第2次大戦以来最大の戦争となったウクライナ戦争の“終わらせ方”とは…

第2次大戦以来最大の戦争となったウクライナ戦争の“終わらせ方”とは…【報道1930】
https://news.yahoo.co.jp/articles/fcda8748c1e8f2aeb9883d2c5e141f884b6ead83

『ロシアの一方的な4州併合に対して、東部南部で激しい反撃に出るウクライナ。“劣勢”“撤退”が報じられるロシア軍は、無差別的ミサイル攻撃を展開。プーチン氏が呼び掛ける停戦とは真逆の方向に事態が展開する中、NATOは「ステッドファスト・ヌーン」と名付けた核抑止のための演習を始めた。イギリス・ベルギーの上空でアメリカの爆撃機を含む60機の航空機が演習。核爆弾の投下訓練も行う模様だ。これに対抗するようにロシアも「グロム」と名付けた核演習を実施するとアメリカ政府が発表している。ウクライナ戦争における核使用の可能性はいよいよ危険水域に入った。最悪の事態が起きる前にこの戦争を終わらせる方法は本当にないのか。今一度議論した。

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■「核兵器は使う姿勢をちらつかせることで脅威になって、抑止になる」

戦争の終わらせ方を論じる前に、何かと核使用を振りかざすプーチン氏が本当に核を使う可能性はどれほどなのか。ロシアの軍事面と外交面、双方の専門家に話を聞いた。

ロシア軍事専門家 パベル・フェルゲンハウエル氏
「戦略核兵器はすぐに使えるが、それ以外の核兵器は国防省の第12総局の基地で保管されているため運び出さなければならない。それを運ぶ手段は、現在核ではない兵器を運ぶためにウクライナで使われている。(中略~つまり戦術核をすぐに使うことは不可能)核兵器は使うための兵器ではなく抑止のための兵器。抑止目的で使うべきであって、実際にもそうなっている。
ロシアの軍人もわかっている。脅威として持っているんだと。クレムリンも同様だ。」

あくまでも抑止力としての核であるとクレムリン(プーチン氏)も考えているはずだとするフェルゲンハウエル氏。これに対し外交の専門家の見方は違うようだ。

ロシア政府系シンクタンク アンドレイ・コルトゥノフ事務局長
「ロシア側はNATOの勝利にならないようにあらゆる手段を使う用意がある。その中には核使用もある。NATO側から通常兵器だけが使われたとしてもだ。(中略)問題はクレムリンがNATOの関与をどう見ているか。NATOは最新の武器や優れた武器の供与だけでなく大量の諜報情報を提供していることはわかっている。軍事作戦の計画にも参加している。でもどこからが支援ではなく直接的関与になるのか“レッドライン”がわからない。(中略)事態を悪化させないためにもロシアとアメリカの対話のチャンネルを再開する必要がある。アメリカの直接的関与の境界線について合意できるかどうか。双方が越えてはいけない“レッドライン”について共通認識を持つことが重要だ」

ロシア人同士でも見方は異なる。が、防衛研究所の高橋氏は、二人の発言に矛盾はないという。

防衛研究所 高橋杉雄 研究室長
「“レッドライン”っていうのは抑止のために設定するんで、その高さの違いだけですよ。抑止力っていうのは使うかもって見せないと抑止になりませんから。使う姿勢をちらつかせることで脅威になって、抑止になる」

ただ高橋氏によればレッドラインを設定することは難しいだろうという。戦争におけるレッドラインとは“あいまいさの妙”だという。即ち、明確なレッドラインを決めるとその線以下の攻撃はOKとなってしまう。つまり、核が使われる可能性は思うほど高くないが、可能性が消えることはないということだ。やはり使われる前に停戦を探ることしかない。』

『■「この戦争は第二次世界大戦以降最大。そういう戦争が簡単に終わるはずがない」

前出のシンクタンク事務局長は言う。「プーチン大統領はウクライナ側の条件ではなく自分の条件で危機を終わらせたい。紛争は終わらせたいが、妥協する気は全くない」
自分の条件とはクリミアはもちろん、併合した4州もロシアの一部とすることに他ならない。当然ウクライナが受け入れるはずもなく、西側諸国も認めるわけがない。つまり停戦合意などあり得ないのだ。では、この戦争の終わらせ方とは一体どんな形があるのだろうか?

防衛研究所 高橋杉雄 研究室長
「この戦争は停戦交渉でしか終わらないんです。つまり、アメリカがフセイン政権を物理的に打倒してイラク全土を占領したように、ロシアがウクライナ全土を制圧、みたいなことはもはやあり得ない。だから何らかの協定で終わるとするなら終わる。ただ今のところお互いの目標があまりにもかけ離れている…。犠牲もたくさん出ている。唯一協定に辿り着くとしたらお互いに消耗しながら何年も戦争を続けて、このまま続くよりは妥協してでもやめた方がいいやってなった時だけ」
といって高橋氏は朝鮮戦争を例に挙げた。

1950年に始まった朝鮮戦争はまさに南北が攻勢と劣勢を繰り返し、3年にわたる消耗戦を続けた。北を援護した中国とソ連、南を支援したアメリカと連合国、双方が疲れ果てた末に休戦協定が結ばれたが、韓国は納得せずサインしなかった。そして、緊張状態は今も続き、いまだに終戦ではなく休戦中だ。

防衛研究所 高橋杉雄 研究室長
「ウクライナ戦争って、参加兵力両軍で100万超えている。戦場も広くてロシアが占領している部分だけでも朝鮮半島より広い。もはやこの戦争は第二次世界大戦以降最大の戦争なんです。そういう戦争が簡単に終わるはずがない。(中略~何年か消耗戦が続いた末に)妥協点としては、ウクライナはいくつかの州をあきらめる。代わりにロシアはウクライナのNATO加盟を認める、みたいなロシアもウクライナも両方とも失う、という形の和平っていうのはあり得る」』

『■「プーチンがあまりにも汚い戦争をやってる」

朝鮮戦争を例に挙げて消耗戦の末に妥協点を探る以外停戦の道はないという見方が現実的なようだ。しかし、番組のニュース解説、堤氏は今回の戦争は朝鮮戦争よりも厄介だと話す。

国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏
「朝鮮戦争と今回の戦争の違い、いっぱいあるんですが最大の違い、それは、ロシアが、あるいはプーチンがあまりにも汚い戦争をやってること。民間人に対する攻撃、拷問、虐殺。これは中東戦争なんかと比べても程度が激しすぎる。これにウクライナの国民感情は、例えば先ほど出たNATOに加盟するかわりに一部の州を割譲するとかで収まるかどうか。収まらないかもしれない。それが他の戦争との違いですよね。」
戦争の長期化は避けられない見通しだ。

先日来日したウクライナ議員団は“最悪のこと”として各国が戦争疲れで支援を弱めることだと話した。まもなくウクライナは寒さの厳しい季節を迎える。

(BS-TBS 『報道1930』10月18日放送より)

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