MQ-9 リーパー

MQ-9 リーパー
https://ja.wikipedia.org/wiki/MQ-9_%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC

『MQ-9 リーパー(Reaper:英語で「刈り取るもの」や「死神[1]」などの意)は、ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ社製の無人攻撃機。

長い航続距離と高い監視能力および攻撃能力を持つハンターキラー無人機であり、原型となったMQ-1 プレデターと同じく中高度・長時間滞空型(MALE)に分類されるが、より機体が大型化され、性能が大幅に向上している。

アメリカ空軍などで利用されている。MQ-9をベースにした非武装型もあり、国境や洋上監視、研究用としても利用されている。
概要

MQ-1プレデターと同じく機体に人間は搭乗していないが、有人の地上誘導ステーション(MQ-1のシステムを使用可能)で遠隔操縦される。地上誘導ステーションの操縦員は、パイロットとセンサー員が1人ずつ計2名で構成されている。

MQ-9には、MQ-1の115hp (86 kW) のレシプロエンジンよりはるかに強力な950SHP (712 kW) のターボプロップエンジンが搭載されており、MQ-1の3倍近い巡航速度を誇る。機体はMQ-1同様、分解してC-130輸送機で輸送可能。

アメリカ空軍は、MQ-9を2011年から2018年の間に372機購入し、MQ-1との交代を開始した。2015年からは、燃料タンクを増設しプロペラブレードも三枚から四枚に増やしたリーパーERの配備を開始している。

ゼネラル・アトミクスは2018年9月17日、アメリカ空軍が同年8月7日に同社製MQ-9ブロック5RPA(遠隔操縦航空機)による初めての自動着陸に成功したことを明らかにした[2]。続く同月8月9日には、最初の自動離陸も実施した。
試作機

MQ-9 リーパーは、ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ社によって試作されたRQ-1 プレデターBが原型となっている。プレデターBは、MQ-1を改良する形で3種類が製作された。

Predator B-001
胴体をMQ-1そのままに翼幅を66フィート (20m) まで延長し、エンジンをギャレット・エアリサーチ TPE331-10T ターボプロップエンジンに換装した。
Predator B-002
エンジンをウィリアムズ FJ44-2Aターボファンエンジンに換装し、ジェット化した。RQ-1 Predator Cとも呼ばれる。
Predator B-003
機体を大型化して翼幅を84フィート (25.6m) まで延長し、エンジンをPredator B-001と同じTP-331-10T ターボプロップエンジンに換装した。「アルタイル」という愛称が付けられていた。

アメリカ空軍はPredator B-003をMQ-9として正式採用することになるが、このときPredator B-003に付けられていた「アルタイル」の愛称は「リーパー」に変更され、のちに「アルタイル」はアメリカ航空宇宙局とアメリカ海洋大気庁で共同使用されている非武装型の愛称となった。
機体
機体上部

単発のエンジンを機体後部に搭載しプロペラを後ろ向きに配置した推進式である。この方式は単発でも機首付近に空間的な余裕が出来るため、センサーやレーダーを優先する無人機ではメリットが大きい。機首上部の膨らみには衛星通信用のパラボラアンテナが格納されている。尾翼はV字と下向きの垂直尾翼を組み合わせたY字型である。降着装置は垂直尾翼が接触しないように機体のサイズと比較して細長い形状である。降着装置は引き込み式であるが、引き込んだ状態でも完全にはカバーされず隙間がある。

主翼はボルトで接続されており、簡単に取り外しが可能となっている。

両翼に3つずつ計6つのハードポイントが存在し、増槽、ヘルファイア対戦車ミサイル、ペイブウェイIIレーザー誘導爆弾、スティンガー空対空ミサイルを搭載可能(将来的にはJDAMやサイドワインダーの搭載も予定)である。追加の偵察用装備が搭載されることもあり、例としてシエラネバダ社が開発したゴルゴン・スティア(英語版)広域監視センサーがある。

