ノルドストリーム、ノルドストリーム2の爆破事件について。

ノルドストリーム、ノルドストリーム2の爆破事件について。 : 机上空間
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『ロシアからパイプラインで、ドイツまで天然ガスを運ぶノルドストリームとノルドストリーム2のパイプラインが、何者かによって爆破されました。爆破の起きた現場では、パイプ内に残っていたガスが海中に噴出して、巨大なアブクが円を描いています。まぁ、このガスについては、既にロシアがドイツへの供給を完全に止めてますし、天然ガスは水に溶けるので、環境への影響は軽微と考えられています。

これが爆破テロである事は、ほぼ間違い無いと断定されていて、問題は誰がやったかになっています。海中を通るパイプラインを爆破するには、潜水艦が必要になります。海上だと、ウクライナ侵攻が起きて以降、当然、パイプラインの監視は強化されているので、気が付かれずに爆破を行うのは、不可能です。まず、この現場の条件を頭に入れておく必要があります。その上で、可能性があるのは4カ国だけです。

・ウクライナ

最も可能性が低いのがウクライナです。まず、このテロを行う能力がありません。ウクライナが持っていた潜水艦は、ロシアに占領されたクリミア半島の港にあった1隻だけで、既にロシアに鹵獲されています。つまり、テロを行う手段を持っていません。そして、いくらロシアから天然ガスを買う事に反対していたからと言って、テロ行為がバレれば、西側の支援を打ち切られるのは確実です。それだけのリスクを払う理由になるとは、まったく考えられません。

・アメリカ

実は、アメリカには理由はあります。そもそも、以前からドイツがロシアにエネルギー供給で依存している事に、とても不満を持っていたのがアメリカです。ドイツがロシアと親密にしている事で、NATOの結束が崩れる原因になると考えている事を隠そうともしていませんでした。ここ近年のアメリカ大統領は、誰もが、この件ではドイツを批判しています。なので、物理的に供給不可能にする事で、ドイツがロシアとの縁を切る事を、望むかも知れない可能性はあります。そして、何よりも、このテロを実行する作戦能力を持っています。潜水艦・人工衛星・高性能爆薬、どれも調達可能です。

・イギリス

理由はアメリカと同じです。そして、イギリスは国家でロシアが嫌いです。一時期、ロシア人富豪が、イギリスの金融街であるシティーに乗り込んできて、荒稼ぎをしていましたし、当時のロンドン市長であるケン・リビングストン氏の積極的なロシア資本の誘致もあり、実はロンドンにはロシア富豪の海外資産が集中しています。結果として、一時期、ニューヨークを抜いて、取引高で世界一の金融都市になった事もあるのですが、まぁ、市民からは好かれなかったみたいで、イギリスのロシア嫌いは筋金入りです。そして、テロ現場に一番地理的に近く、実行能力も持っています。もしかすると、アメリカから話を持ちかけられて、イギリスが実行した可能性もあります。

・ロシア

ロシアが自身が管理しているノルドスリームを破壊する理由は、2つ考えられます。一つには、エネルギーの価格がパニック高騰から、世界経済の沈滞ムードで需要が減って、かなり下がってきているという事があります。エネルギー価格を吊り上げるには、何か事件を起こすのが一番てっとり早いです。そして、ウクライナ侵攻に対する経済制裁に対抗して、適当な理由をつけて天然ガスの供給を止めてしまった以上、ロシアの国家の信用はゼロになっています。

ここは、なかなか理解が難しいところなのですが、国家間で交わした約束というのは、その当事者同士が紛争状態になっても守らなくてはならない義務があるのです。ロシアは、年度で区切ってEUと天然ガス供給の契約を交わしていますから、例え何が起ころうと、その義務は果たす必要があります。直接、EUと戦争をしていない限り、例え経済制裁をくらっているとしても、それはそれ、これはこれなのです。なので、ロシアは東西冷戦の時代を通して、約束を違えて天然ガスや原油の供給を止めた事はありませんでした。それだけ、国単位で交わした約束というのは拘束力があるし、もし、違えた場合、例え原因が解決しても、約束違反を理由に、以後は買ってもらえなくなる事を意味します。経済において、信用というのは、それだけ重要です。

それゆえ、以後、使用される事が無いと思われる施設を、破壊する事にロシア側の抵抗は、私達が考える程無く、これでエネルギー価格が吊り上がるなら、やっても不思議ではないのです。そして、もちろん、実行する能力は持っています。

今のロシアの戦況を考えると、真っ先にロシアを疑いたくなるのですが、アメリカ・イギリスの線も、同じくらいあると思っています。まあ、今のロシアの強引な動員令を見ても判りますが、国家戦略にとって、国民というのは、どんな体制の国家であっても、消耗品であり駒なのです。国の指導者が何を言っていても、世界が国境で仕切られて、国という統治機関で成り立っている以上、国民を犠牲にしても国家の存続を計るのは、なんともしがたい現実です。』