イギリス首相の妻、インド大富豪の娘……アクシャタ・ムルティ氏はどんな人なのか

イギリス首相の妻、インド大富豪の娘……アクシャタ・ムルティ氏はどんな人なのか
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63423116

『インドでは、リシ・スーナク英首相に注目が集まっているが、これは彼がイギリス初の南アジア系首相だからというだけではない。

スーナク氏の妻のアクシャタ・ムルティ氏(42)は、インドの大富豪のナラヤナ・ムルティ氏の娘だ。同氏はIT大手インフォシスの共同創業者であり、「インドのビル・ゲイツ」の異名で知られる。

アクシャタ氏の資産は数十億ドルとも言われている。アクシャタ氏は今年、イギリス以外で得た収入についてイギリスで納税しなくてもよい「非定住者」のステータスを持っていることが判明し、脱税疑惑が持ち上がった。アクシャタ氏はその後、全世界での収入についてイギリスで納税することに同意した。

一族の富は莫大だが、アクシャタ氏の人生は質素なところから始まった。

2013年に作家のスダ・メノン氏が編集した著名な親から子への手紙集「レガシー」によると、ナラヤナ氏はアクシャタ氏が生まれた1980年4月、電話に充てるお金もなかったため、娘の誕生を同僚から知らされたという。

「お前の母親と私は若く、キャリア形成に苦しんでいた」とナラヤナ氏はつづっている。
その後、ナラヤナ氏と妻のスダ・ムルティ氏はムンバイでキャリアを築くため、生後4カ月の娘をナラヤナ氏の父母に預けた。

1年後にナラヤナ氏はインフォシスを創業。やがてインド随一の資産家になった。

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アクシャタ氏の両親は、教育と勤勉さが大事だと子供2人に教え込んだ。「レガシー」の手紙でナラヤナ氏は、子供たちに「勉強や読書、議論、友達と会うといったこと」への時間を作るため、家にテレビを置かなかったと回顧している。

アクシャタ氏は、米カリフォルニア州にある私立のリベラル・アーツ大学クレアモント・マケナ・カレッジで経済学とフランス語を学んだ後、ファッション系の大学でも学位を取得。デロイトやユニリーバで働いた後、米スタンフォード大学でMBAを取得した。

スーナク氏と出会ったのはこのスタンフォード大学だ。2人は2009年に結婚し、2人の娘がいる。

アクシャタ氏はカリフォルニアで金融業界で働いた後、自身のファッションレーベル「アクシャタ・デザインズ」を立ち上げ、2011年に最初のコレクションを発表した。

ヴォーグ・インディアの取材でアクシャタ氏は、インドの農村地帯に住むアーティストと協力してデザインを作っていると説明。「本物であること、クラフトマンシップ、豊かな伝統を守ること」などを重視していると語った。

しかし英紙ガーディアンによると、このビジネスは3年で破綻したという。
Akshata Murty with Rishi Sunak’s parents at a leadership hustings in August

画像提供, Getty Images
画像説明,

スーナク氏の両親と共に党首選の応援に臨むアクシャタ・ムルティ氏(左、2022年8月撮影)

アクシャタ氏の主な収入源のひとつには、2013年にスーナク氏と共に創業した、スタートアップ企業に投資している「カタマラン・ヴェンチャーズ」のロンドンにある関連会社がある。

イギリス政府の登記情報提供サービス「カンパニーズ・ハウス」によると、アクシャタ氏は都度払い型のジムチェーン「ディグミー・フィットネス」のディレクターでもある。

同社は、新型コロナウイルスのパンデミック時に雇用補助金を受けていたにもかかわらず、収益が落ち込み、今年2月に破産申請をしている。

このほか、「リンクトイン」のアクシャタ氏のプロフィールには、高級紳士服「ニュー・アンド・リングウッド」のディレクターという肩書も載っている。

インフォシスの最新の年次報告書によると、アクシャタ氏は同社の株式の0.9%を保有している。これは約7億ポンド(約1200億円)に相当するとみられる。

インフォシスは今年、ロシアのウクライナ侵攻を受けてモスクワでの事業停止を迫られた。この時、アクシャタ氏の持ち株も物議をかもした。関係筋は4月、インフォシスがロシアのオフィスを閉鎖するとBBCに述べている。

夫婦の資産の莫大さから、生活費危機が続くイギリスでは、スーナク氏が一般市民の生活感覚を理解できていないのではないかという疑問も出てきている。

イギリスの歴代首相の配偶者には、テリーザ・メイ前首相の夫フィリップ・メイ氏などのように、目立たないようにふるまってきた人もいる。

一方で、人権派弁護士のチェリー・ブレア氏などは、夫のトニー・ブレア氏が首相になった後も精力的に仕事を続け、大きな注目を集めた。

現在のところ、アクシャタ氏がメディアの注目を求めているようには見えないが、最近の物議でスポットライトが当てられるようになった。

スーナク氏がイギリス政界のトップに立ったことで、アクシャタ氏への関心は否応にも高まっている。

(英語記事 Akshata Murty: Who is Rishi Sunak’s wife?)』