米中間選挙、ウクライナ支援が争点に 共和に予算縮小論

米中間選挙、ウクライナ支援が争点に 共和に予算縮小論
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『【ワシントン=坂口幸裕】米中間選挙まで2週間を切るなか、ロシアが侵攻を続けるウクライナへの支援のあり方が争点に浮上してきた。野党・共和党のトランプ前大統領の支持勢力が巨額予算を修正すべきだと要求する。下院選は共和が多数派を奪還する勢いを維持しており、選挙結果次第で米政府が対ロシア政策の再考を迫られる可能性がある。

バイデン大統領は23日放送の米MSNBCのインタビューで、野党・共和にある対ウクライナ支援の見直し論について「多くのお金がかかるので、無知な人物がそのような考えを持つのはわかる」と切り捨てた。

発端は共和下院トップのマッカーシー院内総務の発言だった。18日に米メディアで「人々は不況にあえぎ、バイデン政権が国内でやっていないこともある。ウクライナは重要だが、白紙委任はできない」と述べた。

バイデン政権が2月24日にロシアが侵攻を始めた後に決めた軍事支援の総額は176億ドル(2兆6千億円)規模にのぼる。米議会は5月に超党派の合意で400億ドル規模の対ウクライナ予算を可決しており、枯渇しつつあった資金を追加で手当てすることで長期戦に備える態勢を整えた。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国が単年度で一国に実施した軍事援助としてはベトナム戦争以来、およそ半世紀ぶりの規模になる。

5月の予算案に共和から下院議員の57人、上院の11人が反対した。当時、賛成に回ったマッカーシー氏がウクライナ支援の再検討に言及したのは、賛否が割れるウクライナ支援をめぐり党内バランスに配慮するためとの見方がある。

トランプ氏に近いマッカーシー氏は中間選挙の下院選で多数派を奪い返せば、下院議長に就く意欲を隠さず、党内で幅広い議員の支持を固めたい思惑が透ける。とりわけ「米国第一」を掲げるトランプ氏の支持勢力に目立つ「見直し派」に秋波を送ったとみられる。

トランプ氏の推薦候補はバイデン政権のウクライナ支援に疑問を呈す。中西部オハイオ州で上院選に出馬したバンス氏は「もう十分な資金を提供した」と急増する予算の縮小に言及。西部アリゾナ州の上院選候補、マスターズ氏も追加予算を米国とメキシコの国境に設ける壁の費用に充てるべきだと主張した。

米ピュー・リサーチ・センターが9月中旬に実施した世論調査によると、共和支持層の32%が対ウクライナ支援を「過剰」と回答。「不十分」が16%、「適切」が30%だった。3月調査で9%だった「過剰」の割合が上昇しており、支持層の不満を映す。

共和内の主導権争いの側面もある。トランプ氏と確執がある共和上院トップのマコネル院内総務は21日「バイデン政権と同盟国は必要な手段をもっと提供しなければならない」と語った。

上院選は激戦になっている一方、下院選は共和が多数派を奪還する勢いだ。上下両院選の共和候補のうち3割超を占めるトランプ氏の推薦候補が躍進すれば、共和内で国際協調に後ろ向きな声が広がるおそれもある。

一方、民主下院のジャヤパル氏らリベラル派30人は24日、バイデン氏にロシアとの直接対話を要請する提言を発表した。「米国の積極的な外交的働きかけにより、現実的な停戦の枠組みを探る努力を加速するよう強く求める」と記した。

民主内の反発を受け、ジャヤパル氏は25日に提言の撤回に追い込まれたものの、党内が対ロシア政策で一枚岩でない現状を浮き彫りにした。

米中間選挙2022

下院選で共和がリード拡大、上院選は接戦続く

米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクス(RCP)の26日時点の議席予想によると、下院(定数435)は野党・共和党が多数派を奪還する勢いを保ち、10月に入って徐々に差を広げている。一方、上院(定数100)は非改選を含め与党・民主党が46議席、共和が48議席。いずれも過半数に届いておらず、接戦が続いている。

RCPのまとめでは、上院選の激戦6州はいずれも支持率差が4ポイント以内だ。下院は共和が225議席、民主が175議席で、残り35議席を競う。

米調査会社ギャラップが10月3~20日に実施した世論調査によると、バイデン大統領の支持率は40%で9月より2ポイント低下した。過去最低だった7月の38%を上回るものの、2カ月連続で下げた。

8月以降にいったん支持率は持ち直したものの、インフレの高止まりがバイデン政権に逆風となっているもようだ。

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