中国に「一帯一路2.0」構想、問題噴出で方針転換

中国に「一帯一路2.0」構想、問題噴出で方針転換
融資慣行は「債務のワナ外交」との批判
https://jp.wsj.com/articles/china-reins-in-its-belt-and-road-program-1-trillion-later-11664238557

 ※ 今日は、こんなところで…。

『 By Lingling Wei
2022 年 9 月 27 日 09:50 JST

 中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の見直しに着手した。影響力の拡大を狙い、アジアやアフリカ、中南米諸国に多額の資金を投じてきたが、ここにきて債務国の返済が行き詰まっており、軌道修正を余儀なくされている。政策運営に関与している複数の関係者が明らかにした。

 世界経済の減速や金利上昇、インフレ高騰が足かせとなって、借り手の国家財政は急速に悪化。巨額の融資返済が滞っているほか、多数の開発案件が凍結に追い込まれている。中国の融資慣行を巡ってはかねて「債務のワナ外交」との批判も上がっており、スリランカやザンビアなどの債務危機を助長しているとの指摘は絶えない。

 こうした中、中国当局内では新規プロジェクトへの融資審査を一段と厳格化する「一帯一路2.0」構想が浮上した。またかたくなに拒否していた不良債権の計上や債務再編に対しても、幾分許容する方向へと傾いているという。関係筋が明らかにした。

 習近平国家主席はかつて、一帯一路を「世紀のプロジェクト」と呼んではばからなかった。しかし、見直しを迫られている現状は、世界の秩序を塗り替えるという習氏が描くビジョンの限界を露呈させた。習氏は昨年11月に開いた高官との協議で、一帯一路を取り巻く外部環境は「ますます複雑さを増している」との認識を表明。リスク管理の強化と他国との協力拡大が必要だと強調した。国営メディアが報じた。

2000~12年の年間平均13~17年の年間平均

中国米国日本ドイツ英国フランスイタリアカナダ$0 billion$25$50$75

 中国の銀行はすでに、低所得国の新規案件に対する融資を大きく減らし、既存融資の対応に注力している。

 中国の対外融資のうち、借り手が返済困難な状況にあるとされる割合は60%に迫っており、2010年の5%から急上昇している。対外債務について数多く執筆しているセバスチャン・ホーン、カーメン・ラインハート、クリストフ・トレベシュ各氏が分析した。

 途上国の債務問題解決のため、中国は先進国で構成する「パリクラブ(主要債権国会議)」といった多国間制度についても、長年の拒否姿勢を撤回する方向にかじを切った。足元では途上国の債務負担軽減に向けて20カ国・地域(G20)と協力している。

 中国はこの過程で、国内銀行に対し、損失の受け入れを強要する可能性がある。中国は長年、債務元本の減免ではなく、返済期限を延長することで融資の焦げ付きに対応してきた。問題を「見て見ぬふり」する戦略だとされ、借り手の債務危機をむしろ長引かせる恐れがあると言われている。

中国電力建設公司などの合弁会社が運営するパキスタン・ポートカシム石炭火力発電所
Photo: Asim Hafeez/Bloomberg News

 中国国営メディアも、一帯一路に対する論調を落としている。かつては中国の融資によって借り手が受ける経済的恩恵を誇示していたが、足元ではリスク管理や国際社会との協力改善といった面を強調している。ジョージ・メイソン大学傘下のシンクタンク「メルカタス・センター」で中国政府のプロパガンダについて研究するウェイフェン・ゾン上級研究員はこう指摘する。「中国は軌道修正を試みている」

 中国国務院(内閣に相当)、国家発展改革委員会(NDRC)、財政省はいずれもコメントの要請に応じていない。中国人民銀行(中銀)、融資に関与する複数の国内銀行も、同じく要請に応じていない。中国外務省は声明文で「一帯一路に関する質の高い協力促進に向けて国際社会と協調していく」とコメントした。

