習近平氏、韓国の日米傾斜けん制 中韓首脳3年ぶり会談

習近平氏、韓国の日米傾斜けん制 中韓首脳3年ぶり会談
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『【バリ島=恩地洋介、羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は15日、訪問中のインドネシア・バリ島で会談した。中国側は日米との連携を強める尹政権をけん制し、韓国側は核実験の準備を進める北朝鮮への関与を求めた。

中韓首脳の会談は2019年12月以来、約3年ぶり。今年5月に尹政権が発足してからは初めてだ。

中国外務省によると、習氏は「世界のサプライチェーン(供給網)を安定させるべきで、経済協力の政治問題化に反対する。真の多国間主義を共に実践し、地域の平和と安定の大局を守りたい」と述べた。真の多国間主義とは、米国が主導する国際秩序に反対する立場を意味するとみられる。

韓国大統領府によると、習氏は新型コロナウイルスの流行が落ち着き次第、訪韓の招請に応じる用意があると語った。

尹氏は「韓国政府は国際社会の自由と平和、繁栄を追求する。その方法は普遍的価値と国際規範に基づいている」との認識を示した。

保守系の尹政権は、中国と距離を置く言動が目立っている。尹氏は11日にプノンペンで開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳との会議で、海洋進出を強める中国を念頭に「力による一方的な現状変更は決して容認できない」と発言した。

半導体のサプライチェーンで米国が主導する枠組みへの参画にも積極的だ。13日の日米韓首脳会談では、バイデン米政権が提唱する経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の推進や、3カ国による「経済安保対話」の新設を盛り込んだ共同声明に賛同した。

中国からみると、尹政権は日米への傾斜を深めており、その動向を警戒せざるを得ない。文在寅(ムン・ジェイン)前政権は、経済関係への悪影響を懸念し、習政権を刺激する言動を控えていた。

これまでも尹政権にはクギを刺してきた。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は8月、訪中した韓国の朴振(パク・ジン)外相に「互いの内政に干渉してはならない」と伝えた。ただ、北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返すなか、尹政権にとっては日米韓の安全保障協力の重みは増している。

中国は在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を、韓国との「最も敏感な問題」と位置づける。尹氏は暫定配備にとどめてきたTHAADの正式配備を探っている。

中国側は最近、THAADの運用制限にも言及している。9月にソウルで尹氏と会談した栗戦書(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会常務委員長(国会議長)はTHAADに関し「緊密に疎通し中韓関係の障害にならないようにしなければならない」と言及し、慎重な対応を求めた。

首脳会談で、尹氏は北朝鮮問題に関し「中国がより積極的で建設的な役割を果たしてくれることを期待している」と習氏に伝えた。韓国政府は北朝鮮がいつでも7回目の核実験を強行できる状況にあると判断している。

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