ECB、連続大幅利上げを議論 米国超すインフレに危機感

ECB、連続大幅利上げを議論 米国超すインフレに危機感
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『【フランクフルト=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は27日開く理事会で、3会合連続となる大幅利上げを決める見通しだ。利上げ幅は前回9月と同じ0.75%を軸に検討する。ウクライナ危機に伴う資源高などの影響でユーロ圏の物価上昇率が過去最高の10%近くとなり、インフレに歯止めが掛からないためだ。景気後退のリスクが差し迫るなかでの苦渋の決断となる。

ECBは日本時間の27日午後9時15分に決定内容を公表する。同9時45分からラガルド総裁が記者会見で説明する。

ECBは7月に11年ぶりの利上げを実施。7月の0.5%利上げに続き、9月には利上げ幅を過去最大の0.75%に広げた。現在の主要政策金利は1.25%、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)は0.75%。今回再び0.75%の利上げを実施すれば、主要政策金利は2009年以来13年ぶりの高さとなる。

ECBは23年春にかけて、さらに数回利上げを進める構えだ。買い入れた資産を減らす量的引き締め(QT)も視野に入れ始めた。ただ、財政に不安を抱えるイタリアなどの南欧では長期金利に上昇圧力がかかっている。QTを実施する際には影響をどう抑え込むかが焦点となる。

ECBが異例のペースで利上げを進める背景には、止まらぬインフレへの危機感がある。9月のユーロ圏の消費者物価上昇率は前年同月比で9.9%と5カ月連続で過去最高を更新。資源高の影響が大きく、米国の8%台を大幅に上回る水準となった。米ゴールドマン・サックスは23年1月には11%台まで高まると予測する。

物価高はエネルギーだけでなく、食品やサービスなどの幅広い品目に広がる。物価上昇で賃上げにも火が付けば、インフレはさらに止まりにくくなる。輸入物価を押し上げているユーロ安にブレーキをかけるためにも利上げが必要だった。

欧州経済は景気後退の崖っぷちに差し掛かっている。ECBは23年のユーロ圏の実質成長率を0.9%と見込むが、ウクライナ危機の長期化で資源高が進むリスクシナリオではマイナス0.9%への転落を予測する。

それでも理事会メンバーからは、インフレの長期化を招けば「いっそう深刻な景気後退を引き起こす」(ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁)と利上げを擁護する声が上がっていた。欧州最大の経済大国であるドイツは標準シナリオでも23年のマイナス成長は避けられない情勢で、欧州がただでさえ低迷する世界経済の火種となりつつある。

利上げの連鎖は世界で広がっている。JPモルガン・チェース銀行によると、経済規模で加重平均して算出した世界の政策金利は3%を超えた。米連邦準備理事会(FRB)も11月初めに、4会合連続となる0.75%の大幅利上げを決めることが有力視されている。日本を除くほとんどの国が利上げで足並みをそろえている。

一方で、26日に利上げに踏み切ったカナダは利上げ幅を前回9月(0.75%)より小さい0.5%にとどめた。オーストラリアも4日、利上げ幅を0.25%にとどめた。インフレはどこまで強く、景気はどれだけの利上げに耐えることができるのか。先行きの見通しが極めて不透明になるなか、慎重な見極めが求められる局面に入ってきた。』