「併合」地域の戒厳令は無効 ウクライナ、強制動員警戒

「併合」地域の戒厳令は無効 ウクライナ、強制動員警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR19EMI0Z11C22A0000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】ロシアが一方的に併合したウクライナの4州で戒厳令を敷くことに対し、ウクライナ側は19日、ロシア側の決定は「無効」だと反発した。戒厳令によって、ロシア軍が占領地域に残るウクライナ人を強制的に動員しかねないとの懸念も強まっている。

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プーチン大統領による表明に続き、ロシア議会は19日、戒厳令を正式に承認した。予定通りなら20日から、ウクライナのドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソンの各州で導入が始まる。

ウクライナ外務省は19日の声明で、ウクライナ領における「『戒厳令』とされるもの」は「無効だ」と断じた。そのうえで、被占領地の住民の財産を奪ったり、住民を強制移住させたりするための口実に使われる可能性を指摘した。

ロシアのタス通信によると、ウクライナが奪還を目指すヘルソン州の親ロシア派は19日、住民の強制移住を開始した。約1週間で5万~6万人を退避させるとしている。

戒厳令では戦時体制の下、兵士の動員が可能になる。住民の移動を制限したり外出を禁止したりすることもできる。ただ、予備役を対象とした部分的な動員令は既にロシア全土で始まっており、戒厳令の施行で対象が拡大するかは定かでない。

ロイター通信によると、南部ミコライウ州のキム知事は、戒厳令の目的は「占領地に残っている我が国の人々を(ロシア軍兵士として)動員するため」ではないかとの見方を示した。

米国務省のパテル副報道官は、ロシアが4州を支配するため「必死の戦術に頼っている」とし、ウクライナの4州に対していかなる法律を施行する管轄権もないと強調した。

一方、ウクライナは20日から全土で電力供給の制限を始める。大統領府高官がSNS(交流サイト)で明らかにし、午前7時から午後11時までの間、電力の使用を最小限にするよう呼びかけた。使用量が増えると停電する可能性があるという。街灯も減らす。

ロシアは10日以降、首都キーウ(キエフ)を含むウクライナ各地にミサイル攻撃などを加えている。ゼレンスキー大統領によると、国内の発電所の3割が破壊された。気温の下がる冬に向けてエネルギー供給に不安が生じている。』