米中間選挙、混戦呼んだZ世代 トランプ系の勝敗左右

米中間選挙、混戦呼んだZ世代 トランプ系の勝敗左右
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『【ワシントン=坂口幸裕】米中間選挙は開票が始まって丸1日を経ても連邦議会の上下両院選の大勢が判明しない大混戦の様相を呈してきた。与党・民主党が事前予想を超えて善戦している背景には、トランプ前大統領が推薦した候補の勝敗を左右した「Z世代」の若者の存在がある。2024年の次期大統領選でも影響力を持つ。

バイデン大統領は9日、ホワイトハウスで記者会見し、中間選挙について「私は特にこの国の若者たちに感謝したい。彼らは2年前と同じように歴史的な数の投票をした」と強調した。そのうえで「(共和のシンボルカラーにちなんだ)巨大な『赤い波』は起きなかった」と断言した。

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念頭にあったのは、1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」。バイデン氏は8日夜、南部フロリダ州でZ世代で初めての下院議員として当選確実になった25歳のマックスウェル・フロスト氏に電話し「長く優れたキャリアを歩むことになる。素晴らしいスタートを切った」と伝えた。

記者会見であえてフロスト氏に言及したのは支持基盤である若年層への配慮がにじむ。米国勢調査局によると、2020年大統領選の投票率は66.8%で120年ぶりの高水準だった。投票に行った18~29歳の6割がバイデン氏を支持し、勝利の立役者となった。

事前予想を覆す混戦を演出したのは、最後まで態度を決めかね、世論調査に十分に反映されなかった若者の票だ。AP通信の出口調査によると、選挙直前に投票先を決めた人は11%と2年前に比べて6ポイント増えた。世代別では18~29歳が17%と最も多い。逆に高齢になるほど早い段階から投票先を決めていた。

米紙ワシントン・ポストの分析では、今回の中間選挙全体の投票率は18年に及ばないものの、上院選で接戦となった州では前回を上回りそうだ。例えばトランプ氏が推薦候補を送った東部ペンシルベニア州の投票率は56%で4年前より5ポイント、東部ニューハンプシャー州も56%で3ポイントそれぞれ上昇した。

同じく激戦が続く西部アリゾナ、同ネバダも18年の投票率を超える見込みだ。過去に投票率を押し上げたのは若者票だ。今回も激戦州で若者が投票に出かけ、過激な主張を展開するトランプ系候補の対抗馬となった民主候補を支援した可能性がある。

若者は有権者の中で最もトランプ氏を気にする世代だ。AP通信の出口調査によると、18~29歳の36%はトランプ氏不支持、29%が同氏支持を表明するために投票した。「トランプ氏は投票時に考慮する要素ではない」の回答は34%と他の世代に比べて最も少ない。トランプ氏への好き嫌いが激しい世代といえる。

トランプ氏は9日、自ら立ち上げたSNS(交流サイト)で「(選挙結果に)多少がっかりしたが、個人的には大勝利だった」と誇示したが、実際はいら立ちを示していたもようだ。米メディアによると、トランプ氏は「(ペンシルベニア州の上院選で敗れた)メフメト・オズ氏に激怒し、支持するよう助言した人を非難した」。

今回の中間選挙では、連邦議会の上下院選でトランプ氏の推薦を受けた候補のうち8割超が当選を確実にした。24年大統領選への出馬に意欲を示す同氏が党内で一定の影響力を保持しそうだ。ただ、選挙戦を左右する最重点州で推薦候補が議席を得られなければ、神通力を不安視する声が広がる可能性もある。

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