中国、予備役を迅速動員 待遇改善で人員確保へ新法草案

中国、予備役を迅速動員 待遇改善で人員確保へ新法草案
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM108SU0Q2A111C2000000/

『2022年11月28日 20:03

【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は軍の予備役の待遇などを規定した「予備役人員法」の草案を公開した。国の動員令の発動後、予備役は一定時間内に指定地点に到達することを求め、違反した場合の罰則も盛った。法律で待遇を保障することも明記し、人員確保にもつなげる。

習氏は10月の共産党大会での活動報告に「国防動員と予備役部隊の建設を強める」と明記した。同時に台湾の統一について「武力使用の放棄を決して約束しない」とも述べ、武力統一も辞さない姿勢を強調した。

仮に台湾に侵攻する場合、中国は短期決戦を念頭に置いているとされるが、ロシアによるウクライナ侵攻のように長期化する可能性もある。今回の法案は仮に軍事作戦が長期化しても兵員不足に陥らないように予備役を充実させる狙いがあるとみられる。

法案は現行の「予備役軍官法」を衣替えした新法となり、軍の指導機関である中央軍事委員会がまとめた。10月下旬に開いた全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会で初回の審議を終えた。11月29日までの意見公募を経て、さらに審議を重ねる。

予備役は「習近平の強軍思想」を徹底し、必要に応じていつでも戦争に参加し、祖国の防衛にあたるように定めた。共産党への忠誠も義務付けた。

法案は予備役を退役軍人や専門技術を持つ人材から選抜すると規定した。予備役には党の政治教育や軍事訓練などの参加を定めた。予備役の所属する会社や団体には、予備役が招集に応じたことで解雇したり昇進を遅らせたりすることを禁じた。

地方政府の関連部署は予備役の選抜や補充を巡る情報を軍に報告するように求めた。動員時には交通機関が予備役を優先的に輸送することも盛り込んだ。いずれも有事に迅速に予備役を動員することが狙いとみられる。

一方、給料や手当、医療面での優遇など待遇保障も盛った。予備役の待遇向上を法律でも後押しすることで、予備役を集めやすくする狙いだ。

中国では志願兵を中心に不足分を徴兵する仕組みをとるが、最近は高学歴の若者は公務員や民間企業に流れる。「一人っ子政策」をとってきた中国では親も万一の事態を恐れて子息を軍に入隊させたがらない傾向がある。

ウクライナに侵攻したロシアは9月、兵士不足を解消するために予備役を対象に30万人を追加動員した。これにより中国では予備役がさらに敬遠されるとの懸念が出ていた。』