 習氏は12年に実権を握ると、中国の影響力を拡大するとともに、国産品を販売する市場を構築するため、自身の看板政策として一帯一路を推進し始めた。

 15年に中国株急落で内需が低迷すると、中国は一帯一路を使って、鉄鋼や繊維など国内で過剰供給にあった製品の輸出拡大にまい進。中国輸出入銀行や国家開発銀行(CDB)は往々にして、中国サプライヤーからの調達を途上国向け融資の条件としていた。

 中国外務省によると、中国はたった10年で、エクアドルやアンゴラなど約150カ国の開発プロジェクトに融資などを通じて約1兆ドル(約145兆円)を拠出。これにより、中国は初めて、世界最大の債権国に浮上した。

 これに対し、途上国向けの融資や助成金で、米政府や政府系機関が占める割合は中国の半分にも満たない。ウィリアム・アンド・メアリー大学傘下の研究所エイドデータが分析した。2013年までの約10年は、米中はほぼ肩を並べていたという。

 エイドデータの責任者、ブラッド・パークス氏は、対外融資のほぼすべてを支援として実施する米国とは対照的に、中国は「銀行」のように振る舞う傾向があると指摘する。例えば、エイドデータの分析によると、中低所得国対する支援1ドルにつき、中国は9ドルを融資として提供している。米国はそのまさに反対で、少なくとも支援9ドルに対して融資1ドルの割合だという。

 17年頃までには、中国銀行業界の幹部の間で、回収の見込みがない案件への融資を強要されているとして政府への不満が高まっていた。内情を知る業界幹部らが明らかにした。デフォルト(債務不履行)に陥った際に責任を問われないよう、「政策の指示の下で」行われた融資だと規制当局が明言しない限り、一部プロジェクトに対する支援を停止する構えを見せる銀行も出てきたという。

 新型コロナウイルス禍がさらに借り手の圧力となっていた20年11月、中国はG20が支援する債務救済の国際的な取り組みである「共通枠組み」に加わることで合意した。
「一帯一路」に関するシンポジウムで演説する習氏(2021年11月)
Photo: Shen Hong/Zuma Press

 共通枠組みはパリクラブが準拠する原則の下に構築された。中国はパリクラブに参加するよう度重なる働きかけを受けてきたが、かたくなに拒否してきた経緯がある。

 中国の銀行は借り手に対して、パリクラブが行うような他の債権者との債務再編の手続きから、自国の融資を除外するよう強く主張していた。デフォルトになった場合に、返済順位で中国を最優先の扱いにする狙いがあるとみられている。エイド・データのパークス氏によると、中国の融資契約の約75%にこうした「ノー・パリクラブ」条項が含まれている。

 20年夏にはG20、パリクラブ、中国との間で昼夜問わず6週間に及ぶ協議が行われ、中国が共通枠組みに参加することで原則合意に達した。協議に詳しい関係者が明らかにした。習氏が正式に署名するのにさらに数週間を要したという。

 それによると、中国が参加を決めた背景には、他の債権者と連携して取り組むのであれば、中国の銀行が自らの利益を守るよう主張した方が望ましいとの見方があった。また中国の政府内では、共通枠組みに参加することで、面目をつぶすことなく、パリクラブを拒否してきた従来の姿勢から移行できるとの読みも働いているようだ。

 ただ、国家開発銀行など国内大手銀行の株式を保有する財政省は、銀行による損失計上に警戒を解いていない。不動産市況の冷え込みで、銀行が多大な圧力にさらされていることで懸念が深まっているためだ。

 一方、人民銀は新興国が金融危機を回避するために、中国は債務再編協議に一段と柔軟な姿勢で臨む必要があるとの立場を唱えている。関係筋が明らかにした。

 人民銀内からは、米連邦準備制度理事会(FRB)による急ピッチの利上げを理由に、中国は行動すべきだとの指摘が上がっている。背景には、FRBの利上げでドルが独歩高の様相を強め、途上国の債務返済コストが上がっていることがある。

