米共和党候補「トランプ離れ」で混沌 24年大統領選

米共和党候補「トランプ離れ」で混沌 24年大統領選
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『米中間選挙で共和党が大勝を逸した「戦犯」となったトランプ前大統領。いち早く2024年次期大統領選へ出馬を表明したものの、求心力は陰った。共和党はこのまま「トランプ離れ」に向かうのか。党内予備選に候補が乱立すればトランプ氏は有利となるだけに、出直しは難路が続く。

「トランプ氏は間違っている。謝罪すべきだ」。ペンス前副大統領は28日、米ニュースネーションの番組に出演し、白人至上主義者ニック・フエンテス氏と会食したトランプ氏を非難した。アーカンソー州のハッチンソン知事も27日、米CNNに「過激派に力を与えてはいけない」と語った。2人は共和党から24年大統領選への出馬を模索する。

8日投開票の中間選挙で共和党は野党有利の経験則を生かせず、連邦議会下院の多数派を僅差で奪取したものの、上院の支配を握ることに失敗した。敗因は20年大統領選の敗北を否定し、勝利以外の選挙結果を拒む過激なトランプ主義への嫌悪感だ。

共和党の候補を決める予備選では強硬保守層が支持するトランプ系候補が強さを発揮した。逆に本選では穏健な保守層や無党派層が離れ、ネバダ、アリゾナ、ペンシルベニアなど上院選激戦州でトランプ系候補が敗北。ジョージア州は12月6日の決選投票にもつれ込んだ。

予兆はあった。「まだ2年ある。これから考える」(21歳の大学生)。中間選挙直前のペンシルベニア州。トランプ氏の支持者集会で24年大統領選の対応を尋ねて回ると「トランプ氏に投票するとは決めていない」と話す有権者が思いのほか目立った。

メディア王、ルパート・マードック氏傘下の米保守系メディアは「反トランプ」にカジを切る。ウォール・ストリート・ジャーナルはトランプ氏を「共和党の最大の敗者」と断じ、大衆紙ニューヨーク・ポストはトランプ氏が大統領選出馬を表明した翌16日、1面に「フロリダ男が発表、記事は26ページに」と1行だけ載せた。

「前を向く指導者が必要」(ポンペオ前国務長官)、「真剣に検討する」(ヘイリー元国連大使)。ペンス氏らに加え、トランプ政権時の主要メンバーも相次いで24年大統領選への出馬に意欲を示している。

最も勢いがあるのはフロリダ州のデサンティス知事だ。24年の対応を明言していないにもかかわらず、トランプ氏はあだ名を付けてこき下ろし、最強の敵として意識する。

米ハーバード大学政治研究センターなどの16~17日の調査によると、いま共和党予備選があればトランプ氏を支持するとの回答は46%、デサンティス氏は28%。10月の前回調査からトランプ氏は9ポイント低下し、デサンティス氏は11ポイント上昇した。トランプ氏の娘イバンカ氏は父の選挙戦に関与しないと明言した。

もっとも、トランプ氏を落ち目とみて党内予備選が乱戦になれば、トランプ氏が有利となる。いまも岩盤のようなトランプ信奉者を抱えるからだ。

米プロレス団体の殿堂入りもしているトランプ氏は大勢が一斉に戦うバトルロイヤルを好む。執拗な悪口で敵を攻撃し、信奉者もそれをショーのように楽しむ。デサンティス氏はまだその洗礼を浴びていない。「副大統領候補との連合の組み方で構図は一変する」(共和党関係者)ものの、予備選をトランプ氏が勝ち抜き、24年本選で再び共和党が勝ちを逃す悪夢再来のシナリオは消えない。

トランプ氏は白人至上主義者のフエンテス氏を「知らなかった」と釈明した。今世紀半ばに米国の人口の半数を割り込む白人層の「主流派からの転落への恐れ」を「保守」への支持に仕立て直すのがトランプ氏の選挙戦術だった。トランプ離れを探る共和党は、トランプ流に代わる保守結集の戦略をまだ描けていない。

(ワシントン支局長 大越匡洋)

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米中Round Trip https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?me=B001&n_cid=DSREA_roundtrip 

米中間選挙2022 https://www.nikkei.com/special/us-election?n_cid=DSREA_2022usmidterm 

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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ひとこと解説

トランプ前大統領が精細を欠いているとはいえ、2024年の大統領選挙に出馬表明したことは、大統領選挙を目指す多くの共和党の政治家にとって脅威だと認識されているはずです。トランプの岩盤支持層をどう取り込むのかというのが課題です。2016年のように、ライバルにニックネームをつけて、トランプ支持者とともにエンターテイメント感覚で、相手を徹底的にこき下ろす手法が知られている以上、ライバルたちがどのような対抗手段を取るのかが共和党の予備選の注目ポイントでしょう。もしトランプ大統領が予備選で勝ち残らなければ、バイデン大統領の存在意義も薄くなり、民主党も乱戦となる予兆があります。
2022年11月30日 8:39 』

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