G20首脳宣言、ロシア「異論併記」主張 採択へ調整続く

G20首脳宣言、ロシア「異論併記」主張 採択へ調整続く
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『【バリ島=竹内康雄、地曳航也】インドネシアで15日開幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は、首脳宣言の採択に向けて調整が続いた。事務レベルで合意した文書案にはロシアのウクライナ侵攻を批判し、核兵器の使用を認めないことが盛り込まれた。ロシアは自国への批判に異論があることを併記するよう求めている。

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「テーブルを囲む多くの首脳と同じように、欧州連合(EU)はこの戦争を非難する」。食料とエネルギーをテーマにしたG20の最初のセッション。フォンデアライエン欧州委員長は、ロシアのプーチン大統領に代わって出席したラブロフ外相の前で力説した。

ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオ演説で「平和は地球規模の価値だ」とロシアを除いた「G19」の首脳にウクライナを支持するよう求めた。ラブロフ氏はゼレンスキー氏の演説を聞いた上で、ロシアの侵攻の正当性を主張。会合後、同国メディアに「非常に敵対的で攻撃的だった」と演説内容を批判した。

出席者によると、ほぼすべての首脳がウクライナ侵攻に端を発するエネルギーや食料危機といった影響に触れた。ロシアへの反発を示すように、G20サミットでは恒例の開幕時の集合写真の撮影が見送られた。インドネシア政府関係者によると、ラブロフ氏は15日の昼食会を欠席した。

ウクライナ問題でG20メンバーは事実上、主要7カ国(G7)に代表される西側諸国と、対立するロシア、そして新興国を中心とする中立国の3つに分かれる。西側の対ロシア制裁と距離を置くインドのモディ首相は「停戦と外交の道に戻る道を探さなければならない」と特定の国の責任に言及することなく呼びかけた。

サミットの焦点の一つは、首脳宣言を採択できるかどうかだ。G20はサミットを前に閣僚級の会議を重ねてきたが、各国の対立から全参加国の同意を必要とする共同声明を採択できず、議長の裁量でまとめる議長総括にとどめるケースが続いた。

議長国のインドネシアはG20での首脳宣言を取りまとめることにこだわっている。ジョコ大統領は15日の冒頭演説で「世界を2つに分断すべきではない」と訴えた。G20サミットは08年の初会合以降、首脳宣言を採択しなかった例はない。

首脳の補佐役を務める「シェルパ」は14日、首脳宣言案の合意にこぎ着けた。日本経済新聞が入手した文書案によると、ロシアによるウクライナ侵攻を「戦争」と明記。核兵器の使用を認めず、平和的な手段での解決を目指すことが盛り込まれている。

ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求めた国連総会の決議に触れることで、ロシアを非難する。モディ氏が9月にプーチン氏に伝えた「いまは戦争の時ではない」という言葉も盛り込む。サプライチェーン(供給網)の寸断やインフレといった世界規模の悪影響をもたらしていると懸念を示す。

ロシアにとっては厳しい文言が並ぶ。ウクライナとの戦いで劣勢に立たされていることで、ほかの新興国への働きかけが奏功しなかったと見る向きもある。

宣言案が採択されるには首脳による承認が必要だ。ロシア側はシェルパレベルでは宣言案を受け入れており、サミットでの対応にかかっている。ラブロフ氏は15日、ロシアメディアに「異なる意見があることを盛り込むよう主張した」と述べ、宣言案の内容で妥協したとの認識を示唆した。

ロシアや中国、一部の新興国は「戦争」という表現に難色を示した経緯もあり、宣言案には「ほかの見方や様々な評価があった」と中ロに配慮したとみられる言及も含まれる。

ロシア通信によると、ラブロフ氏は15日夜にインドネシア・バリ島を後にし帰国した。16日の会議はシルアノフ財務相が出席する予定という。

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

世界経済は景気減速感を強めています。

日本経済は7-9月期の経済成長率はマイナス成長となり、コロナ対策と不動産開発業者の問題に直面する中国経済の減速感も明確になっており、欧州では景気後退局面に入りつつありようです。

食料・エネルギー問題に直面する新興国・途上国も経済が低迷しているようにみえます。
米国は相対的に経済はまだ堅調ですが、今後減速感は強まっていくとみられます。

気候変動危機とエネルギー危機の両方の解決を目指していくには、ウクライナ戦争をできるだけ早く終結させる必要があります。

ただ、プーチン氏が今後どのような行動にでるのか全く分からない中で対応策もみつからず閉塞感が強まっているように思います。

2022年11月15日 23:15 』