらいだ。

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 ※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Sunderman/Released』