 中国はチャド、エチオピア、ザンビアで債権者との交渉を進めており、一帯一路の新たなアプローチに対する試金石になるとみられている。
2017年5月、北京での「一帯一路」フォーラム開催を控え垂れ幕が並んだ
Photo: wang zhao/Agence France-Presse/Getty Images

 とはいえ、一帯一路が全面的に撤回される可能性は低い。来月の共産党大会で3期目続投を目指す習氏は、国際社会における中国の役割を拡大することが重要だとの考えを堅持している。政策運営に詳しい関係筋への取材や、習氏の最近の演説要旨から分かった。

 問題の多い一帯一路だが、過去10年に多数の国々を中国の勢力圏に引き入れたことも事実だ。国連の採決では、借り手の多くが中国の意向に合わせて票を投じるようになった。中国が融資への消極姿勢を強めれば、一部の国にとっては中国マネーの魅力が薄れ、国際社会の意志決定において中国の影響力が後退することもあり得る。

 米外交評議会(CFR)の上級研究員で、ソブリン債務専門家のブラッド・セッツァー氏は「中国が影響力を拡大する上で、一帯一路が重要な存在であり続けるには、新たな方策を見いだす必要があるかもしれない」と述べる。具体的には融資ではなく、助成金などの支援を拡大するといった措置が挙げられるという。

 内情に詳しい関係筋によると、中国当局者はリスク軽減に向けた官民パートナーシップの構築、市場水準を下回る優遇金利での融資といった手段を通じて、一帯一路を持続可能な軌道に乗せる方策も探っている。さらに中国当局は、新規案件の融資でアフリカ開発銀行のような多国間機関との協力拡大にも、前向きな姿勢をにじませ始めているという。
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住民投票、28日に結果発表 ロシア、直ちに編入手続きへ

住民投票、28日に結果発表 ロシア、直ちに編入手続きへ
https://nordot.app/947297516792561664?c=302675738515047521

『【キーウ共同】ウクライナ東・南部の計4州の親ロシア派がロシア編入に向け強行した5日間の「住民投票」が27日午後4時(日本時間同10時)に終了する。国営ロシア通信は開票の暫定結果発表を27~28日と報じており、日本時間28日の見込み。「賛成多数」の結果を発表するのは確実で、ロシアのプーチン政権は直ちに編入手続きに入るとみられる。

 ウクライナ側は、プーチン大統領の部分動員令に基づき、ロシア側が編入を前提に住民を徴兵する動きがあると非難。南部メリトポリの市長は26日の記者会見で「ロシア側は18~35歳の男性の脱出を阻止している。動員が主な目的だ」と訴えた。』

トラス新政権の誕生と英国のデモクラシー

トラス新政権の誕生と英国のデモクラシー
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00842/

 ※ 良記事だ…。

 ※ ジョンソン前政権の内憂外患の実情、赤裸々な内幕が描かれている…。

 ※ 外相から首相へと昇格した、トラス新首相の「鉄の女2.0」の舵取りが、注目される…。

 ※ 『ジョンソン政権の二枚看板は、国際的な舞台で飛躍する英国をイメージしたグローバル・ブリテンと国内向けのレベリング・アップ(地域間の経済格差是正)だったが、控えめに言ってともに道半ばである。いずれも、ジョンソン氏の言葉の魔術で取り繕われてきたところが大きい。』…。

 ※ ということで、ジョンソン氏の最大の「美質」は、「言葉の魔術」の使い手であったことらしい…。

『 嵐の中の英国政治

エリザベス二世が亡くなった。享年96、在位70年。戦後英国を象徴する存在だった。伝統の維持と革新の受容。対外的には開かれた英国を、国内的には連合王国の一体性を体現した。エリザベス二世の死去は時代を画することになるのか、それとも時代は継承されるのであろうか。

2022年も英国は激動に見舞われた。新型コロナ感染症との共存路線を取ろうとする中で、ロシアによるウクライナ侵攻が発生した。ボリス・ジョンソン前首相はウクライナ支援とロシアに対する強硬姿勢で主導的役割を果たしたが、そのジョンソン氏も7月には首相辞任に追い込まれた。1987年以来の大勝を保守党にもたらしてわずか2年半余りのことだった。

民主主義を支える制度への攻撃?

