ソロモン一転、声明に参加

ソロモン一転、声明に参加 米・太平洋島しょ国首脳会合
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM302DL0Q2A930C2000000/

『【シドニー=松本史】米ワシントンで29日まで開かれた米国と太平洋島しょ国の首脳らの会合で、ソロモン諸島が同日発表された声明に署名した。ソロモンは声明について参加しない方針を示していた。中国寄りの姿勢を強めるソロモンが一転して声明に加わった背景には、同国のソガバレ首相のしたたかな外交戦略があるとの見方が出る。

バイデン米大統領が初めて開いた首脳会合では、ソロモンを含む15カ国・地域が協力強化に向けた声明となる「米太平洋パートナーシップ宣言」を発表。11項目からなる声明は米国と島しょ国の連携強化や気候変動対策での協力などを盛り込んだ。またロシアのウクライナ侵攻を「残忍な戦争」と表現、侵略戦争を非難する姿勢を強調した。

一方で、書かれなかった文言にも注目が集まる。オーストラリアの公共放送ABCは声明の草案には「台湾海峡を含むインド太平洋の平和と安定」への言及があったと報じたが、発表された声明に「台湾」の文字はなかった。

また声明は米国による新たな大使館開設や開発協力について「太平洋(島しょ国)首脳は米国の関与強化を歓迎する」と明示した。その一方で、安全保障面での協力強化については米国の関与に「留意する」との表現にとどめた。

「巧みな外交だ」。ある島しょ国の関係者は会議終了後、ソロモンの声明参加をこう表現した。中国を念頭に地域との連携を打ち出したいバイデン政権に対し、ソロモンが声明への参加拒否をちらつかせて文言を修正させたとの見方が専門家からは出る。

ソロモン諸島に詳しいアデレード大学のエドワード・カバナー氏は「(中国に対する)挑発的な文言や、ソロモンと中国の関係を中傷する内容に対し、ソガバレ氏は草案の修正に個人的な影響力を発揮したのでは」との見方を示す。

ニュージーランドにあるマッセイ大学のアナ・ポールズ上級講師も「草案にはソロモンが快く思わない点が複数あった」と指摘する。同時に、米中が地域での影響力を強めようとせめぎ合う中で「島しょ国のほとんどは地政学的な対立に巻き込まれることを警戒している」と話す。

台湾に関する文言については「ソロモン以外の国からも懸念が出ただろう」とみる。ある島しょ国の関係者は、声明について米国と1カ月近く交渉を重ねたと明らかにする。

中国は5月末、王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が島しょ国10カ国の外相らと開いたオンライン会合で、地域全体での安全保障協力の強化に向けた合意を模索した。事前の協議がなかったと島しょ国が懸念を示して合意は見送られたが、地域への浸透を目指す中国の方針に変更はないとみられる。太平洋島しょ国を巡る米中の攻防は今後も激しさを増しそうだ。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Biden-s-Asia-policy/Solomon-Islands-signs-U.S.-Pacific-partnership-statement-in-about-face?n_cid=DSBNNAR 』