日豪、緊急事態の防衛協議 新たな安保宣言に明記

日豪、緊急事態の防衛協議 新たな安保宣言に明記
首脳会談、中国念頭に協力拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2201I0S2A021C2000000/

『【パース=上田志晃】岸田文雄首相は22日、オーストラリア西部のパースでアルバニージー豪首相と会談した。安全保障協力に関する新たな日豪共同宣言に署名した。中国が絡む台湾や太平洋での有事を想定し、緊急時の防衛態勢の構築を巡り協議すると掲げた。

日本が同盟国の米国以外と緊急時の態勢を話し合う枠組みを設けるのは初めて。「日豪の主権、地域の安全保障上の利益に影響を及ぼしうる緊急事態に関して相互に協議し、対応措置を検討する」と明記した。

紛争を抑止するための外交手段や経済制裁、採用する軍事的措置などを擦り合わせる。

両首脳が対面するのは5カ月で4回目となった。会談後に首脳共同声明も発表し「日豪は地域の最も喫緊の安保上の課題に対応するため、協力を深化、拡大する」と記した。経済安保や資源・エネルギーの協力促進も盛り込んだ。

岸田首相は会談後の共同記者発表で「特別な戦略的なパートナーシップは新たな次元に入ったという認識で一致した」と語った。新安保宣言について「10年の方向性を示す羅針盤だ」と強調した。

新たな安保宣言は日豪の中長期的な安保戦略を示す。想定する具体的な国名には触れず「共通の価値観、相互の戦略的利益に対して増大するリスクに対応する」と書き込んだ。

2007年の安保宣言はテロや北朝鮮への対応を中心としており、アジア太平洋の環境変化を踏まえて内容を改めた。「自由で開かれたインド太平洋」について「揺るぎないコミットメントを確認する」と加えた。

中国は第20回共産党大会で習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が異例の3期目を務めることが確定した。台湾への軍事的圧力を強める可能性が指摘される。太平洋島しょ国への関与も進めており、22年4月にソロモン諸島と安保協定を結んだ。
コアラを抱いて撮影に臨むオーストラリアのアルバニージー首相(左)と岸田首相(22日、パース)=共同

日豪は1月に自衛隊と豪軍の共同訓練をしやすくする「円滑化協定」に署名した。「より洗練された共同訓練や活動、パートナーとの多国間演習、整備を含む施設の相互利用」などを通じて相互運用性を高める。

情報収集や警戒監視、先端的な防衛科学技術、防衛産業でも連携を深めると確認した。経済安全保障やサイバー攻撃への対処、宇宙空間での防衛技術など近年浮上する新たな課題も入れた。

日豪は前回の安保宣言後の07年に初めて外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開いて以降、協力を深めてきた。

10年に軍事演習時に燃料などを融通しあう「物品役務相互提供協定(ACSA)」に署名し、17年に改定した。12年には機密情報をやりとりする「情報保護協定」で合意した。

豪州は米国、英国と21年9月に創設した安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を構成する。豪州への原子力潜水艦の配備や極超音速兵器の開発で連携する。

日本は22年5月に英国との円滑化協定も大枠で合意した。豪州との新宣言を足がかりに米英豪3カ国との協力も深める。

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