米国、対中半導体規制に追随求める 日本など同盟国に

米国、対中半導体規制に追随求める 日本など同盟国に
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『【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン米政権は先端半導体の対中輸出規制について、日本など同盟国にも同様の規制の導入を求める。関係国政府と協議して早期の合意をめざす。米国では半導体の技術者が中国から引き揚げるなど対応を迫られている。日本の半導体産業でも米中対立の影響がさらに強まる見通しだ。

日本政府関係者によると、米国からの打診を受けて政府内で調整に入った。米国による対中規制のうち、どのような内容なら追随できるか議論している。欧州連合(EU)や韓国の動向も見極める。

米商務省は10月7日、スーパーコンピューターなどの先端技術を巡り、中国との取引を幅広く制限する措置を発表した。輸出管理の法律に基づく規制を改めた。半導体そのものだけでなく、製造装置や設計ソフト、人材も対象に含めて許可制とした。

商務省は企業の許可申請を原則拒否する方針で、規制対象の中国事業が事実上できなくなる。違反すれば行政処分のほか、企業や経営陣が刑事罰に問われる可能性もある。

米国は回路線幅が微細の高性能半導体の関連部品などで、輸出規制を課すよう同盟国にも促す。半導体製造装置や生産・開発に関わる技術者の就業、取引も含め、幅広く足並みをそろえるよう求める可能性もある。

輸出管理を担当するエステベズ商務次官は、10月27日の講演で「我々が同様に取り組むよう望んでいることを同盟国は分かっている」と述べた。

半導体の世界シェアは米国が12%。台湾と韓国がそれぞれ約2割で、日本が15%を占める。米産業界からは「米国企業だけが中国での売り上げを失うのは不公平だ」と他国にも同様の規制を求める声が相次ぐ。

米政府も、軍事的脅威を増す中国に対し同盟国が連携すれば中国が先端半導体を入手したり生産したりするのが難しくなり、規制の有効性が増すとみている。

オバマ米政権時代に輸出管理を担ったケビン・ウルフ元商務次官補は「日米両国が半導体をめぐる中国への懸念に共に取り組めば、協力関係がさらに深化し、先端技術の共同開発・生産が進みやすくなる」と強調する。

米国の対中規制は、米国人が中国の半導体関連企業で勤務、取引することも制限する。ウルフ氏によると、中国の先端半導体工場で働いていた米国人技術者が帰国し始めている。オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングは、米国人の従業員に中国の顧客へのサービスを停止するよう求めた。

西村康稔経済産業相は1日の記者会見で、対中規制の影響について「米国とコミュニケーションを取っており、それを踏まえて国内企業にヒアリングしている」と語った。

日本など同盟国にも米国と同様の規制がかかる可能性がある。日本の半導体企業は警戒を強めている。「中国で先端半導体の生産が停滞すれば、日本が強みとする付加価値の高い最新の製造装置へのニーズが弱まる」(大手半導体製造装置メーカー)と懸念する。

業界団体の予測では、中国の半導体装置の市場規模は2022年に220億ドル(約3.3兆円)。台湾、韓国に次いで世界の22%を占める。現時点では規制がどのような内容になるのか不透明なため、日本の関連企業の多くが「ビジネスへの影響を精査している」(ニコン)段階だ。

米国では製造装置大手のアプライドマテリアルズが新規制の影響で業績見通しを下方修正した。22年8~10月期の売上高が4~8%に相当する2億5000万~5億5000万ドル押し下げられる。半導体の市況が急速に悪化している局面だけに、一大市場である中国での事業機会を制限されれば、各社の業績への影響が膨らむ。

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半導体が分かる 3 「ムーアの法則」の先へカギ握る製造装置

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竹内舞子
経済産業研究所(RIETI) コンサルティングフェロー
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分析・考察

国が輸出規制を外交ツールとして使うためには、その国を含む限られた国でしか調達できない物資を持つことと、規制対象国がその物資の調達を海外に頼っていることが必要だ。先端半導体技術は米国が強みを持つ一方中国は今のところ後れを取っているのでその条件に合った物資である。
しかし、技術的優位性を維持するためには技術流出を防ぐ必要がある。また、米国が輸出を制限しても他国から調達できては規制の意味がないので、効果を上げるためには他国にも輸出や技術移転をしないよう要請する必要がある。日本には難しい選択であるがこの問題は産業政策だけでなく外交・安保戦略の問題でもあることを踏まえて対応を決定する必要があるだろう。
2022年11月2日 2:58

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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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別の視点

既にトランプ政権時代からアメリカの禁輸法適用によって日本ら同盟国以外も含むすべての第三者国に対してもかなり強い取引制限が掛かっている。例えば半導体関連で米国由来の製品につきいわゆるエンティティリストに入っている中国企業に対する禁輸だが、米国由来とはひとつでも米国の部材等が入っていると対象であり、それが理由で日本の半導体製造装置などは実質的に主要な中国テック企業に対して禁輸となっている。

今回はそのアメリカの禁輸法そのものを日本や韓国にも追随を求めるとの事のようだが、その米国の狙いは、既に現段階で中国には相当な打撃でありそれを増す事ではなく、むしろ今後の中国半導体産業の発展を阻害する事だろう。

2022年11月2日 8:11

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説

先端半導体は米中デカップリングの最大ともいえる対象。先端半導体から中国を外す動きは、日本を含むアメリカの同盟国にとって今後も長年に続く努力目標になっていきます。
2022年11月2日 2:31』