インドの大気汚染、政治問題に 国と地域政府が批判合戦

インドの大気汚染、政治問題に 国と地域政府が批判合戦
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM09E310Z01C22A1000000/

『【ニューデリー=キラン・シャルマ】インドの首都ニューデリーの大気汚染を巡り、国と地域政府が互いに責任を押しつけ合い、批判合戦を繰り広げている。市民生活や健康への影響が続くなか、政治対立をしても問題解決につながらないと専門家は指摘している。

ニューデリーでは10月下旬から有害なスモッグが厚く垂れ込め、喉の痛みや呼吸困難などの健康被害が報告されている。例年、同国北部のパンジャブ州やハリヤナ州の農家が収穫を終えて来シーズンの作付けに向けて畑を燃やす10~11月は空気が悪くなる。工場や自動車からの排出など他の原因も重なり、汚れた空気が滞留する。

大気汚染は今に始まったことではない。問題は、その責任の所在を巡って国政与党のインド人民党(BJP)と、デリー首都圏とパンジャブ州で行政権を握る国政野党、庶民党(AAP)の間で論争が過熱していることだ。

中央政府は大気汚染について庶民党を非難している。ヤダフ環境相は11月初旬、ツイッターで「今日現在、AAPが行政を担うパンジャブ州では、2021年に比べて農場火災が19%以上増えた」と指摘。「誰がデリーをガス室にしてしまったのか疑う余地もない」と批判した。

これに対し、庶民党を率いるデリー首都圏政府のケジリワル首相は、大気汚染は北インド全体の問題だと主張。「中央政府も北インド全体を大気汚染から救うために具体的な手段を講じるべきだ」と記者団に話した。

専門家はどちらの主張にも冷ややかだ。大気汚染調査機関のアナリスト、スニル・ダヒヤ氏は、中央政府と地元政府の両方が「公衆衛生を守ることに失敗した」と指摘。政治的な批判合戦は解決策にならないと話す。交通や電力など他の原因による汚染を抑制するなど、年間を通じた対策が必要だと主張する。
収穫後に燃やされる稲田(インド北部、2018年10月)=ロイター

農家に対しては、収穫後に残る部分が少なく耕作期間が短い果物や野菜の栽培にインセンティブを与えて奨励するといった対策が考えられるという。「来年の(収穫後に残る根元部分の)焼却を減らすために、今から農家と協力し始める必要がある」と同氏は話す。

ダヒヤ氏は問題解決に向けた「政治的意志が欠如している」との見方を示す。「有権者は大気汚染などの問題ではなく、カースト制度や信条、宗教に基づいて投票する。だから政治家たちはいまだにこの問題から逃げ続けている」と語る。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Environment/Toxic-smog-in-India-s-capital-fuels-political-blame-game/?n_cid=DSBNNAR 』