ポーランド国防省がメディアに明かしたK2やFA-50を調達する理由

ポーランド国防省がメディアに明かしたK2やFA-50を調達する理由
https://grandfleet.info/european-region/reasons-to-procure-the-k2-and-fa-50-that-the-polish-ministry-of-defense-revealed-to-the-media/

『2022.07.24

ポーランド国防省の報道官は現地メディアに「韓国からK2やFA-50を調達する理由」を尋ねられ、K2PLは我々が保有するレオパルト2PLよりも優れており、FA-50PLの性能はF-16と大差ないと答えて注目を集めている。

参考:TYLKO U NAS. Dlaczego Korea Płd.? Jaką wersję FA-50 otrzymamy? Agencja Uzbrojenia: Możliwościami niewiele będzie odstawał od F-16

ポーランド国防省から見た韓国製のK2やFA-50の評価、装備調達の決定はスペックの優劣だけで決まらない

ポーランド陸軍の戦車戦力はレオパルト2ファミリー(レオパルト2A4、2A5、2PL/M1)とT-72ファミリー(T-72M1、T-72M1R、PT-91)の2系統で構成されているが、これを最終的にM1エイブラムスとK2の2系統に更新する予定で「K2PLはM1A2よりも軽量だが非常に近代的で、我々が保有する全てのレオパルト2より性能が優れている。さらにレオパルト2導入で実現できなかった技術移転や産業パッケージを取得できるため国内の戦車製造能力も再構築できる」と報道官は明かしている。

出典:Gov.pl/CC BY 3.0pl レオパルト2PL

ドイツはレオパルト2に関連した技術移転を制限したためポーランドはレオパルト2PL/M1開発で困難を経験したが、韓国はK2PLに関する完全な技術移転を約束しているので「ポーランド産業界は軍の要求要件に合致した戦車を生産できるようになり、ポーランド製の部品を採用した保守パーツを自ら製造して供給できるようにもなる」と述べており、次期主力戦車調達計画「ウルフ・プログラム」で目指していた国内での戦車製造に合致したのがK2だという意味だ。

今月27日に調達契約を締結する180輌のK2(韓国陸軍モデル)は2024年までに引き渡される予定で、国内製造するK2PLはウルフ・プログラムに提案されていた「ポーランド製コンポーネントの採用」「装甲の強化」「約10トンの重量増(60トン以上)に対応するための転輪追加」「アクティブ防護システム(APS)装着」などの変更を加えたポーランド陸軍モデルで、2025年までに製造準備が整うと現代ロテムは主張(ウクライナ侵攻以前の話)していた。

出典:PortalMilitarny.pl K2PL

つまりK2PLの開発タイムラインが現在も有効なら、2024年までに180輌調達とは別に『2030年まで400輌調達する(300輌追加で計700輌という噂もある)』という部分がK2PLの国内製造を示唆しているのだろう。

さらにFA-50の調達理由について報道官は「FA-50をF-35Aを比較するのはF-35AとF-16を比較するようなもので何の意味もないが、FA-50の調達コスト(調達単価ではない)と運用コストはF-16の約半分に過ぎず、同機の開発にロッキード・マーティンが関わっているためFA-50とF-16は80%の共通性がある。勿論、現行のFA-50は最大離陸重量、搭載されるアビオニクスの性能、統合された兵器の種類でF-16に劣るが、開発中のBlock20=FA-50PLの性能はF-16と大差がない」と述べている。

出典:한국항공우주산업

韓国航空宇宙産業(KAI)はSeoul ADEX 2021で正式にFA-50のアップグレードバージョン=Block20の開発を発表、窒化ガリウム技術で製造された韓国製レーダー、大型コックピット用ディスプレイ、電子戦システム、目標照準ポッド、新型の戦術データリンク、空対地巡航ミサイル(JSM、SOM、KEPD350-2、国産巡航ミサイルなどが統合候補に上がっている)、視界外空対空ミサイル、密着型増槽/CFT、空中給油能力などの統合が予定されており、KAIはジェーンズに「軽攻撃バージョンFA-50を真のマルチロール戦闘機に進化させる」と語っていた。

つまりMiG-29とSu-22の後継機=対地攻撃任務重視(純攻撃機という意味ではない)で採用するためF-35Aのようなステルス性能を求めておらず、F-16と比較して機体性能が多少劣っても調達コストと運用コストが安価で、F-16並な攻撃兵器が統合されるBlock20=FA-50PLはポーランドにとって十分魅力的だったという意味だろう。

出典:Rob Schleiffert / CC BY-SA 2.0 ポーランド空軍のF-16

さらにFA-50PLを選択した「もう一つの理由」は保守パーツ供給の多様化だと述べており、NATO全体を巻き込むような規模の軍事的な対立が発生すれば「加盟国だけで何千機も運用しているF-16の保守パーツ需要は急激に増加し、米国は需要を満たすだけの保守パーツを供給できなくなる可能性がある。ここに韓国が製造するFA-50PLを加えることで空軍の航空機運用に弾力性を持たせることができる」と考えているらしい。

装備調達の決定はスペックの優劣だけで決まるものではなく「その他の要素は国によって様々」なので、ポーランド国防省から見た韓国製のK2やFA-50の評価には興味深いものがある。

因みに「K9は完璧だがK2やFA-50の調達には疑問がある」と主張するポーランドの軍事アナリストも存在する。

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 ※アイキャッチ画像の出典:Norsk hær K2NO/한국항공우주산업 』