FIRE卒業・・・投資で失敗した人のパターン

FIRE卒業・・・投資で失敗した人のパターン : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30048081.html

『投資と言われるもの全般について一般的な話になりますが、失敗した場合、まず本人が失敗を認める事はありません。例えば、今でも小金持ちに人気な不動産投資があります。ワンルームマンションのオーナーになって、貸出で家賃収入を得るサラリーマンに人気の投資ですが、失敗して持ち出しになり、不動産価格の下落で売るにしてもローン返済の借金が残るケースが多数発生しています。貸家として運営する以上、不動産の管理責任は、家主にかかりますので、予定していない出費や、借りてくれる人が途切れた時の募集広告費など、予め計算できない経費が発生します。また、場所が悪ければ、そもそも予定通りの家賃が取れる保障も無く、家賃の引き下げによって、計算通りの利益がとれないどころか、逆サヤになるケースもあります。

一時期、流行ったレバナスによるFIREブームも、今年の入ってからの暴落により、「卒業」という言い方で、資金を引き上げる人が続出しているようです。前の投稿で詳しく説明した事がありますが、レバナスというのは、NASDAQというハイテク銘柄で構成される株価指数に、レバレッジをかけて取引を行い、それであがった利益で早期リタイヤをして、引退生活を送ろうという投資行動です。レバレッジをかけるというのは、証拠金を入れて、その数倍の資金で市場で取引をする事です。レバナスの場合、3倍程度のレバレッジになります。利益が増えますが、損失も増えます。つまり、リスクと引き換えに、短期で利益を得ようとする投資方法です。

昨年末まで、NASDAQは、異常に強かったので、下がったタイミングで買っておけば、順調に利益を取る事ができました。レバナスで短期間で、通常では得られない利益を得て、早期リタイヤを実現しようと、人気になった投資商品なのですが、前提として「NASDAQが伸び続ける」という事があります。少しでも、投資を齧った事があるなら理解できますが、投資に絶対はありません。順調に伸び続けていたNASDAQも、FRBがインフレ対策で政策金利の引き上げを決めると、あっという間に下降に転じます。レバナスに資金を投入した時期と額によっては、FIREどころか貯金を吐き出して、再就職しなくてはならなくなった人が出始めています。まぁ、それを自分達で「卒業」と呼んでいるわけです。

前段で書いた不動産投資に失敗した人も、まず、自分からは「投資に失敗した」とは言いません。自分の判断ミスを冷静に認めるというのは、他人の目があると難しいのです。しかも、「不動産投資をしている」なんて言うと、「すごいねぇ~」とかお世辞でも感心されるので、余計言いづらくなります。そういう心理を見透かして、悪徳不動産会社の中には、「友人を紹介してくれて不動産オーナーの契約が成立したら、○○万円の謝礼を出します」と、友人を売る事を勧めてくる場合もあります。お金に余裕があれば、断るでしょうが、すでに不良物件を抱えて、金に困っていると、友人を売る事も辞さなくなります。不動産投資で不良物件を売りつけられた例で、知人からの紹介がダントツで多い理由が、これです。まあ、多くの場合、友人関係は壊れた上に、得られる謝礼だって50万とか100万です。

投資環境というのは、常に変わります。不変である事は、あり得ません。なので、ある時点で機能していた事が、常に機能し続ける事は、あり得ません。レバナスの場合でも、順調に株価指数が伸び続ける事が、10年程度続くという、何の根拠も無い条件を前提に、生涯収支を計算してFIREを目指すという、夢見人と言ったほうが良いくらい甘々な計画です。余りにも、無謀にレバナス投資をする人が増えたので、金融庁のホームページで、「レバナスは短期利益を狙った、リスクを伴う金融商品です」と警告を出したくらいです。実際、金融商品の内容を良く検討すれば、まさに、その通りと言えます。そこに、「ハイテク・ブームは当分続くので、投資し続ければ大きな利益を得られる」という、特定環境下の現象を、あたかも永遠不変の定理であるかのように考えて、資産計画を作ったのがレバナス投資です。

「FIREからその先へ

1年以上続いたFIRE生活が、もうすぐ終わります。振り返ると充実した日々の連続で、人との出会いに満ちていました。出会いによって新たな考えや気付きがありましたし、最高に楽しい日々でした。今は、仕事がしたくてワクワクしています。今後は自分の成長を感じ、楽しんでいきたいと思います。」

レバナス投資から撤退する人の、典型的なTwitter投稿です。FIREを決めて実行した人が、再就職する理由は一つです。資金を融かして、働かざるを得なくなったのです。それを「卒業」とか「FIREから、その先へ」という表現をしなければ、心理的な葛藤を押さえられない様子が滲み出ています。そして、失敗は、「貴重な経験」「楽しい日々」「大きな成長」などの言葉に言い換えられます。それが、悪い事とは言いません。人生で度々見舞われる災厄を、常に正面から受け止めるだけが賢さではないので、受け流す事も必要です。

こうした事に巻き込まれない唯一の手段は、「自分で理解できないモノには、手を出さない」事です。レバナス投資でも、説明された事は理解していたでしょう。しかし、その前提条件が正しいかどうかまで、勉強して投資を決めた人は少ないでしょう。そういう人は、去年の12月にNASDAQが最高値を付けて、FRBのパウエル議長がインフレに関する疑念を口に出し始めた時点で、売り抜けているはずです。もちろん、説明では、「何があっても、鉄板でポジションをホールド。NASDAQは耐えていれば、いずれ値を戻します」と言われていたのでしょうが、それをそのまま検証もせずに信じていたなら、やはり残念ながら愚かとしか言いようがありません。

不動産投資でも、失敗する人が絶えないのは、市場相場より高く売りつけられて、実現性の低い収支計画を無条件に信じて、自分の信じたい事を信じた結果です。不動産投資は、事業経営者としての視点で運用しなければ、まともな利益が出ない投資です。財テクなど、流行りで手を出す投資では、ありません。成功している人は、その辺りに、しっかりとした知識と軸を持っています。』