中国軍幹部人事も台湾統一念頭 習近平氏の側近ずらり

中国軍幹部人事も台湾統一念頭 習近平氏の側近ずらり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM231950T21C22A0000000/

『【北京=羽田野主】中国共産党は23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)で、軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の体制を固めた。習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)を頂点に、習氏に近くて台湾情勢に精通した幹部を相次ぎ引き上げた。台湾の武力統一も選択肢に軍拡を加速する見通しだ。

【関連記事】

・習近平氏、3期目指導部が発足 首相候補に李強氏
・中国最高指導部、「習派」8割に 政治リスク増大懸念
・経済も習氏直轄 側近の李氏・何氏が運営へ
・中国の強硬外交継続へ 仕切り役に王毅氏、台湾で緊張も
・習近平氏の「革命」 世界に問い

中央軍事委は習氏をトップに7人の幹部で構成する。台湾の武力統一の是非や核弾頭を搭載する弾道ミサイルの使用といった重要事項はすべて習氏を核とする中央軍事委の裁可が必要となる。台湾問題を中心とした東アジアの情勢に大きな影響を及ぼしうる。

目玉の人事となったのは直近まで台湾や沖縄県・尖閣諸島方面を担当していた何衛東・前東部戦区司令官。初めて中央軍事委に入った。台湾と向き合う福建省の出身で、同省に拠点を構える第31集団軍の出身。台湾情勢を熟知しているとされる。今回の党大会で党序列200位以内の中央委員にも選ばれ、党内の地位も上がった。

現副主席の張又俠氏は異例の続投が決まった。72歳と高齢で、本来なら党大会時に68歳以上は引退する慣例に該当する。69歳の習氏とともに党の不文律を破った。習氏の父親である習仲勲元副首相と張氏の父親は国共内戦時代の戦友で、習氏と張氏も昔から親密な関係にあるとみられている。

現軍事委メンバーである苗華政治工作部主任も続投が決まった。福建省にある第31集団軍の出身で習氏が福建省勤務時代に知り合った。軍の関係者は「両氏は30年来の仲で強い信頼関係で結ばれている」と話す。

習氏は2015年に陸軍偏重だった軍を陸・海・空軍などが一体になって戦える体制に改める軍改革に着手した。白羽の矢を立てたのが陸軍出身の苗氏で、海軍に転籍して軍の縦割りの打破に協力した。

「習氏の子飼い」と言われる陸軍司令官の劉振立氏も中央軍事委に入った。首都防衛の責任者を長年勤め、陸軍で最も優秀な精鋭部隊を任されたこともある。

革命時代の老幹部の子弟を指す「紅二代」で、軍内で習氏の信頼が厚いといわれる李尚福氏も中央軍事委入りした。李氏は米国から制裁の対象になった人物。軍最高幹部への登用で米国に一歩も譲らない姿勢をみせた。

実は党でも台湾を意識した異例の人事があった。福建省トップの尹力氏が党序列24位以内の政治局員に抜てきされた。福建省は中国の台湾政策の最前線。習指導部として今後重視する判断を示したことになる。

中国軍事に詳しい防衛研究所の杉浦康之主任研究官は「米中対立や台湾問題への危機感を強める習氏は忠誠心を重視し、信頼できる陣容を敷いた」と指摘する。

共産党は22日閉幕した党大会で党の憲法ともいわれる党規約に「台湾独立に断固として反対し抑え込む」という一文を盛り込むことを決めた。

習氏は今後5年の方針を示す活動報告で「決して武力行使の放棄を約束せず、あらゆる措置をとるという選択肢を残す」と強調。台湾問題に関与を強めるバイデン米政権への強硬姿勢を貫いた。

「祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」とも話し、習指導部の3期目の事実上の公約に位置づけた。

クリックするとビジュアルデータへ https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/cpc-national-congress-2022/ 

習近平氏、3期目実現への道 中国共産党大会が閉幕 』