〔中国、ドイツ、貿易関連情報〕

〔中国、ドイツ、貿易関連情報〕

選手団含め一切派遣せずの「劇薬」も。北京五輪外交的ボイコット問題で「親中」ドイツの判断に熱視線(Dec. 14, 2021, 07:00 AM)
https://www.businessinsider.jp/post-247853

第2-1-1-13 図 中国ドイツ間の貿易収支の推移
https://empowerment.tsuda.ac.jp/detail/50213

中国がドイツのライバル、パートナーから変化
「中国は開発途上国ではない。確立された一流の工業国だ」
https://jp.wsj.com/articles/SB10719124925289504853204586638392160241296

『 By Tom Fairless
2020 年 9 月 18 日 13:14 JST 更新

 ドイツと中国の経済を数十年にわたってつないできた非公式のパートナー関係が崩れつつある。アジアの超大国となった中国が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から力強い回復を示す中、こうした関係の変化は、コロナ禍からのドイツと欧州の回復を脅かしている。

 中国経済の駆動力となる産業機械をドイツが中国に提供するというパートナー関係は、ドイツ経済が金融危機後に急速な回復を遂げる助けになった。しかし、ドイツ産業界のリーダーたちは、中国がパートナーからライバルへと変化する中で、この経済モデルはもはや機能していないと述べている。

 ドイツの官民のアナリストらによれば、同国の今年の国内総生産(GDP)は、5.8~7.1%縮小するとみられている。これは、他の大半の欧米諸国よりは良い状況だが、2.5%のプラス成長が予想されている中国と比べると極めて悪い数字だ。

 ドイツの輸出企業は、国際貿易の回復の恩恵を受けているが、10年前ならあったはずの中国からの恩恵はなくなっている。7月のドイツの輸出は、前月比では増加したが、前年同月比では依然11%減だった。中国の輸出は、2カ月連続で前年同月を上回っている。

 エコノミストや独企業幹部は、こうした両国の状況の違いについて、中国政府の産業戦略が一因になっていると指摘する。その政策とは、一段と洗練された機械を生産し、ドイツの最先端の資本財に対する競争力を高めることを中国の製造企業に促すというものだ。以前は、ドイツの最先端資本財に比肩するものは存在しなかった。

 ドイツの多数の輸出企業にとって、この変化は対中輸出が以前より難しくなるということだけではない。他国市場で中国企業がライバルになるケースが増えることも意味する。最先端のトンネル掘削機(シールドマシン)メーカーであるヘレンクネヒト社は、こうした痛みを感じている企業の一つだ。

 同社は今世紀に入ってからの15年間、アジア全域のインフラプロジェクトで中心的役割を果たし、北京や上海などの大都市の地下でも活躍してきた。同社の掘削機は、何階層にも分かれた工場のようなもので、地中の掘削を進めながら配線やコンクリート壁を敷設していく。
高速列車の生産ラインで働く技術者(7月、河北省唐山市)
Photo: Xing Guangli/Zuma Press

 同族経営の同社の売上高は、2000年から2015年にかけて、ほぼ7倍に拡大し、約13億ユーロ(約1613億円)に達したが、その最大5分の1は中国での売り上げだった。これによって、ドイツ南西部の同社工場では数千人の雇用が創出された。

 しかし、ヘレンクネヒトの年間売上高は過去4年間で5%減少した。同社によれば、中国の大手建設各社は独自の掘削機を開発したため、同社の機械を購入する必要がなくなったという。大型機械市場で主要ライバルだった米オハイオ州を拠点とするロビンス社は最近、中国の北方重工集団と合併した。

 ヘレンクネヒトの広報担当のアキム・キューン氏は「中国企業は、異常な低価格を提示することで、国際市場での競争力をますます高めている。中国企業の迅速な展開は、欧州にとって驚きだった」と語る。

