部分動員の現実

部分動員の現実 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29755046.html

『ロシアのプーチン大統領令で始まった部分動員の酷い現実が見えてきました。この大統領令は、事前に準備をしていたらしく、発令直後から招集令状の発行や、強行動員(いわゆる、人狩り)が始まっています。色々な例が出ているのですが、まず、今年の冬にでも影響が出そうなのが、畑で農作物の収穫をしている農民を、作業を中断させて、その場で連行する様子がSNSに投稿されています。

収穫して、袋に詰めた農作物は、畑に放置されたままで、誰かかが回収しない限り、腐って終わりでしょうねぇ。こういう事が、単に動員条件を満たした市民に対して、無分別に行われているなら、ロシアは、今年の冬に食糧難に襲われるでしょう。制裁処置で、外国から思うように輸入ができない状態で、国内の農業を害するような事を平気でやっているようでは、食料危機がまったなしです。

中国の防疫対策でも見られた事ですが、国が決めた方針を大々的に行う場合、素人が考えても深刻な影響が出る事でも、完全に無視して、与えられた目標を機械的に達成するというのが、共産国の特徴です。それは、事実上の一党独裁で、司法も立法も行政も、組織図では分かれていますが、事実上、党の下部組織に成り下がっている為、眼の前にぶら下げられたニンジンを追いかけるがごとく、とにかく数字を消化する事しか頭に無くなるからです。また、それを、客観的に評価して、止める仕組みもありません。

招集された人々の中には、本来なら動員対象外の45歳以上の市民、退役していて糖尿病の持病を抱えている元中佐、動員対象外なはずの兵役すら経験していない学生も含まれています。プーチン大統領が何と説明しようと、現場では「指示された数を招集する」事が、最優先で動員をかけています。

実は、ロシア市民も、今までの共産党のやり口を知っているので、公に説明されている事が、誠実に実行されると考える人は、殆どいませんでした。何しろ、ロシアが爆速で開発した、コロナ対策ワクチンの「スプートニク」でさえ、その効果と安全性を疑って、接種を拒否する市民が大勢いました。基本的に、一律で国が命令する事は、言葉とおりには信じていないのです。何度も、裏切られているゆえの不信感が、常識と化してしまっている国がロシアです。

これは、中国も同じで、武漢肺炎対策の都市封鎖を、やらないと行政が説明しても、それを信じるマヌケが最終的にババを引く事は、判っているので、噂が出た時点で、商店には買い占めに走る市民が殺到しました。そして、案の定、言った舌が乾かないうちに、ロックダウンが行われるわけです。行政の説明を信じた、模範的な市民が、一番苦しむ事になります。

つまり、昨日の記事でも書いたように、建前と実際の乖離が激しいし、現場は指示された数字を達成する事しか考えていないので、政府を信頼したり、誠実に行動した人間が、結果として一番、酷い目に遭います。政府が発表する内容は、広告部が市民の反発を受けないように作った作文に過ぎず、実際は違うのが当たり前なのです。

それゆえ、基本的に血で繋がった身内や、近所に住んでいる知人以外は、信用しない社会が出来上がります。中国では、道でうずくまっている老人を親切心で、病院まで送り届けたら、後で慰謝料を請求されて、裁判所も、それを認めたという事件があってから、道で倒れている人がいても、素通りするのが当たり前になっています。いちゃもんを付けられて、慰謝料を請求される詐欺かも知れないからです。人を信用する奴が馬鹿という常識が蔓延しています。

これは、文化大革命の時代に、密告が推奨されて、密告をしていないと、革命に非協力的であるとして、それ自体が告発されるような地獄の社会を経験しているからこそとも言えます。これによって、子が親を告発したり、友人が知人を告発したりする密告合戦が起きて、相互不信が高ました。共産党にとっては、こういう不信が蔓延る社会というのは、コントロールがしやすくて、ある意味、好ましいのです。「憎しみと不信は、独裁者の糧」なのです。人々が協力する事が無くなり、革命が起きる芽が無くなるからです。

今後、動員をきっかけとして、プーチン大統領が失脚するかいなかは、今までの歴史の中で培われた相互不信の社会を越えて、人々が連携できるかにかかっています。そして、それは、多くのマスコミが、言い出しているように、簡単な事では無いはずです。プーチン大統領は、目的の為に人を動かすのに、恐怖がいかに有効かを、今までの実体験から知り尽くしています。その為、判る人には判る形で、非協力的なオリガルヒ(経済貴族)を、事故死として暗殺しています。見せしめですね。この壁を突破するのは、簡単ではありません。 』