「プーチン後」探るロシアのエリートたち

「プーチン後」探るロシアのエリートたち
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00528/?n_cid=nbpnb_mled_mre

 ※ この記事読むと、事態は「どちらが勝つのか」では無く、「いかに、混乱なく幕引きを図るのか」に焦点が移っている印象を、受けるな…。

 ※ なにしろ、「核大国」「軍事大国」であることは、「確かなこと」だ…。

 ※ その「核管理」、「軍備管理」が「崩壊」しては、堪ったものじゃない…。

『2022.11.8

ロシアのエリート層は、ウクライナ侵攻後もプーチン大統領が自分たちを守ると信じ、支えてきた。しかし部分動員令と4州併合宣言を受け、彼らも自身の行く末は自分たちにかかっていると認識するだろう。既に、プーチン後継として複数の名前が浮上している。他方、反体制派は、議会共和制への移行を訴える。

侵攻が長期化するに伴い支持層が揺らぎ始めた(写真=SPUTNIK via ロイター)

 「次はどうなるのか。ウラジーミル・プーチン氏が大統領でなくなったら、自分に居場所はあるのか。プーチン氏はどのように退任し、誰が後を継ぐのか」──ロシアの官僚や実業家ら、エリートたちの心には最近、こうした疑問が重くのしかかっている。彼らの見るところ、ウクライナ軍が優勢で、有能な人材がロシアから逃げ出し、西側はエネルギーや核の脅しに屈しようとしない。

 あるエリートは「モスクワの飲食店には怒りの声があふれる。みな、プーチン氏の失策で負けそうなことが分かっている」と語る。

 これは、プーチン氏がすぐに辞任するとか、退任させられるとか、あるいは核を使うという意味ではない。この状況が意味するのは、ロシアという国を動かし、ロシアに資産を保有している人々が、大統領への信頼を失いかけているということだ。ロシアの政治システムはどうやら、ソビエト連邦崩壊後で最悪の混乱期に入りつつある。西側諸国の政府も、ロシアが統治不能の状況に陥ることを懸念し始めた。

 「23年に及ぶ統治において、プーチン氏がこのような状況に陥ったことはなかった」。ロシアの政治アナリスト、キリル・ロゴフ氏はこう指摘する。例えば2000年には潜水艦クルスクが事故を起こし、乗員118人の命と共に失われた。04年にはチェチェン独立派による残忍な学校襲撃事件で333人が死亡した。

 プーチン氏はこれら困難な状況でも、うまく責任をかわし、強い指導者としてのイメージを維持してきた。しかしロゴフ氏は「今、プーチン氏が計画し、進める作戦は、どう見ても失敗に向かっている」と言う。

動員令で見方が一変

 ロシアのエリート層は、プーチン氏が全面的な戦争を始める危険は冒さないだろうと確信していた。それだけに、2月24日のウクライナ侵攻には衝撃を受けた。

 ただし侵攻当初は、限定的とはいえロシア軍が進軍していたし、国内の経済状況は悪化せず、和平交渉も試みられていたため、彼らも安心していた(大量の飲酒も助けになった。プーチン氏が公の場でアルコール依存症を問題視し始めたほどだ)。エリートの中には、プーチン氏が負けるわけがないと信じた者さえいた。

 しかしプーチン氏が「部分」動員令を発表すると、こうした見方は崩れ去った。「特別軍事作戦」がつまずいたことが明らかになったのだ。国民は、徴兵に踏み切ったプーチン氏がロシアをさらに深く紛争に引きずり込もうとしていると見た。

 多くのロシア国民が国外脱出を図り、徴兵逃れを広く行ったことから分かるとおり、自身の企てを新たな「大祖国戦争」に変えようとしたプーチン氏の試みは、今のところ失敗している。動員令は、「国民に積極的な参加を要求しない」という、一般国民が戦争を黙認する上での基本的前提を覆したのだ。

 モスクワでは、路上で強制的な徴兵が行われた。モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長は10月17日、徴兵は終わったと発表せざるを得なかった。動員の不足分は、中央に強く言えない地方で穴埋めされるはずだ。

 プーチン氏はこの戦争に勝てない。なぜなら、最初から明確な目標がなかったからだ。そして、ここまで負けた以上、面目を失わずに終わらせることはできない。仮にウクライナで停戦できても、侵攻前の平和な状態に戻すことは、好戦的な同氏の統治の下では絶対に不可能だ。』

『一方、ロシア経済は制裁の効果が表れ始め、優れた技能や知識を持つ労働者が国外に逃げ出している。消費者信頼感も低下しつつある。

 プーチン氏は9月30日、西側を非難する大演説をぶち、実際には支配していないウクライナの4州の併合を宣言した。常識外れなこの式典により、ロシア国内においてさえ、プーチン氏が身にまとっていた強靭(きょうじん)なイメージが崩れ去ったようだ。

 政治コンサルタントのタチアナ・スタノバヤ氏は「ロシアのエリートは9月まで、プーチン氏を支持するとの現実的な選択をしていた。しかし事態がここまで進んだ今となっては、様々な敗北のシナリオの中から選ばなければならないだろう」と語る。

 軍事的な敗北が体制の崩壊につながっても不思議ではない。

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