 ドイツにとって中国は、最大の貿易パートナーであり、長年にわたって国際外交の要だったが、今年は両国関係が転換する年になるかもしれない。

 中国は、世界最大の消費財製造拠点となるため、ほぼ20年間にわたってドイツの産業ロボット、産業機械、自動車を必要としてきた。ドイツ企業は、中国向け輸出の2桁の伸びは当然とみなしてきた。これが一因となり、今世紀初めの数年間にドイツの輸出額は中国と米国を抑えて世界最大だった。米国など各国の多くの企業が中国に移転する中でも、ドイツが製造分野の国内雇用を維持できたのも、こうした状況のおかげだった。

 今や、中国企業はフランスに風力タービン、ノルウェーにバス、ポーランドに送電網などを売り、世界中に先進的な産業機械を届けている。スウェーデンの首都ストックホルムでは最近、中国の企業グループが地下鉄向けに3本のトンネルを掘削する契約を結んだ。

 ハウエ(HAWE Hydraulik)のカール・ホイスゲン会長は、インフラ用機器を含む先端製造業の主要分野で中国がドイツ企業との差を詰めていると述べ、風力発電用のタービンや機械に使われる同社の油圧バルブおよびポンプをめぐって、中国との競争が激化していると話した。

 「中国は開発途上国ではない。全く違う。中国は確立された一流の工業国だ」と同会長は語った。

 中国政府が新型コロナウイルスの拡散を制御できていることや、経済を支える同国の政策を背景に、同国の輸出業者は、他国が依然としてパンデミックによって身動きが取れない状態の中、世界の輸出におけるシェアを拡大しつつある。
中国で製造された橋を積んでストックホルムを通過する貨物船(3月)
Photo: anders wiklund/Agence France-Presse/Getty Images

 ドイツ機械工業連盟(VDMA)の海外貿易部門責任者を務めるウルリッヒ・アッカーマン氏は、「中国企業がナンバーワンになるのは時間の問題だ」と話す。

 VDMAのデータによると、機械工学製品の世界貿易におけるドイツのシェアは、2018年までの10年間で19.2%から16.1%に低下した一方、中国のシェアは同時期に8.5%から13.5%に上昇した。同製品セクターでは、およそ130万人のドイツ人が働いている。

 法律事務所ベーカー・マッケンジーが先月公表した調査結果によると、中国はそれ以降、インフラ部門などドイツのエンジニアリング企業にとって最も重要な市場においてシェアを拡大し続けている。

 中国のエンジニアリング企業、中車唐山機車車両は昨年12月、ポルトガル第2の都市ポルトのライトレール網「ポルトメトロ」向けに18両の車両を製造する5000万ユーロの契約を勝ち取った。中国企業がドイツのシーメンスなどを退け、欧州連合(EU)で車両製造契約を獲得したのはこれが初めてだった。この決定についてよく知る人物によると、当局者は中国企業の車両が丈夫に見えたと言い、デザインはほとんどイタリア製のようだと話していたという。

 ポルトメトロの広報担当者、ジョルジ・モルガド氏は、中国企業による落札が価格、技術の質、デザインなどの要因に基づいていると話し、ポルトメトロの当初の車両購入予測より650万ユーロ安く購入できたと述べた。

 車や家電に使われる電動モーターやファンを製造するイービーエムパプスト・グループ(ebm-papst Group)のステファン・ブランドル最高経営責任者(CEO)は、3年前に新たな現実を認識し始めた。中国のライバル製品の質が上がっていることに気付いたのだという。

 中国は依然として同社にとってドイツに次ぐ2番目に重要な市場だが、同CEOによると、同社の中国での売上高は、パンデミックに見舞われる前から何カ月にもわたって伸び悩んでいた。それ以前は2ケタ水準の伸びを維持していた。

 トランスミッションを手掛ける中国高速伝動設備集団(チャイナ・ハイスピード・トランスミッション・イクイップメント)の欧州部門「NGC欧州」のゼネラルマネジャーを務めるドイツ人、ティム・レッシュナー氏によると、ドイツでは大規模な見本市が再開されつつあるが、中国企業の出展ブースは最近まで小さくて古くさい感じだった。しかし、現在は「多くにおいて、中国とドイツのメーカーの見分けがつかなくなっている」という。

 世界最大級の投資財向け見本市、ハノーバー産業見本市(ハノーバーメッセ)の主催者によると、中国の出展者が全体に占める比率は2015年には13.6%だったが、昨年は5分の1近くにまで上ったという。

