中国、外国弁護士参加に反発 香港の司法に介入へ

中国、外国弁護士参加に反発 香港の司法に介入へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2841V0Y2A121C2000000/

『【香港=木原雄士】香港の李家超(ジョン・リー)行政長官は28日、中国に香港国家安全維持法(国安法)の解釈を要請すると表明した。国安法裁判に外国弁護士の参加を認めた香港終審法院(最高裁)の判断を見直す可能性が大きい。中国が国安法裁判に介入するのは初めて。香港の司法制度の独立性が一段と後退する。

終審法院は28日、2021年に廃刊した香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏の裁判で、英国弁護士ティモシー・オーウェン氏の参加を認める決定を下した。黎氏が「外国勢力との結託」を問われた事件で、司法当局や親中派はオーウェン氏の参加に反対していた。

李氏は中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会に外国弁護士参加の可否をめぐる法解釈を要請すると説明した。「香港には外国弁護士が利益相反を起こさずに守秘義務を守り、外国政府からの圧力に屈しないための有効な手段がない」と述べ、国安法裁判から外国弁護士を排除すべきだとの考えをにじませた。

香港は「一国二制度」のもと、コモンローと呼ばれる法体系を採用する。外国籍の裁判官が存在するほか、英国などコモンローの地域に拠点を置く外国弁護士も裁判所の許可があれば公判に参加できる。

司法当局は国安法がコモンローとは異なる法体系だと主張。親中派は外国人の参加によって「国家機密漏洩などの問題が生じる恐れがある」と訴えた。中国政府系メディアも黎氏を中国本土で裁判にかける可能性を示唆し、外国弁護士の参加を強くけん制していた。

李氏は28日の記者会見で「外国勢力との結託は海外で起きやすく、気づきにくい」などと主張。「外国は香港問題に干渉し続けている」と語り、外国弁護士の排除を正当化した。

中国は19年の大規模な民主化デモを受け、香港立法会(議会)を通さない異例の手法で国安法を制定した。同法の規定によれば、同法の解釈権は全人代常務委が持つ。ただ、終審法院の司法判断を簡単に覆せば、司法制度の信頼性に傷が付きかねない。

中国本土と異なる香港の司法制度は外資系企業を呼び込む際の重要な要素になっていた。トラブルが起きても、透明なプロセスで裁判が期待できるためだ。国安法のもとで中国が香港の司法制度に介入する懸念が現実になった。』