日本のGDP年率1.2%減 7~9月、4期ぶりマイナス成長

日本のGDP年率1.2%減 7~9月、4期ぶりマイナス成長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA149200U2A111C2000000/

『内閣府が15日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%減、年率換算で1.2%減だった。マイナス成長は4四半期ぶり。GDPの過半を占める個人消費は新型コロナウイルスの第7波などの影響で伸び悩み、前期比0.3%増にとどまった。

市場ではプラス成長が続くとの見方が大勢を占めていた。QUICKがまとめたGDP予測の中心値は年率1.0%増だった。

マイナス成長に転落した主因は外需だ。前期比の寄与度はマイナス0.7%。GDPの計算で差し引く輸入が5.2%増え、全体を押し下げた。特にサービスの輸入が17.1%増と大きく膨らんだのが響いた。

内閣府の担当者は「広告に関連する業務で海外への支払いが増えた」と説明した。「決済時期のずれも影響し、一時的だ」との見方を示した。

内需も低調で、寄与度は前期のプラス1.0%から0.4%に鈍化した。柱の個人消費は前期比0.3%増にとどまった。コロナの流行第7波が直撃し、交通や宿泊関連などのサービス消費が伸び悩んだ。

耐久財は3.5%減と2四半期ぶりにマイナスに沈んだ。家電やスマートフォンなどが物価上昇の影響もあって振るわなかった。

内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%増で2四半期連続で伸びた。企業がコロナ禍で持ち越した分の挽回も含め、デジタル化や省力化の投資を進めている。

住宅投資は0.4%減で5四半期連続のマイナス。建築資材の高騰が影を落としている。公共投資は1.2%増と2四半期連続で増えた。21年度補正予算や22年度当初予算の執行が進んだ。コロナワクチンの接種費用を含む政府消費は横ばいだった。

名目GDPは前期比0.5%減、年率換算で2.0%減となった。円安で輸入額が膨らんでおり、実質でみるよりマイナス幅が大きくなっている。

国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比0.5%低下とマイナスが続く。日本全体として輸入物価の上昇を価格転嫁できていない構図が浮かぶ。

家計の収入の動きを示す雇用者報酬は名目で前年同期比1.8%増えた。実質は1.6%減り、2四半期連続でマイナスとなった。物価上昇に賃金が追いついていない。
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小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察

2022年7月ー9月期における名目GDP成長率(季節調整済み)は、前期比▲0.5%(年率▲2%)ですが、円安や資源価格の高騰による、輸入コストの急増が成長の足枷になっている現実がデータから明らかに分かります。民間住宅の0%を除き、消費や設備投資、輸出など成長に寄与する項目が全てプラスの伸びにもかかわらず、輸入が前期比で11.4%の増加になっています。年率では54%の伸びに相当し、尋常ではない増加率に思います。現在は一時的に円安が修正されていますが、日米間の金利差は存在するため、再び円安が進行する可能性もゼロでなく、難しい問題ですが、この問題をどう制御するか、真剣に検討する必要があると思います。
2022年11月15日 11:23 (2022年11月15日 11:31更新)

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

緩やかなプラス成長になると思っていたが、マイナスになり日本経済の基盤の弱さを感じています。輸入急増が主因で、特殊要因もあるとおもいますが近年設備投資との相関が強くなっているように思います。また消費は予想されたように弱かったですが、サービスが緩やかにかっくだいを続けており、今後もサービスを中心に消費回復がつづいていくとみています。ただサービス回復といっても、コロナ感染症危機以降、大きく落ち込んだところからの回復なので、まだ2019年始めの水準をかなり下回っています。耐久財は巣ごもり需要で大きく拡大したのち、現在は需要の下落が目立ちます。エネルギーや食料など価格が高騰した項目の消費低下がきになる。
2022年11月15日 11:09

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察

最大の下押し要因は実質輸入の増加であり、民間在庫もマイナス寄与なので、国内需要がそこまで悪くないというとらえ方をすれば、ヘッドラインの数字を見て額面通り悲観することもないという見方もできます。
しかし、構造的にはそれだけ輸入に頼らざるを得ない輸入依存度の高さが露呈されたとも見れます。
いずれにしても、国内自給率の向上が課題というのが良くわかる結果と言えるでしょう。
2022年11月15日 9:44

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①「生産」を物差しにするGDPは前期比年率▲1.2%でしたが、「所得」が物差しのGDI(国内総所得)やGNI(国民総所得)の落ち込みはもっときつい。前期比年率でGDIは▲3.9%、GNIは▲2.9%でした。

②資源・エネルギー価格の高騰で同じ量を輸入するにも、海外に余計におカネを支払わなければならない。「交易条件」の悪化が日本経済にズシリとのしかかっている姿が浮き彫りになっています。

③一方、「名目」でみるとGDPは▲2.0%と、「実質」の▲1.2%より減少幅が大きい。輸入デフレーターの上昇で、GDPデフレーターのマイナス幅が4~6月期に比べて拡大したことが響きました。

2022年11月15日 9:35 (2022年11月15日 9:44更新)

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