ハードポイントの各パイロンはそれぞれ搭載重量が異なっており、一番内側の2つが1,500ポンド (680kg)、その1つ外側の2つが600ポンド (270kg)、一番外側の2つが200ポンド (90kg) となっている。ペイロード容量は1,400 kg。

機体下部

機体下部
機体後部

機体後部
アルタイル内部の衛星通信装置

アルタイル内部の衛星通信装置
翼下にヘルファイア4発とペイブウェイ II 2発を搭載したMQ-9

翼下にヘルファイア4発とペイブウェイ II 2発を搭載したMQ-9
取り外された主翼。

取り外された主翼。

配備と実戦
実戦部隊に配備されたMQ-9
イラクのバラッド空軍基地でのMQ-1UAVフライトクルー(2007年8月)

2006年11月8日、最初のMQ-9飛行隊である第42攻撃飛行隊(英語版)が編成され、翌年の2007年3月13日に最初の機体が配備された。

2007年にはイラクとアフガニスタンへの実戦配備が開始され、後者ではヘルファイアによる攻撃を行い、敵の殺傷に成功している。

2008年3月6日までに、リーパーは230kg (500ポンド)の爆弾とヘルファイアミサイルを使用してアフガニスタンの16の標的を攻撃した[3]。

2009年9月以降、リーパーはアメリカアフリカ軍によってセーシェル諸島に配備され、インド洋の海賊対策パトロールに使用された[4]。

2009年9月13日、アフガニスタンでの戦闘任務中にMQ-9の制御が失われ、その後、制御のないドローンがタジキスタンとのアフガニスタン国境に向かって飛行し始めた[5]。F-15EストライクイーグルがドローンにAIM-9ミサイルを発射し、エンジンを破壊することに成功した。ドローンが地面に衝突する前に、ドローンとの接続が再確立され、ドローンは山に激突し破壊された。連合軍によって意図的に破壊された最初のドローンであった[6]。

2010年にはアメリカ空軍州兵航空隊の第174戦闘航空団第138戦闘飛行隊にF-16戦闘機と交代する形でMQ-9の配備が行われ、これは有人機からMQ-9に改編された最初の例となった。そして、改編後の2012年9月9日付で第174攻撃航空団(英語版)/第138攻撃飛行隊(英語版)に名称が改められている。

近年、MQ-1とともにアフガニスタンとパキスタンでのターリバーンやアルカーイダの攻撃に参加しており、2009年8月にはパキスタン・ターリバーン運動のバイトゥッラー・マフスード司令官の殺害に成功しているが、誤爆や巻き添えによる民間人の犠牲者が多いことが問題となっている[7]。これは無人機操縦員の誤認や地上部隊の誤報、ヘルファイアミサイルの威力が大きすぎることなどが原因となっている[8][9]。このうち、ヘルファイアミサイルの問題に関してはより小型で精密なスコーピオンミサイルを採用して対処することになっている[9]。

無人攻撃機ゆえ、詳しい運用方法は公開されないが、2015年現在もウクライナ東部や中東各地の戦場で要人暗殺などの実戦任務に投入されているとみられている。

2011年10月、アメリカ空軍は、ソマリアでの監視のみの運用のために、エチオピアのアルバミンチ空港(英語版)からリーパーの運用を開始した[10]。

2012年、リビアの米国大使を殺害した攻撃の後、リーパーとプレデターの両方がリビアのベンガジに配備された[11]。

2013年2月、アメリカはマリ共和国でのセルヴァル作戦中にフランス軍に情報を提供するためにニアメにプレデターを配備した。その後、2つのMQ-9リーパーに置き換えられたが、同年4月、リーパーの1つが、機械的な故障のために監視飛行中に墜落している[12]。

2015年11月13日、アメリカ国防総省は、MQ-9リーパーがISILメンバーのモハメッド・エムワジ(通称「ジハーディ・ジョン」)を殺害したと報告した[13]。

2016年、アフガニスタンやシリアで任務中に墜落した[14][15]。

2017年1月18日、2機のステルス爆撃機B-2とリビアにあるISILの訓練キャンプを爆撃、IS戦闘員80人以上を殺害した[16]。

2017年10月にイエメンでフーシに撃墜された[17]。

2017年11月には対空戦闘を行う実験で敵機を撃墜したとされた[18]。

2019年10月にISILの最高指導者アブー・バクル・アル=バグダーディーを急襲すべく実行されたカイラ・ミューラー作戦ではF-15戦闘機とともに空爆も行った[19][20]。

