[FT]パラグアイ、台湾に「関係維持なら10億ドル投資を」

[FT]パラグアイ、台湾に「関係維持なら10億ドル投資を」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB305920Q2A930C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『南米パラグアイのベニテス大統領は、国交樹立を迫る中国の「強い」圧力を受けており、これに抗するには台湾から10億ドル(約1400億円)の投資が必要だと表明した。

パラグアイを訪問して同国のベニテス大統領(右)と並ぶ台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統(2018年、アスンシオン)=ロイター

台湾と外交関係を維持する国の大半はパラグアイをはじめとする中南米・カリブ海諸国だ。中国政府は援助、融資、貿易拡大と引き換えに、こうした国々を相次ぎ、台湾から奪いつつある。このなかではパラグアイが最大の国で、同国が台湾と断交して中国を承認すれば、台湾当局には大きな打撃となる。

米国を訪問したベニテス氏は取材に対し「パラグアイ国民が(台湾との)戦略的提携で得る利益を実感できるよう、台湾総統と共に取り組んでいる」と語った。
外交関係のない国へ計60億ドル以上を投資する台湾

そのうえで「台湾は外交関係のない国へ計60億ドル以上を投資している。そのうちの10億ドルをパラグアイに向けてほしい」と訴えた。「そうすれば戦略的提携が重要だと(国民に)証明できる」

台湾の外交部(外務省)に電子メールで問い合わせると、ベニテス氏が台湾に10億ドルの投資を求めている事実は「台湾とパラグアイの戦略的提携に大きな意味を持つ」という回答が送られてきた。

外交部は「台湾企業に対してパラグアイ政府は、同国を訪問して投資の可能性を探るよう求めている」とも付け加えた。

この5年間でパナマ、エルサルバドル、ドミニカ共和国、ニカラグアが台湾との断交(と中国との国交樹立)に踏み切った。この一連の動きは、中南米・カリブ海諸国と台湾の外交関係の維持を強く望む米国にとって脅威だ。

パラグアイは大豆や牛肉の主要な輸出国だ。だが、中国政府が不可分の領土だと主張する台湾と外交関係を持つため、巨大な中国市場を開拓できないでいる。パラグアイ国内で強い影響力を持つ農業団体はいら立ちを募らせている。
大豆、食肉の生産者は中国市場を求める

ベニテス氏は「食肉価格の下落局面が訪れたとして、中国に輸出できなければ(農作物の)生産者は何と言うだろうか」と話す。「生産者は『中国市場に輸出する必要がある。台湾がパラグアイに何をもたらしてくれるのか。パラグアイが生産した大豆や食肉をすべて中国に輸出してもよいではないか』と要求するはずだ」

台湾は22年、パラグアイに投資調査団を2回、派遣した。17年にはパラグアイに工科大学を開設し、いまでは400人が学んでいる。

英誌フォーリン・ポリシー・アナリシス(FPA)が掲載した21年の研究論文によると、台湾との外交関係が原因でパラグアイが得られなかった援助や投資は05~14年、1年あたりの国内総生産(GDP)の1%に相当した。論文の執筆陣は「パラグアイは中国から何も受け取っていない。この『穴』は台湾からの資金流入で埋められなかった」と指摘した。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、中国が唯一のワクチン供給国だった時期、パラグアイは調達できなかった。ベニテス氏は、隣国ブラジルに駐在する中国の領事と協議するため保健相を派遣したと明らかにした。

「中国の一部になるか、国交を結ぶか」

この領事は「あなたの国には3つの選択肢がある」と保健相に告げたという。「中国の一部になるか、中国と国交を結ぶか、そのどちらでもない貧しい国でいるかだ。これらが中国の重視する条件だ」

台湾と外交関係のあるグアテマラとホンジュラスも、似たような話があったと明かしている。ホンジュラスは21年、ワクチンを確保するため中国での通商事務所の開設を検討していると表明した。台湾は、中国政府が政治や外交の面で利益を得るための道具としてワクチンを利用していると非難した。

パラグアイはワクチンの入手に手間取ったが、世界銀行は同国を、安定した政府とマクロ経済の規律により、新型コロナへの対応力が最も高い国の一つだと認めた。GDPは20年が前年比0.8%減にとどまり、21年には4.2%増に回復した。ベニテス氏は22年の実質成長率を2.0%と予想する。

英ワーウィック大学の教員で政治学が専門のトム・ロング氏は、ベニテス氏の与党コロラド党と米政権が別の問題で緊張を高めた局面もあったが、パラグアイは台湾と外交関係を持つことでよかった点もあると指摘する。ロング氏はFPAに掲載された21年の研究論文の執筆にも加わった。

ロング氏は「パラグアイは小国だが、台湾と外交関係があることで、台湾と米政界の一部から、通常ではなかなか得られない関心と特別扱いを受けている」と指摘した。

By Michael Stott & Kathrin Hille

(2022年9月29日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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