【解説】 トラス英首相の後任、どんな人たちが有力視されているのか

【解説】 トラス英首相の後任、どんな人たちが有力視されているのか
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63340060

 ※ 今日は、こんなところで…。

リシ・スーナク元財務相

ペニー・モーダント下院院内総務兼枢密院議長

ボリス・ジョンソン前首相

ベン・ウォレス国防相

ケミ・ベイドノック国際貿易相

スウェラ・ブラヴァマン前内相

『イギリスのリズ・トラス首相が20日、辞任を表明した。これにより、与党・保守党では党首選が行われ、勝者がイギリスの次期首相となる。

今回の党首選は来週末までに完了する見込み。

立候補するには、保守党下院議員100人以上の推薦が必要。保守党議員は現在357人のため、候補は多くても3人となる。

実際には候補者は2人か1人になるとみられている。候補者が1人だった場合、その人物が投票を経ずに党首に決まる。

現時点で出馬を表明した議員はいないが、有力な人物を紹介する。

リシ・スーナク元財務相
Rishi Sunak
画像提供,REUTERS

スーナク氏はボリス・ジョンソン前首相の辞任を受けた党首選に立候補し、トラス氏と決選投票を戦った。保守党下院議員からの支持では1位だった。

この選挙活動中、スーナク氏はトラス氏の主張する減税策は経済を傷つけると警告したものの、保守党員からの支持を集められず、2万1000票差で敗北した。

2015年にノース・ヨークシャー州リッチモンドから初当選。その後、わずか5年弱でジョンソン政権における財務相へとのぼりつめた。

新型ウイルスのパンデミックに際しては、経済の停滞を防ぐため財政支出を大幅に拡大した。

低税率・高消費を掲げるサッチャー派の保守党員であるスーナク氏にとって、これは簡単なことではなかったが、その人気を高めるきっかけになった。

しかし、妻の脱税疑惑に加え、新型コロナウイルス流行を受けたロックダウン中に首相官邸などでパーティーが行われていた問題で罰金を課せられ、評判が落ちた。

保守党のアンジェラ・リチャードソン議員は、すでにスーナク氏への支持を表明しており、「この夏、リシ・スーナク氏の党首選を支援したが、彼の適性についての私の見解は変わっていない。むしろこの6週間で、その考えがより鮮明になった」と述べている。

ペニー・モーダント下院院内総務兼枢密院議長
Penny Mordaunt
画像提供,REUTERS

モーダント氏は今週初め、議会での緊急質問でトラス首相の代理を務め、首相になった気分を味わうことができた。

その自信に満ちた振る舞いは高く評価されており、再びリーダーを狙えるかもしれない。
前回党首選にも出馬したモーダント氏だったが、保守党議員から強い支持を得ていたにもかかわらず、決選投票前に敗退した。

その後はトラス氏を支持すると表明。トラス政権では下院院内総務兼枢密院議長となり、新国王チャールズ3世の即位を取り仕切った。

モーダント氏は2019年、テリーザ・メイ政権でイギリス初の女性国防相に任命された。海軍予備役であり、その前のデイヴィッド・キャメロン政権では国防省の軍担当閣外相も務めた。

ジョン・ラモント議員、マリア・ミラー議員、ボブ・シーリー議員、デイミアン・コリンズ議員が、モーダント氏への支持を表明している。

ボリス・ジョンソン前首相
Boris Johnson
画像提供,GETTY IMAGES

新たな党首を選ぶのに1週間しかないため、候補者の多くは見慣れた顔になりそうだが、つい数週間前まで首相だったこの人ほどよく顔が知られている人はいないだろう。

アックスブリッジ選出のジョンソン氏は、閣僚など政府要人が一斉辞任したのを受けて、今年7月に党首を辞任したばかり。

ジョンソン氏をめぐっては、昨年12月以降、新型コロナウイルスのロックダウン中に首相官邸などでパーティーを複数回行ったことが発覚。

また、「問題行動」(※ 『英保守党のクリス・ピンチャー院内副幹事長が6月30日、同職を辞任した。英タブロイド紙サンなどが、会員制クラブで男性2人に痴漢したと報じたため。』というもの)が指摘されていたクリス・ピンチャー議員を院内副幹事長に任命するなど、相次ぐ不祥事で数カ月にわたって進退が議論されていた。

下院の特別委員会は現在、ロックダウン中のパーティーについてジョンソン氏が「首相官邸ではロックダウンのルールが守られていた」と発言したことが、議会を欺く行為だったかを調査している。パーティーについては、ジョンソン氏も罰金を科せられている。

しかし、ジョンソン氏はなお議員と一般党員の双方に支持者がいる。長年の支持者であるナディン・ドリス議員は、2019年の選挙で国民から信任を得たジョンソン氏が復帰すべきだと主張している。

ベン・ウォレス国防相
Ben Wallace
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党内でも意見が分かれる有力者が多い中、ウォレス国防相は同僚議員から広く、安全な人物と見られている。

ロシアのウクライナ侵攻を受け、イギリスが早くからウクライナへの兵器や訓練の供与を決定したことから、ウォレス氏は注目を浴びている。

ウォレス氏はブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)には反対だったものの、離脱派だったジョンソン氏の主要な支持者であり続け、2019年の総選挙後に内閣入りを果たした。
政界入りする前は軍人としてドイツやキプロス、ベリーズ、北アイルランドなどで従軍。北アイルランドでは、アイルランド共和軍(IRA)によるイギリス兵への爆弾攻撃を阻止した。

保守党のウェブサイトでの支持率調査でトップだったこともあり、ジョンソン氏の辞任後にも出馬がささやかれたものの、ウォレス氏はトラス氏支持を表明し、同氏を「本物」だと評価していた。

ケミ・ベイドノック国際貿易相
Kemi Badenoch
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ベイドノック氏は前回党首選で驚異のブレイクスルーを果たした。勝利こそしなかったものの、大きく評判を上げることとなった。

経歴は政務官などを歴任した程度だが、閣僚経験者のマイケル・ゴーヴ議員の支持を得ている。また、人種的偏見や差別問題を意識する「ウォーク」カルチャーへの攻撃で注目を浴びた。

ロンドン南部ウィンブルドン生まれのベイドノック氏は、幼少時代をアメリカや、両親の母国であるナイジェリアで過ごした。

金融業界や英雑誌「スペクテイター」などで勤めたあと、ファフロン・ウォルデンから下院議員に当選。

トラス政権で国際貿易相に任命された。

スウェラ・ブラヴァマン前内相
Suella Braverman
画像提供,GETTY IMAGES

ブラヴァマン氏が19日に内相辞任を表明したことがトラス氏への圧力を高め、24時間後の首相辞任につながった。ブラヴァマン氏の辞任はデータ保護規定違反が原因だったが、辞表にはトラス政権の移民対策に対する怒りが表れていた。

ブラヴァマン氏は社会問題をめぐり、保守党内の右派にアピールしている。不法移民のルワンダ移送計画を自身の「夢」だと語り、「豆腐ばかり食べるウォークの連中」を批判した。

元弁護士で、ジョンソン政権では法務長官に任命された。前回党首選にも出馬したものの、第2回投票で敗退している。

1960年代にケニアとモーリシャス諸島からイギリスへと移住した両親は、共に地域政治に関わっていた。母親は16年間、市議会員だったという。

閣僚が有給の育児休暇を取れるよう法改正がされてから、初めてこの制度を利用した閣僚でもある。

党首選の流れ

(英語記事 Who could replace Liz Truss as prime minister?)』