「フランスは出て行け」 アフリカでかすむ旧宗主国

「フランスは出て行け」 アフリカでかすむ旧宗主国
きしむ世界、揺れる新興国(3)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR06E4N0W2A001C2000000/

『「フランスは出て行け」。今年2回目のクーデターがあった西アフリカのブルキナファソで10月初め、ロシア国旗を担いだ市民が街頭に繰り出した。クーデター実行部隊は、旧宗主国のフランスに代わる「他のパートナー」と協力する意向を表明。呼応するようにデモ隊は「ロシアとブルキナファソの協力万歳」と叫んだ。

同じく仏植民地だった隣国のマリでは8月、駐留仏軍が完全に撤収した。代わりにロシア政府に近い民間軍事会社「ワグネル」が治安維持を担っているとされる。アフリカの大半を20世紀まで支配した欧州の旧宗主国は、存在感がかすむ一方だ。

6月、コンゴ民主共和国(旧ザイール)は61年前に暗殺された独立の英雄、ルムンバ初代首相の「葬儀」を挙行した。国旗をかけたひつぎに納めたのは、同氏のものとされる歯だ。旧宗主国のベルギー政府が遺族に返還した。フィリップ国王はその直前にコンゴを訪れ、75年にわたる支配時代について深い遺憾の意を示した。

欧州の旧宗主国と対照的に、ロシアや中国は苛烈な植民地支配という暗い歴史を引きずっていない。貿易や軍事協力でアフリカに近づき、欧州勢の退潮の隙を突くように浸透した。アフリカにとって中国は輸入額の2割を占める最大の貿易相手だ。

アフリカの指導者は、中国が広域経済圏構想「一帯一路」に沿って貸し付ける巨額のマネーになびいた。鉄道や道路は短い納期で完成し、人権や民主化でとやかく言われることもない。

アフリカでも多くの国で中国が最大の債権国となり、借金のカタに資源やインフラの権益を握られる「債務のわな」は喫緊の問題に浮上する。アフリカ開発銀行の総裁、アキンウミ・アデシナは8月末、債務問題について「天然資源を担保にすることがないよう透明性が必要だ」と訴えた。

中国人労働者の流入にも反感が強まる。「彼らを国へ送り返せるだけの飛行機がある」。8月のケニア大統領選で当選したウィリアム・ルトは6月にこう述べ、物議を醸した。

冷戦下の1950~60年代、アフリカや東南アジア諸国は「非同盟主義」を掲げ、米ソ両陣営にくみしない立場をとった。大国間の争いを避けて独立を維持する狙いがあった。新たな分断の時代を迎え、アフリカ諸国は大国と距離を置く第三勢力として荒波を乗り越えようとしているのだろうか。(敬称略)

【ルポ迫真「きしむ世界、揺れる新興国」記事一覧】

・「我々は米国の裏庭ではない」 中南米に左派政権相次ぐ
・トルコは曲芸師か 綱渡りの利下げ強行、通貨安打撃も

【関連記事】

・西アフリカにロシア浸透 ブルキナファソで政変
・中国、対アフリカ巨額融資を見直し 一帯一路が曲がり角
・アフリカで勢力争い激化 EUが巨額支援、中国に対抗

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』