イラン首都の刑務所で大規模火災、爆発音と銃声も 複数死傷と報道

イラン首都の刑務所で大規模火災、爆発音と銃声も 複数死傷と報道
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28227

『イランの首都テヘランにある悪名高いエヴィン刑務所で15日、大規模な火災が発生した。イラン国営メディアによると、服役中の4人が死亡し、61人が負傷した。同刑務所は政治犯やジャーナリスト、外国人が収容されていることで知られる。

刑務所内の複数の消息筋は、BBCペルシャ語に、死傷者は国営メディア報道より多いと話した。

オンライン上で共有された複数の動画では、現場から炎と煙が上がる様子や、銃声と爆発音が確認できる。

国営メディアは当局者の話として、事態は制御されていると伝えた。ただ、複数の動画では燃え続けているように見える。

イランはこの数週間、反政府デモに見舞われている。

一連の抗議行動は、頭髪を覆うよう女性に義務づけた法律に違反したとして、クルド系女性のマサ・アミニさん(22)が道徳警察に逮捕され、その後に死亡した事件がきっかけ。当局はアミニさんの死因は基礎疾患によるものだとしているが、遺族は道徳警察に殴られて死亡したと主張している。

BBCペルシャ語のラナ・ラヒムプール記者によると、エヴィン刑務所の火災と抗議行動に関連があるかはわかっていない。

ただ、数百人もの抗議者が同刑務所に送られていることから、関連がある可能性はあり得ると、同記者は指摘した。

国営メディアは火災の原因は「犯罪的要素」だとする当局者の言葉を引用し、抗議行動との関連はないことを示唆した。

政府によって厳しく管理されているイラン・メディアは、この暴動は金融事件などの囚人が起こしたもので、政治犯は関与していないと報じた。8人が負傷したとしている。

テヘラン州知事は刑務所内から国営メディアのインタビューに応じ、暴動は刑務所の軽犯罪者を収容する棟で起き、完全に状況は落ち着いていると語った。

ソーシャルメディアで一部のジャーナリストは、当局が「わざと刑務所に放火した」と書いている。その直前に、政治犯として収監されていたイランの元大統領の息子が「仮釈放」されたことが、その理由だという。

国営メディアは、火災後の刑務所の様子だとする写真を伝えた。

反政府監視団体がソーシャルメディアに投稿した動画では、「独裁者に死を」という叫び声が刑務所の外から聞こえる。これは反政府抗議運動の主要スローガンの1つ。

BBCペルシャ語によると、別の映像では刑務所の外から何かが撃ち込まれているように見える。映像ではその後、爆発音が聞こえた。

しかし、BBCペルシャ語のカスラ・ナジ記者は、刑務所内はまだ混乱していると報告している。ソーシャルメディアには、火が燃え続ける様子や刑務所周辺で銃声が聞こえる様子を捉えた動画の投稿が続いている。

複数の画像には、政治犯や過去4週間に逮捕された抗議者の多くが収容されている刑務所の一角の屋根に受刑者が上っている姿が写っていると、同記者は指摘する。

一部の受刑者の家族はBBCに対し、通常は受刑者と電話で連絡が取れるが、いまは電話がつながらず、刑務所周辺のインターネット接続も遮断されたようだと述べた。

刑務所に通じる道路は封鎖された。

これに先立ち、機動隊がエヴィン刑務所に入る映像が浮上した。特殊部隊が配備されたとの報道もある。現場には救急車も到着していたと、目撃者はロイター通信に語った。

エヴィン刑務所には、イギリスとイランの二重国籍を持ち、スパイ容疑などでイランで長年拘束されていたナザニン・ザガリ=ラトクリフ氏とアヌーシェ・アシューリ氏が収容されていた。2人は3月に解放されてイギリスに帰国した。

同刑務所は長い間、欧米の人権団体から批判を受けてきた。人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、当局者が拷問や無期限収容などで脅迫し、長時間の尋問を行ったり囚人が医療を受けるのを拒否していると非難している。

「アダラト・アリ」(アリの正義)と名乗るハッカー集団は昨年8月、看守が受刑者を殴ったり虐待する様子を捉えた、刑務所から流出した監視カメラ映像を投稿した。

同刑務所に自国民が収容されている一部の外国政府は懸念を表明している。

米国務省の報道官は、同省は「危機感を持って」事態を見守っていると述べた。イギリスのトム・トゥーゲンダート安全保障担当閣外相は「非常に憂慮すべき事態」だとした。

(英語記事 Huge fire and gunshots at notorious Iranian prison)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63274423 』