元米高官「米中は対立緩和の局面に」 習氏は姿勢転換

元米高官「米中は対立緩和の局面に」 習氏は姿勢転換
ダニエル・ラッセル元国務次官補
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14CUQ0U2A111C2000000/

『米中首脳が3年5カ月ぶりに対面で会談し、衝突回避へ対話を継続する方針で一致した。台湾問題など対立する課題が多い両国はどう関係を築いていくのか。バイデン米大統領が副大統領だったオバマ政権で東アジア政策を担当したダニエル・ラッセル元米国務次官補に聞いた。

――今回の米中首脳会談をどう評価しますか。

「2点の重要な成果があった。まずはバイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の間で戦略的ビジョンに焦点を当てた幅広い議論がなされた点だ。

もうひとつは双方の高官に2国間の相違点を管理し、グローバルな協力分野を進展させる継続的な取り組みの権限を与えると合意したことだ」

「両首脳が会って優先順位と意図を明確にすることは2人にとってまさに必要な会話だった。強固な個人的関係を築いており、直接話を聞くことで安心感をもてる。

お互いが聞いた話はどんなに厳しい内容であっても、両国の組織内から日々報告される最悪のケースの分析に比べると憂慮すべきものでない」

――8月のペロシ米下院議長の台湾訪問で停止していた対話の再開で合意しました。

「米中の各チームに課された仕事は2つある。

ひとつは摩擦が生じやすい分野を管理するための原則、実質的な『ガードレール』の策定だ。

次に気候変動や食料安全保障といったグローバルな問題での協力だ。(両首脳が合意した)ブリンケン米国務長官の訪中は意見が異なる分野での対立解消に向けた取り組みを強化するだろう」

「習氏は自身に忠実な人物で構成する新指導部づくりに成功し、国際社会に強さと開放性を兼ね備えたメッセージを発信する姿勢に転じたようだ。

長い間の孤立と挑発を経て対話に前向きになったが、問題の進展につながるかわからない」

――台湾問題などで激しく対立する米中がどう関係をコントロールしますか。

「両首脳がいわゆる『核心的利益』で双方に配慮する理由はないが、少しでも合意した部分があったことは望みが持てる。

首脳の直接対話と組織的な関与は戦略的競争の悪循環を食い止めるために必要な条件だが、十分条件といえない」

「核・ミサイル開発を続ける北朝鮮について、米国がいくら説得しても中国は影響力を行使しない。(日韓など)同盟国を守るために米国の軍事態勢を強化するというバイデン氏の発言は外交でなく抑止のシグナルだ。北朝鮮を抑えるように中国を駆り立てるかもしれない」

――2024年に大統領選も控え、米国は与野党とも対中強硬姿勢で足並みをそろえています。

「米国政治が対中外交を複雑にするのは確かで、野党・共和党下院はバイデン政権と中国の双方に困難をもたらす可能性がある。しかし、当面は米中とも危機につながるような対立や誤算を避けることに集中しているようだ」

(聞き手はワシントン=坂口幸裕)』