ジョンソン政権は2019年7月、英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる混乱のなかで誕生した。EU離脱という課題と英国社会の分断という背景を抱えていたこともあり、政権運営にあたって、多くの伝統的な制度(institution)との緊張を生み出した。

まずは議会である。支持母体である保守党が下院の過半数を持たない状況で成立したジョンソン政権は、EU離脱問題が山場を迎える中で議会との対立が先鋭化すると、突然、議会の閉会を宣言し、議会を黙らせようとした。この決定は、司法の判断によって覆されたが、ジョンソン氏が議会主権の擁護・回復を掲げてEU離脱を訴えたこととは真逆の動きであった。

ジョンソン政権は司法に対しても攻撃とも言える批判を加えた。議会閉会を違法とした最高裁の判決にはさまざまな大臣が批判やけん制をしたが、他にも、移民・難民、テロリズム、デモ参加者の行為など具体的な問題について、また司法の役割一般について政治家からの批判は続いた。デモクラシーと国制に関する超党派議会グループは2022年6月、報告書を発表し、「政府による司法への攻撃の多くは、国制上適切なこと、有益なことの範囲を超えている。…大臣たちの攻撃は、司法の政治化という理解を作り出し、一般の人々に誤解を与える」と強い懸念を表明した(※1)。

ジョンソン政権は官僚たちとも強い緊張関係にあった。政権誕生後、官僚トップの内閣官房長を退任させ、その後、外務、内務、教育などの事務次官、政府法務局の長官らが次々と辞任に追い込まれた。親EU的姿勢を問われた人々もいれば、政府の提案する法案が国際法違反になるとして辞任した人もいる。内務省事務次官の場合には、内相による「いじめ」が原因で訴訟にまで発展した。教育省の場合は、政策上の問題が生じた際に首相が担当閣僚を擁護し、責任は次官が取ることとなった(※2)。首相は問題のある閣僚をかばい、官僚がしわ寄せを受けた。

報道機関としてのテレビ局にも厳しい姿勢を取り、公共放送BBCの受信料を2年間凍結する決定をした(※3)。独自のビジネス・モデルを持ち、公的に所有されるテレビ局Channel 4の民営化方針も示された。BBCとともにChannel 4は独自の報道で知られるが、ジョンソン政権は、両局の経営基盤を揺さぶった。ジョンソン氏は、2019年の総選挙を前に、Channel 4での気候変動をめぐる党首討論会に欠席した。番組では代理出席を認めず、首相の姿勢を問うべく氷の彫刻を席に置いた(※4)。Channel 4の民営化方針は、こうしたことの意趣返しのようにも映る。

ジョンソン政権は、選挙で勝利した自身の民主的正当性を強調して、自らの方針と対立する諸制度に対し攻撃することを厭わなかった。だが、前首相は、最後には(問題のある大臣に関する)説明が事実に反すると前外務事務次官に指摘され(※5)、政権から大量の辞職者を出し、支持基盤であったはずの院内保守党からも事実上不信任を突きつけられた。党からの不信任は、補欠選挙での連敗、支持率の低下という、首相自身が拠って立っていたはずの民意の離反を受けた結果であった。

