イスラエル総選挙、ネタニヤフ元首相が返り咲きへ

イスラエル総選挙、ネタニヤフ元首相が返り咲きへ 極右の支援受け
https://www.bbc.com/japanese/63494711

『イスラエルで1日、総選挙が投開票され、復権を目指すベンヤミン・ネタニヤフ元首相(73)を中心とする野党の右派勢力が過半数を確保する情勢となった。

開票率86%で、ネタニヤフ氏が率いる勢力は議会の定数120議席のうち、計65議席を得る見通し。

これまでの開票結果で、ネタニヤフ氏が率いる右派「リクード」は32議席で最多議席の第一党になると予想されている。連携する極右の宗教政党「宗教シオニズム」は14議席で、3番目の議席数になる見通し。

ヤイル・ラピド首相が率いる中道左派「イェシュ・アティド」は、24議席を得る見通し。「イェシュ・アティド」は昨年6月の総選挙で、ネタニヤフ氏を退陣に追い込んだ大連立の中心となった。

2日未明に妻サラさんと共に、自ら率いる右派「リクード」党会場に現れたネタニヤフ氏は、喜びに沸く支持者を前に「大勝利が目前だ」、「イスラエルの人たちから巨大な信任票を得たと述べた。

この数時間前に出口調査結果から、右派連合が61議席以上を得るという予想が発表されると、集まった支持者は飛び上がって喜び、国旗を振り、ネタニヤフ氏の愛称「ビビ」を連呼した。

ネタニヤフ氏は1996~1999年、2009~2021年の2度にわたって計5期、首相を務めたが、複数の贈収賄罪などに問われた後、2021年6月に退陣に追い込まれた。本人はすべての罪状を強く否定している。

今回の選挙で元首相は異例の返り咲きを果たすことになったものの、極右「宗教シオニズム」との連立を必要としている。

出口調査による右派勝利の予想が相次ぎ報道されると、「宗教シオニズム」の支持者たちは東エルサレムのシェイク・ジャラー地区に集まり、パレスチナ人居住区に向かって罵声を浴びせたり、投石したりした。

同党を率いるイタマル・ベングヴィール氏は2日、記者団に対し、「イスラエル全体のために働く。私を憎んでいる人たちのためにさえ」と述べた。

「宗教シオニズム」の支持者が集まったエルサレムの会場で、男性支持者の1人は「これで何もかもよくなる。(ベングヴィール氏が)治安担当の大臣になれば、もっと良くなる。イスラエル人の安全を回復させる。それはとても大事だ」と話した。

「宗教シオニズム」のベングヴィール氏とベザレル・スモトリッチ氏は、反アラブ的言動で知られ、「不忠」の政治家や民間人の国外追放などを主張してきた。ベングヴィール氏は、アメリカ政府がテロ組織として認定する極右・人種差別的組織の元指導者を信奉。自らも人種差別の扇動やテロ組織への支持で有罪となったことがある。10月にはシェイク・ジャラー地区で投石されると拳銃を取り出し、石を投げた者たちを撃つよう警官に要求したことで、あらためて注目されていた。

他方、中道左派「イェシュ・アティド」を率いるヤイル・ラピド首相はテルアヴィヴで支持者を前に、「まだ何も」決まっていないと述べ、最終的な開票結果を待つと話した。

Benjamin Netanyahu (left) and Yair Lapid (file photo)

画像提供, Getty Images

パレスチナ国家の樹立に反対

2021年6月にさまざまな政治思想の右派や左派、アラブ系政党など8党が「反ネタニヤフ」で大連立した結果、ネタニヤフ氏は政権を樹立できなくなり、退陣に追い込まれた。同氏はこの時、できるだけ早く大連立を突き崩してみせると約束した。

大連立政権はさまざまな政策で足並みがそろわず、今年4月には複数の議員が連立を離れたため、過半数割れした。その結果、発足から1年後の今年6月、連立政権のナフタリ・ベネット首相は議会を解散し、総選挙実施を発表。ベネット首相は6月30日に退任し、ラピド首相に後退した。

イスラエルでは多くの中道派や左派がネタニヤフ氏に強く対立する一方、リクード支持者は同氏を熱烈に支持している。

ネタニヤフ氏は、ヨルダン川西岸地区において、イスラエル入植地建設を強力に支持する。1967年以来イスラエルが占領を続けるこの地区でのイスラエル入植地は国際法上、違法とみなされるが、イスラエルはこの見方を否定する。

ネタニヤフ氏はこのほか、西岸とガザ地区でのパレスチナ国家樹立にも反対している。パレスチナ国家の樹立は、長年続く中東問題の解決方法として、アメリカのジョー・バイデン政権をはじめ国際社会のほとんどの国が支持している。

元首相は現在、収賄、詐欺、背任などの罪で裁判にかけられているが、いずれの罪状も強硬に否定している。リクード率いる連立政権に参加するとみられる「宗教シオニズム」は広範な法改正を要求し、その中には、詐欺や背任に関する法律も含まれる。このため、この法改正が実現すれば、ネタニヤフ氏への裁判は中止されるとみられている。

他方、エルサレム・ヘブライ大学の政治学者、ガイル・タルシル博士は、もし選挙結果が出口調査結果の通りになるならば「イスラエルはやがてオルバンのハンガリーのようになる」と警告する。欧州連合(EU)は今年9月、オルバン・ヴィクトル首相がひきいるハンガリーはもはや、「選挙独裁主義」の国だと批判している。

(英語記事 Israel elections: Netanyahu set for comeback with far right’s help – partial results)』