習近平氏、豪首相と6年ぶり会談、関係立て直しに意欲

習近平氏、豪首相と6年ぶり会談、関係立て直しに意欲
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『【バリ島=羽田野主、シドニー=松本史】20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席している中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とオーストラリアのアルバニージー首相は15日、インドネシア・バリ島で会談した。習指導部は豪州の政権交代に注目し、悪化した関係の立て直しに動きだした。

習氏と豪首相の対面での正式な会談は2016年9月の中国・杭州G20サミット以来、約6年ぶりだ。両国は通商や人権問題などについて協議し、今後も対話を継続する方針で一致した。アルバニージー氏は会談後「建設的な議論だった」と述べた。

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中国外務省によると、習氏は会談で「過去数年間、中豪関係は困難にぶつかった。これは我々が見たくないものだった」としたうえで、「お互いの経済・貿易協力の潜在力は巨大だ。豪州が中国企業の投資・経営のために良好なビジネス環境を提供するように望んでいる」と述べた。

中国側は豪州の労働党政権の誕生を重視している。22年5月の豪総選挙を受けて誕生したアルバニージー政権は、前政権と違い、中国との対話を重視する姿勢を示してきたからだ。6月と7月に両国の国防相と外相が相次いで会談し、中国は6年ぶりの首脳会談へ布石を打ってきた。

中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーは9日付の論評で「中国は豪州を重視し、対話と協力のパートナーとみなしている」と秋波を送った。そのうえで「両国が歩み寄れば、信頼を再構築し中豪関係の健全な発展に向けた道は開ける」と関係改善に積極的な姿勢をみせた。

実際に習氏はバリ島でバイデン米大統領やフランスのマクロン大統領に続く会談相手としてアルバニージー氏を選んだ。19年の大阪G20サミットではモリソン豪首相(当時)と正式な会談を見送り、「短時間の会話」(モリソン氏)で済ませたのとは対照的だ。

先行しそうなのが経済面での緊張緩和だ。アルバニージー氏は中国がとっている豪産品への輸入規制を解除するよう習氏に求めたとみられる。

豪州にとって中国は全輸出額の36%(21年)を占める最大の貿易相手国だ。中国にとっても豪州は鉄鉱石や液化天然ガス(LNG)など資源・エネルギーの重要な供給国の一つとなっている。中国は緊張緩和に向けたカードとみているフシがある。

中豪関係は20年4月にモリソン氏が新型コロナウイルスの発生源を巡り独立した調査を求めたことに中国が猛反発して悪化の一途をたどった。中国は同年5月以降、大麦やワインといった豪農産品に高関税を課したほか、豪産石炭の輸入を制限した。

中国では豪州が対中包囲網に加わったことへの危機感も強まっている。21年9月に米英豪の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に基づく豪州への原子力潜水艦の導入が決まった。米軍が豪州に核兵器が搭載可能なB52戦略爆撃機の配備を計画していることも明らかになっている。台湾統一や南シナ海での支配権確立をにらむ習指導部には脅威だ。
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