日豪「準同盟」深掘り 中国意識、防衛協力で指針視野

日豪「準同盟」深掘り 中国意識、防衛協力で指針視野
資源・エネルギーで関係に厚み
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA20BLY0Q2A021C2000000/

『【パース=上田志晃、松本史】日本とオーストラリアが両国間の防衛協力の水準を引き上げる。首脳会談にあわせて22日に出した新たな安全保障に関する共同宣言で、日本にとって米国以外で初めて緊急時の態勢協議を盛り込んだ。同盟国の米国に次ぐ「準同盟」の関係を深める。

日豪の安保協力は将来的に緊急時の自衛隊と豪軍の役割などを計画する「防衛協力の指針」(ガイドライン)の策定が視野に入る。

日本は米国とガイドラインを定めてきた。2015年の改定で自衛隊と米軍が世界規模で支援し合う体制を盛り込んだ。平時から外務、防衛当局など様々なレベルで話し合う「同盟調整メカニズム」も立ち上げた。

日豪も日米のガイドラインに準じ、平時の情報連携や武力攻撃を受けた際の対処方法などが検討対象になる見通しだ。協力関係を明確にし、安保上の懸念に共同対処する姿勢を示す意義がある。

日本は冷戦時代から日米安全保障条約を結ぶ米国のみと同盟関係にある。安保条約に基づいて日本は米国に日本国内の施設を提供する。米国は日本が武力攻撃された際に守る義務を負う。

中国が台湾への軍事的な圧力を強め有事の懸念が高まる。日本は米国以外にも多層的な関係を築いて対処しようとしてきた。豪州は準同盟との位置づけで段階的に協力の枠組みを広げてきた有力な相手国だ。

日豪の新たな安保宣言はサイバー攻撃対策や宇宙空間面での協力、経済安保など07年の宣言で想定していなかった課題に触れた。ロシアのウクライナ侵攻なども踏まえ、中国を意識して幅広い脅威への対処で力を合わせる方向を示した。

豪州からみた日本の重要性も増す。中国が豪州と関係が深い太平洋の島しょ国で勢力拡大を図り、警戒を強める。19年にソロモン諸島とキリバスが相次ぎ台湾と断交した。ソロモンは22年4月に中国と安保協定を結び、軍事拠点化の懸念も出る。

アルバニージー首相は22日の共同記者発表で「この画期的な宣言が両国の戦略的連携について地域への強力なシグナルを発信する」と強調した。

新宣言は「米国との3国間協力の深化は我々の戦略上の連携、政策調整、相互運用性、共同能力を強化するために不可欠だ」と記した。日豪首脳は米国とインドを含めた協力枠組み「Quad(クアッド)」の連携強化も確かめた。

日本は米国、英国と豪州の安保枠組み「AUKUS(オーカス)」をインド太平洋地域の安保協力で重視する。豪州同様に準同盟関係と位置づける英国とも装備品や訓練などの協力を深める。

今回の首脳会談は経済関係の底上げも狙いだった。特に資源・エネルギー分野に重点を置いた。
岸田首相(左端)はアルバニージー豪首相とニッケル精錬所を視察した(22日、ロッキングハム市郊外)=共同

アルバニージー氏は「豪州は液化天然ガス(LNG)をはじめとする資源を日本に供給する長い歴史があり、その貿易が続く」と述べた。将来的には「水素を含む再生可能エネルギーの輸出に本格的な機会がある」とも強調した。

豪州は電気自動車(EV)の車載電池に使われるニッケルやリチウムといった資源の生産国でもある。日豪はこれらの供給網を巡り「重要鉱物に関するパートナーシップ」に署名した。情報共有や協調融資を進める。

岸田首相は経済成長を維持しながら温暖化ガス排出ゼロを目指す「アジア・ゼロエミッション共同体構想」を掲げる。アルバニージー氏は構想を支持すると表明した。日豪で中国を念頭に環境問題でもアジアへの働きかけを進める。

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