2020年1月に起きたバグダード国際空港攻撃事件でイスラム革命防衛隊のガーセム・ソレイマーニー司令官の殺害に使用したとされる[21]。
派生型
アルタイル
センサーポッドを搭載したIkhana

アメリカ航空宇宙局とアメリカ海洋大気庁で共同使用されている非武装型の愛称。主翼のハードポイントを廃止して計測用のセンサーを搭載している。

高高度気象や無人航空機の操縦システムの研究、宇宙から帰還したカプセルの追跡などに利用されている[22]。

主翼に計測ポッド用のハードポイントとウィングチップ・フェンスを追加したIkhanaも運用されている[22]。
MQ-9B スカイガーディアン
MQ-9B

MQ-9B スカイガーディアンは、ヨーロッパの飛行規制に対応し無人機と有人航空機の空域共有を目指した改良型である。NATOの装備規格STANAG 4671(英語版)を満たすように設計されており、外見は延長され大型のウィングレットを追加した主翼を特徴としている。

MQ-9Bは2018年7月にMALE無人機では初となる大西洋横断に成功した。

海外向けに売り込まれており、イギリス空軍がプロテクターRG Mk1として導入を決定、中華民国も4機の導入を決定している[23]。他にはアラブ首長国連邦とベルギーが導入を計画している[24][25]ほか、2021年に16機が各種機器、誘導爆弾と共に16億5,100万ドルでオーストラリアへ輸出されると発表された[26]。
ガーディアン
CBPのガーディアン

アルタイルの他にも民間向けとして、国境警備隊など法執行機関の監視任務に特化した非武装型の『ガーディアン』が開発されている[27]。

主翼はハードポイントを廃止してIkhanaと同じウィングチップ・フェンスを追加、機体の燃料タンクを拡大したことで航続距離が伸びている。搭載されたカメラの精度は「富士山の頂上から車を識別できる程度」とされる[28]。

アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)では国境監視用としてヘルメス 450などと組み合わせて運用している。

アルタイルと異なり塗装は軍用と同じく灰色だが、日本でデモ飛行を行った際には白地に赤い丸を配した特別塗装機が使用された[29]。

上述したスカイガーディアンの沿岸警備隊向けとしてウィングチップ・フェンスを小型のウィングレットに変更、胴体下部に海上監視用レーダーを搭載した『シーガーディアン』もある。連続飛行時間は約35時間とされる[28]。日本では海上保安庁が導入を目指し2020年から実証実験を行っている[28]。2022年4月6日、海上保安庁は『シーガーディアン』が採用されたと発表し[30]、同年10月19日、青森県八戸市の海上自衛隊八戸航空基地を拠点に最初の1機が運用を開始した[31]。
採用国

フランスの旗 フランス
インドの旗 インド
イタリアの旗 イタリア
モロッコの旗 モロッコ

オランダの旗 オランダ
スペインの旗 スペイン
イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

中華民国の旗 台湾
アラブ首長国連邦の旗 UAE
日本の旗 日本

仕様

製作: ジェネラル・アトミックス
操縦員(遠隔操作): 2名(パイロット1名、センサー員1名)
エンジン: ハネウェル TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
長さ: 11 m (36 ft)
翼幅: 20 m (66 ft)
空虚重量: 2,223 kg (4,900 lb)
最大離陸重量: 4,760 kg (10,500 lb)
最高高度: 15,200m (50,000 ft)
運用高度: 7,600m (25,000 ft)
滞空時間: 14〜28時間
航続距離: 5,926 km (3,200 nmi, 3,682 mi)
ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
ハードポイント:6つ
最高速度: 482 km/h (300 mph, 260 knots)
巡航速度: 276-313 km/h (172-195 mph, 150-170 knots)
レーダー: AN/APY-8 Lynx II
センサー: MTS-B

