フランス大統領「停戦協議を」 日本と「原子力で協力」

フランス大統領「停戦協議を」 日本と「原子力で協力」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS17DUZ0X11C22A1000000/

『【バンコク=村松洋兵】フランスのマクロン大統領は17日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に参加するために訪れたバンコクで日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ(FT)の共同インタビューに応じた。ロシアによるウクライナ侵攻について「平和と戦争終結を求めなければならない」として、停戦協議を呼び掛ける考えを表明した。

【関連記事】

・マクロン氏、インド太平洋関与強化 「平和と安定」貢献
・フランス大統領「中国、対ロシア圧力に役割」 一問一答

マクロン氏はロシアによるウクライナへの攻撃でインフラが破壊され、日々市民の被害が膨らんでいると指摘し「停戦協議と終戦、ウクライナの主権回復を呼びかける必要がある」と強調した。ウクライナへの支援を継続し、12月には同国の越冬対策に関する国際会議をパリで開く予定だ。

マクロン氏は侵攻当初から西側諸国の窓口として、ロシアのプーチン大統領と意思疎通を試みてきた。この日も侵攻を「国際法違反だ」と非難する一方で「プーチン氏と対話のチャンネルは維持している」として、停戦交渉への調整に意欲を見せた。「状況が整えばウクライナとロシアが交渉のテーブルにつくと期待している」と述べた。

ロシアを含め多国間の対話を重視するのは、「持続可能な解決策」が対話から生まれると信じているためだと説明した。インドネシアのバリ島で16日まで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は国際法の順守や核兵器の使用に反対する首脳宣言を採択し「平和への明確な呼びかけができた」と評価した。

特にG20に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が出席し、首脳宣言を支持したことは「大きな意味があった」とし、ロシアと深い関係を持つ同国が停戦協議に貢献できるとの見方を示した。中国は「ロシアに対して圧力をかける役割を担っている」と指摘した。
ポーランドへのミサイル着弾については原因を巡る論争を避けるべきだとし、事実関係の検証を待つ姿勢を示した。「我々は米英独とともに、原因究明支援のための専門家チームの派遣をポーランドに提案している」と明らかにした。

米中が覇権を争うインド太平洋地域についても「地域の平和と安定に役割を果たせる」とし、同地域への関与を深めることに意欲を示した。仏領ポリネシアやニューカレドニアなどの仏領土を例示し「この地域のパートナーであり、明確なプレーヤーだ」と強調した。
日本が欧米諸国と協調してロシアに制裁を科していることについて「日本は国際法の擁護者だ」と評価した。日本と産業分野で協力を強化する考えも明らかにした。「技術やエネルギー、特に原子力で協力を深めたい」と語った。

そのうえで2023年5月に広島市で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)において「新しいロードマップ(行程表)に署名し、新たな協力関係を構築するための2国間協議を行うだろう」と述べた。日仏両政府は19年に安全保障や経済、科学技術など幅広い分野で協力関係を深める23年までの行程表を策定している。

ルノー・日産見直し「政治化すべきでない」

マクロン氏は仏ルノーが日産自動車と進める企業連合の見直しについて「政治化すべきでない」として、介入はしないと明言した。経営陣の決定を尊重するとしたうえで「(企業連合の)安定性や具体的な協力、持続可能な未来を生み出す案がよい」との考えを示した。

日産が経営危機を脱したのは企業連合の大きな成果だとも強調。カルロス・ゴーン被告の事件を念頭に「数年前にガバナンス(企業統治)の危機を経験した」とも述べた。

そのうえで「今は新しい時代の幕開けであり、実りの多いものにすべきだ」と強調した。自動車産業について「気候変動、規制の変更、競争の激化などにより、強いプレッシャーにさらされている」との見方を示した。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

吉田徹のアバター
吉田徹
同志社大学政策学部 教授
コメントメニュー

ひとこと解説

批判はあるものの、マクロンのフランスは依然としてロシアとの交渉、停戦への道筋をつけることを諦めていないという姿勢だ。

プーチン体制を駆逐するわけにはいかず、かといってウクライナを永遠に支援し続けるわけにもいかず、アメリカに仲介役は期待できないのであれば、フランスがその役割を担う、という現実的な外交指針と言える。

ちなみにインタビュー全文では、アジア地域における対立の緩和とそれへのフランスの支援が強調されており、APEC会合での財界へのスピーチでも同趣旨のことを述べている。こうした点では一方でマクロン外交の「理念重視」の姿勢がみてとれる。

現実的観点と理想的観点が混在しているのが大統領の持ち味だ。

2022年11月19日 0:26

伊藤さゆりのアバター
伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
コメントメニュー

別の視点

EUの統合推進役を担ってきた仏独の関係は、ガス価格上限設定問題や安全保障体制強化の進め方などの見解の相違もあり、ギクシャクしている。

メルケル前首相に比べ、ショルツ首相は3党連立政権の難しさもあってか、事前の根回しが不十分という印象を与えているようだ。

フランスは、米豪英のAUKUSでは、メンツを潰された感があったが、英国と共にインド太平洋国家のステークホルダーとしての意識がある欧州の国。

英仏関係は、EU離脱もあり遠心力が強まっていたが、同年代、投資銀行家としての経験、経済政策の考え方など共通項が多いスナク首相とは良い関係が築けるのではないか。政治サイト・ポリティコの見立てだが興味深い視点だ。

2022年11月18日 21:18』