佐々木防衛大教授、台湾問題で「習氏はバイデン氏評価」

佐々木防衛大教授、台湾問題で「習氏はバイデン氏評価」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM151X70V11C22A1000000/

『佐々木 智弘(ささき のりひろ)

1967年 兵庫県生まれ(香川県出身)
1990年 筑波大学第三学群国際関係学類卒業
1994年 慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了
2017年 南山大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了、博士(総合政策)取得
1994年~2014年 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員
2014年~2021年 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授
現 在 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授

主要著書
(単著)『北京からの「熱点追踪」―現代中国政治の見方』日本貿易振興機構アジア経済研究所、
2001年
(編著)『現代中国の政治変容―構造的変化とアクターの多様化』日本貿易振興機構アジア経済研
究所、2005年
(共著)『21世紀中国政治史研究』放送大学教育振興会、2011年』

『米国のバイデン大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が14日、インドネシアのバリ島で会談した。中国の政治に詳しい防衛大学校の佐々木智弘教授に3年5カ月ぶりとなった米中首脳会談の評価を聞いた。

――米中間の最大の懸案である台湾問題では議論が平行線となりました。

「バイデン氏は『ひとつの中国政策を遂行する』『台湾独立を支持しない』と述べ、習氏は『米国に言行一致を希望する』と返事した。これは習氏がバイデン氏の発言を評価した形だ」

「今後、米国が言行一致を維持する限り、中国は(当面は)派手な軍事演習や武力行使はしないだろう。ペロシ米下院議長が訪台して緊迫感が高まった8月以前の水準に戻った感じだ。ただし台湾問題で意見が一致したわけではなく、関係が劇的に改善するわけではない」

――ロシアのウクライナ侵攻も議題の1つでした。

「習氏はウクライナでの核兵器の使用に反対姿勢を表明し、ロシアのエスカレートぶりへの懸念をバイデン氏と共有した。ロシアとの直接交渉へと米国の背中を後押しした印象だ。ロシアへのメッセージにもなる。ただし中国自身は仲介する気はなく、この点は従来と同じだ」

――気候変動や食料安全保障など幅広い分野で対話や協力を進めることでも合意しました。

「共同作業グループを設置し、具体的な交渉を高官レベルで進めることで合意した。従来も対話の枠組みはあったが、習氏が3期目に入り、中国側の高官も交代になる。顔ぶれが変わることで仕切り直しだ」

「高官対話の対象は気候変動や食料問題に加えて、公共衛生も含まれた。これは新型コロナウイルスを指すと思われる。従来、コロナの起源調査などで米中は対立してきたが、ワクチンや治療などで協力が生まれるかもしれない。一方、習氏は対中経済制裁の緩和を要求した。だが、米国側が緩和に乗り出すのかは不明だ」

――両首脳はなぜこのタイミングで会談をしたのですか。

「10月の共産党大会では習氏の3期目がかかっており、緊張感があった。党大会後に新政権が発足した安心感から、習氏はバイデン氏と会う余裕が生まれたのだろう。会談の映像を見ても、2人が握手をし、表情も和らいでいる。直接対話した意義があったのでないか」

(聞き手は大連=渡辺伸)

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