登場作品
映画

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
英米両国による「合同テロリスト捕獲作戦」の中で、テロリストの捕捉と攻撃を行う。
『イーグル・アイ』
人工知能「アリア」に制御を奪われた機体が登場。主人公たちを追跡する。
『シン・ゴジラ』
アメリカ空軍所属機が多数登場。最初から撃墜されることを前提として、「ヤシオリ作戦」にMQ-1 プレデターとともに投入され、ゴジラが飛行物体を無差別に攻撃する特性を利用し、わざと放射線流を撃たせてエネルギー切れで放射線流が出せなくなるようにするため、ゴジラに対してAGM-114 ヘルファイア対戦車ミサイルとペイブウェイIIレーザー誘導爆弾による波状攻撃を行う。
『スカイライン -征服-』
アメリカ空軍所属機としてジェットエンジン搭載の架空型が登場。ロサンゼルス上空に出現したエイリアンの母船を、X-47Bとともに攻撃する。
『地球が静止する日』
アメリカ空軍所属機としてジェットエンジン搭載の架空型が登場。セントラル・パーク内にいるゴートを、AIM-9 サイドワインダーミサイルで攻撃する。
『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
アメリカ空軍所属機として実物にはない航空機関砲を搭載した架空仕様が2機登場。中盤のドイツで、ハンニバルことジョン・スミス率いる「Aチーム」がH・Mことマードックと合流後に逃走手段としてアメリカ空軍の基地から強奪したC-130 ハーキュリーズを緊急発進して追撃し、機関砲と空対空ミサイルで攻撃して撃墜する。その後は、撃墜された機体から脱出したAチームが乗り込むM8空挺戦車と激しい空中戦を繰り広げる。なお作中では、プロペラ推進ではない。
『トランスフォーマー』
アメリカ空軍所属機としてジェットエンジン搭載の架空型が登場。スコルポノックの襲撃を受けるレノックス大尉からの連絡を受け、状況を確認するため緊急発進し、国防総省に現地の映像を送り届ける。

『トランスフォーマー/リベンジ』
    アメリカ空軍所属機が登場。エジプトへ向かったレノックス大尉たちと連絡が取れなくなったことを受け、現地の状況を確認するため緊急発進する。

『ドローン・オブ・ウォー』
主人公がラスベガス近郊の空軍基地からアフガニスタンの作戦で機体を操縦してタリバン兵士を攻撃する。

テレビドラマ

『ザ・ラストシップ -Season3-』
アメリカ海軍駆逐艦「ネイサン・ジェームズ」への攻撃を行う。

アニメ

『バイオハザード: ヴェンデッタ』
武器商人グレン・アリアスの結婚式会場を爆撃した無人機として登場。
『魔法科高校の劣等生』
大亜細亜連合部隊所属機としてMQ-9に酷似した形状の無人偵察機が登場。「横浜事変」の際に投入される。現実のMQ-9が初飛行してから、90年近く後の話となる。WEB小説版では未登場で、文庫小説版では全長1m規模のエンテ型無人偵察機として描写されているが、アニメ版では形状が変更された。

ゲーム

『ARMA 2』
AIやプレイヤーが直接操作するほか、半自律操作が可能。
『Modern Warships』
プレイヤーが操作可能なドローンとして対艦、対空攻撃を行う。
『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』
キャンペーンとマルチプレイに登場する。

その他

『トップ・ギア』
シリーズ21の第1回にTGPD(トップギア警察)の無人偵察機として、MQ-9をモデルとしたラジコンが登場。ジェームズ・メイが乗るフォード・フィエスタXR2iを上空から捜索して発見する。

(※ 脚注、省略。)

関連項目

無人航空機
UCAV
軍事用ロボット
アヴェンジャー (航空機)

外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、MQ-9 リーパーに関連するメディアがあります。

無人機プレデター&リーパー:時事ドットコム

執筆の途中です この項目は、軍用機や空軍に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(PJ軍事、PJ航空/P軍事)。』