北朝鮮、ICBM実戦段階へ おとり・地下隠しで奇襲も

北朝鮮、ICBM実戦段階へ おとり・地下隠しで奇襲も
情報戦駆使、日米韓かく乱
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM11BBH0R11C22A1000000/

『北朝鮮が11月18日に発射した新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を内外に宣伝している。国営メディアの記事や写真からは北朝鮮が一貫して「奇襲能力」の確立を目指していることがわかる。軍事技術の進展に加え、それをさらに大げさにみせる情報戦も駆使して日米韓をかく乱しようとしている。

新型ICBM「火星17」型の発射台、第321号に「英雄」の称号を授与――。北朝鮮の朝鮮中央通信は27日、こんな記事を流した。韓国メディアは「人物以外に称号を与えるのは例がない」(聯合ニュース)と注目した。

北朝鮮はなぜ「発射台」をたたえたのか。北朝鮮がこの1週間前に公開したミサイル発射の写真にヒントがある。

北朝鮮メディアが公開した、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験とされる写真(18日、平壌)=朝鮮通信

北朝鮮が18日に撃ったICBMは高度6000キロメートルまで上昇し、日本の排他的経済水域(EEZ)にあたる日本海に落下した。翌日公開された写真のなかに、広大な敷地からミサイルが上昇する様子をとらえた1枚がある。

米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)はこの写真の場所を衛星写真との比較から、首都平壌・順安空港の民間滑走路と軍用滑走路の中間地点と分析した。ミサイル関連施設から6キロメートルほど離れているという。

世界最大級のICBM「火星17」は液体燃料を入れると重量が100トンに達し、移動は容易ではないとの見方があった。VOAの分析では3月にICBMを撃った際はミサイル施設から800メートル程度しか動かしていなかった。今回はわざわざ遠くまで運び、撃ったことになる。
米韓は衛星や偵察機で北朝鮮のミサイル発射拠点を監視する。攻撃兆候を捉えて発射台を打撃できるようにするためだ。発射台に動かれると打撃の難度は上がる。

権容守(クォン・ヨンス)前国防大教授は「空港内に陣地をつくり、動きながら発射する作戦運用を試した」とみる。「陣地のなかでミサイルと同じ形のものを一緒に動かせば相手をかく乱できる」と指摘し、おとりを使い米韓の先制打撃を阻止する戦術を採る可能性に触れる。

移動式発射台を「TEL」という。北朝鮮はこれまでもTELの移動能力を活用し、実戦にみたてた奇襲作戦を試してきた。今回の発射のやり方はICBMが試験から実戦段階に移行しつつあることを裏付ける。

27日の朝鮮中央通信はミサイル技術者らが金正恩(キム・ジョンウン)総書記に宛てた手紙の内容も伝えた。金正恩氏に「発射台の自走」や「地下発射場の準備」を教示され、完成をめざしたと記されている。地下に隠したICBMの発射も研究しているようだ。

奇襲戦を意識した発表はこれまでもある。9月には貯水池から短距離弾道ミサイルを飛ばす写真を公表した。これも発射地点を読みにくくさせる新たな戦術だ。

一方で発表が常に正しいかは分からない。11月2日に大量のミサイルを発射した際、北朝鮮は弾道ミサイルなどに加え、日韓に近い海域に「2発の戦略巡航ミサイル」を撃ち込んだと発表した。落下地点の緯度と経度まで掲載した。

韓国側は巡航ミサイルを探知したとは公表していなかった。もし低高度を複雑な軌道で飛ぶ巡航ミサイルが韓国側の探知網をくぐり抜けたのなら、奇襲能力の高さを示したことになる。

韓国国防省は「韓米の監視・偵察の結果、北朝鮮の主張は事実と異なる。探知はしていない」と認めなかった。北韓大学院大の金東葉(キム・ドンヨプ)教授は「事実というより、今後はこういうこともあり得るという強いメッセージだろう」と分析する。

虚偽の情報で相手を不安にさせることを「欺瞞(ぎまん)作戦」などと呼ぶ。偽情報も使い敵対勢力を混乱させるのもひとつの戦術だ。

こういった相手との戦争を抑止するには探知、迎撃、反撃に多くの軍事資源が要る。日本が反撃能力を持てば米韓と協力できる場面は増える。有事も想定しながら情報連携を緊密にする必要がある。

(安全保障エディター 甲原潤之介)

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