ようやく国内エネルギー危機の対応へ

ジョンソン前首相は、最後の議会質問で「ミッションはほぼ達成した」と強調したが、後任のトラス首相に残された課題は多い。喫緊の課題は、国内のエネルギー危機である。

トラス首相は就任時、減税、エネルギー危機対策、国民保健サービスの改善を課題に挙げた。党首選でも、大規模減税こそが危機対策、成長戦略、中長期的なエネルギー戦略になると主張していた。エネルギー危機対策としては、電気やガスの家庭用料金を2年間、ビジネス用料金は6カ月間、政府がエネルギー会社に補填する形で凍結する計画を発表している(※6)。いずれも増税でなく借入でまかなうようで、国内の諸政策は財政赤字を増やすことになる。また、防衛費の大幅増額も約束している。

トラス首相の政策は、物価高騰が光熱費以外でも生じる中でインフレを促進するものが多く、成長戦略を重視するにもかかわらず、政策金利の上昇を促しうる。新首相の政策がどのような帰結をもたらすか楽観視できない。

ジョンソン首相・トラス外相の置き土産

もちろん、トラス新政権が直面する問題は緊急対策だけではない。ジョンソン政権の二枚看板は、国際的な舞台で飛躍する英国をイメージしたグローバル・ブリテンと国内向けのレベリング・アップ(地域間の経済格差是正)だったが、控えめに言ってともに道半ばである。いずれも、ジョンソン氏の言葉の魔術で取り繕われてきたところが大きい。

英国はEUから離脱したが、その恩恵を得るまでには至っていない。そして、完全な意味でのEU離脱を完了できずにいる。最大の障害は、北アイルランド議定書である。ジョンソン前政権は、一度は合意したはずの北アイルランドをめぐる国境管理のあり方に不満を強め、その変更を主張してきた。トラス氏の外相時代、英国は強硬な態度を示してEUとの交渉は停滞した。業を煮やしたプロテスタント系の民主統一党は自治政府への参加を拒否し、その結果、自治政府は現在も発足できずにいる。さらに当時のトラス外相は、EUとの交渉が行き詰まると、同議定書を一部否定する国内法を制定して問題を一方的に解消しようとした。当時の北アイルランド担当相は、この法案の一部が国際法違反となることを認めている(※7)。

同議定書は、英国によるEU離脱とともに、1998年に北アイルランド和平をめぐって実現した聖金曜日合意(ベルファスト合意)とを両立させるべく設けられていた。英国が一方的に議定書を否定すれば、北アイルランド和平の基盤を害する恐れがある。EUはもちろん、この合意に深く関与しアイルランドに深いつながりをもつ政治家も多い米国も、強い関心と懸念を表明している。バイデン政権は、トラス首相就任2日目に、貿易交渉と北アイルランド議定書に関係は公式にはないが、同議定書を取り消そうとする試みは貿易交渉の助けにはならないとの強いメッセージを送っている(※8)。

EU離脱にあたり、英国にとってもう一つの期待の国は中国であったろう。しかし、メイ政権誕生以降、(経済)安全保障問題とともに新疆ウイグル自治区や香港の人権問題もあって、対中警戒の主張が特に保守党内で強くなっていた。トラス氏は外相時代から対中強硬派として名を馳せ、中国をルールに基づく国際秩序に対する脅威とみなしてきた。

トラス首相は、西側が台湾の自衛を確かなものにしなければならない、とも強調する。英国政府は、安全保障上の懸念から、例えば、英国内の原発への中国の関与を制限し、中国による英国内への投資にいっそう慎重になっている(※9)。EU離脱派は、EUから離脱することで自由に貿易協定を各国と結び、経済発展を遂げられる未来を主張した。しかし、その未来はまだ見通せない。

他方、英国の対中警戒は日本との結び付きを強める。日本には重要な絆で益も多い。東アジア安全保障への英国のコミットは象徴的な意味にとどまろうが、政治、経済、文化の交流がいっそう活発になると期待される。

EUとの関係で言えば、英国は、人の往来の管理などで対立を続けている。EU側は、英国にある金融機関をどのように扱うのかまだ重要な判断を示しておらず、英EUの緊張関係はこの問題にも影を落とす。

トラス首相は、ロシアに対しても強硬な姿勢を取り、ジョンソン前首相同様、ウクライナ支持で一貫している。ロシアに付け入る隙を与えないという意味で重要だが、米国とともに欧州諸国との協調も今まで以上に重要となる。ロシアや中国のみならずEU、フランスなどに対しても強硬姿勢に終始してきたトラス首相がどのような対応をとるのか注目される。
国内政策は減税と財政支出に頼る?