 独政府統計によれば、2019年の同国の中国向け輸出の伸びは2015年以来最も小さかった。イービーエムパプストのブランドル氏によると、中国経済は現在、新型コロナウイルスによる落ち込みから回復しつつあるが、ドイツ企業は2008年の金融危機後の回復期ほどの恩恵を得ていない。同氏は自社の今年の対中売上高が3~4%の減少となり、来年についてもコロナ危機以前の水準に戻る程度だと予想している。

 独バイエルン州に拠点を構える産業用機械メーカー、バウアー(Bauer Maschinen)のマネジングディレクター、セバスチャン・バウアー氏は、同族族経営で銀行融資を受けていることの多いドイツの中堅規模エンジニアリング会社が、巨大な経済規模の恩恵を受け、自社であらゆるものを生産する国有の中国企業との競争に直面していると指摘する。

 「産業用機械は高級なぜいたく品ではない。顧客は品質と価格の両方に関心がある」とバウアー氏は語った。

 ドイツの名高い自動車産業も包囲攻撃下にある。CATLとして知られる寧徳時代新能源科技は現在、電気自動車(EV)向け電池で世界最大のメーカーになっている。CATLが欧州自動車メーカーに車載電池を供給するためにドイツに建設中の工場は、テスラのギガファクトリーのほぼ3倍の規模となる見通しだ。

 一方、世界最大の自動車部品メーカーである独ボッシュは、同社が手掛ける内燃機関(エンジン)向け部品事業は徐々に衰退しつつあるものの、EV向け電池の生産は行わないことを明らかにしている。その代わり、CATLと電池生産で協力し合っているという。

 アナリストらは、電池の価格がEVコストの約40%を占めるとみている。独政府は昨年公表した報告書で、EVへの移行に伴い、同国自動車分野で働く87万人のうちほぼ半分が失職する可能性があるとの推計を示した。

 ドイツの「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)とされるノルトライン・ウェストファーレン州のルール渓谷にあるボーフム、ゲルゼンキルヘンなどの都市で事業を営むボゲストラ社(Bogestra)は昨年、中国に電気バスを発注した最初の公共交通会社となった。比亜迪(BYD)からの20台の電気バスは、現在利用されているメルセデス・ベンツやチェコのメーカー、ソラリス・バス・アンド・コーチのバスに加えられる。ボゲストラの広報担当者は、BYDとの契約は販売価格、維持費、品質に基づくものだと述べた。
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 多くのドイツ企業幹部は、依然として中国を最大の市場と見なしている。それでも、こうした幹部たちは非公式の場では、官僚制度上の障害、強制的な技術移転、中国企業への国家からの補助金、その他のさまざまな保護主義的障壁など、長らく中国市場参入の代償とみなされてきたものに耐えられなくなっている、と述べている。一部の幹部は、ドナルド・トランプ米大統領が中国に対して取っているのと同じような厳しい措置を講じるよう独政府に求めている。

 「米国の強硬姿勢はドイツにとって有益だ。2年前であれば強硬と見なされたやり方をドイツが採っても、現在では妥当に見えるからだ」と、独経済省の元高官で現在は国際通貨基金(IMF)の副理事(戦略担当)を務めるジェロミン・ゼッテルマイヤー氏は指摘した。

 ドイツ政府関係者はこのところ、中国に対してより強硬な外交姿勢を示している。複数の当局者は、中国市場参入の公平性の問題から人権をめぐる問題まで中国と論争がある中で、ドイツが日本、韓国を含むアジアの民主主義国家に関心の重点を移すだろうと指摘した。

 アンゲラ・メルケル首相と同じキリスト教民主同盟(CDU)に所属し、議会外務委員長を務めるノルベルト・レットゲン氏は、中国がドイツを必要とするのはドイツが技術的優位性を維持している間だけだろうと指摘した。

 レットゲン氏は、「私の懸念はこの優位性の窓が閉じつつあることだ。中国は技術面のリーダーシップを一段と強めるための前進を続けているが、われわれは停滞状態にある」と語った。
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