賄賂に3つの受け皿か 五輪汚職、5ルートで計1.9億円

賄賂に3つの受け皿か 五輪汚職、5ルートで計1.9億円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE181600Y2A011C2000000/

『東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)が広告大手のADKホールディングス(HD)など2社から賄賂を受領したとして再逮捕された。元理事の逮捕は4回目で、立件された賄賂額は計約1億9600万円に拡大した。元理事の知人が代表を務める休眠状態の会社が、2社からの資金の受け皿となっていたことも判明。一連の事件では資金授受に3つの会社が介在しており、東京地検特捜部は元理事が賄賂受領の「財布」を使い分けていたとみている。

「五輪に関わった実績を作りたい」。関係者によると、ADKHDと高橋元理事の関係が深まったのは、五輪の招致活動が本格化していた2013年ごろ。同社でスポーツビジネスを担当していた元部長補佐の多田俊明容疑者(60)が共通の知人を介して、元理事を紹介してもらったのがきっかけという。多田元部長補佐は高橋元理事の事務所を頻繁に訪れ、五輪事業についての相談を重ねた。

18年11月、同社が念願だった駐車場最大手のスポンサー契約の代理店業務を担えることが決まると、高橋元理事が見返りとして、ADKHDが得る「業務委託費」の半額を送金するよう指示したという。送り先は高橋元理事の同窓生でゴルフ仲間の知人が代表を務める都内のコンサルタント会社で、ADKHDの口座から約2000万円の資金が支払われた。

家宅捜索のため、「サン・アロー」本社に入る東京地検の係官ら(19日午前、東京都千代田区)=共同

公式マスコットの「ミライトワ」「ソメイティ」のぬいぐるみを製造・販売した玩具会社「サン・アロー」(東京・千代田)から約700万円の資金が流れたのも同じコンサル会社だ。18年ごろ、サン・アローの幹部が「ぬいぐるみを販売できるライセンス契約の審査を緩めてほしい」と高橋元理事に依頼し、販売契約が実現すると、元理事からはこの会社に売り上げの一部を送金するよう要求されたという。

コンサル会社は登記簿によると、1986年に設立され、今年9月に解散した。ADKHDやサン・アローからの支払いがあった18年ごろには、登記上の本店住所に事務所は存在せず、実質的に休眠状態だったという。同社は事業に資金を使うようなこともなく、特捜部は元理事の賄賂受領の隠れみのとして使われたとみて調べている。

高橋元理事はこの2社以外の3ルートでも、金銭を受け取るための受け皿となった会社を用意したことが分かっている。

その一つが出版大手のKADOKAWAや広告会社の大広からのルートで計9100万円が送金されたコンサル会社「コモンズ2」(東京・中央)だ。元理事の電通時代の後輩だった深見和政被告(73)が経営。元理事が経営する「コモンズ」(東京・世田谷)との間では自由に資金を融通させるような関係にあった。

「コモンズ」自体も紳士服大手のAOKIホールディングスやADKHDとコンサル契約に基づく金銭授受の舞台とされた。AOKIHDの事件ではスポーツ事業全般に関する助言料とされたが、資金の趣旨は五輪事業に関する仲介への謝礼だったとみられている。

休眠状態のコンサル会社の代表はサン・アローの幹部らとも近い関係にあったという。KADOKAWAルートでは深見被告が電通時代に知人だったKADOKAWA幹部とのつながりが利用された。特捜部は元理事がどのような人脈で「仲介ビジネス」を拡大したのかについても全容解明を進める方針だ。』