最後に国内政策について触れておきたい。ブレグジット(英国のEU離脱)後、ジョンソン前首相は2019年総選挙で新しい「連合」を作ることに成功した。ブレグジット完遂を旗印に離脱派をまとめ、南部などの比較的豊かな、従来からの保守党支持基盤と、これまでは労働党の支持基盤とされてきた旧工業地帯で経済的に停滞する地域(いわゆる「赤い壁」)の両方で支持を得ることができた。ただ、両者の求める経済政策はまさに対照的であった。ジョンソン政権は、後者の求める大型の公共投資などを積極的に発表したが、経済振興を求める地域にとって期待通りであったとは言い難い。他方、保守党の伝統的支持基盤では、増税の可能性をはらむ公共投資には否定的である。ジョンソン氏は、この両立困難な「連合」を、政治的なパフォーマンスを駆使することも含め、どうにか維持しようと努めてきた。

ジョンソン氏が去っても、保守党政権がこの「連合」を維持できるのか。トラス首相は党首選では保守党の伝統的支持基盤に訴えの照準を合わせてきたが、2024年までには一般有権者を対象とする総選挙を迎えることになる。

リズ・トラスの英国

トラス氏の政治スタンスは、首相就任以前には国内受け(ドメスティック・コンサンプション)を狙ったものが多かった。また、トラス氏はこれまでは強硬な姿勢で人気を博してきた。しかし、今後、トラス首相の姿勢と判断は、閣僚時代とは比較にならないほど、英国の行方を左右し、人々の暮らしに直結することになる。そして、スコットランド独立問題がくすぶり続け、北アイルランド自治政府が依然として機能不全にある中で、エリザベス二世が心を砕いた連合王国の一体性の行方もまた、トラス首相の姿勢にかかっている。

追記:トラス政権は9月23日、本稿で説明した政策を盛り込んだ大型の経済対策を発表した。

バナー写真:英バッキンガム宮殿でチャールズ国王(左)と言葉を交わすトラス首相=2022年9月9日、ロンドン(AFP=時事)

(※1) ^ All Party Parliamentary Group on Democracy and the Constitution (2022), An Independent Judiciary - Challenges since 2016, p.37. https://www.jonathandjanogly.com/sites/jonathandjanogly.com/files/2022-06/sopi_report_final.pdf. All webpages referred to in this article were accessed on 12 September 2022.

(※2) ^ BBC News, ‘Boris Johnson asks Foreign Office chief to stand down’, 19 June 2020, https://www.bbc.com/news/uk-politics-53111095; BBC News, ‘Philip Rutnam: £340k payout to official after Priti Patel bullying claims’, 4 March 2021, https://www.bbc.com/news/uk-politics-56281781; HUFFPOST, ‘PM Sacks Top Education Official After Exams Fiasco - While Gavin Williamson Keeps Job’, 26/08/2020, https://www.huffingtonpost.co.uk/entry/coronavirus-exams-education-williamson-dfe_uk_5f466efbc5b64f17e137025b; BBC News, ‘Senior government lawyer quits over Brexit plans’, 8 September 2022, https://www.bbc.com/news/uk-politics-54072347.

(※3) ^ BBC News, ‘BBC licence fee to be frozen at £159 for two years, government confirms’, 17 January 2022, https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-60027436.

(※4) ^ BBC News, ‘General election 2019: Row over Boris Johnson debate “empty chair”’, 29 November 2019, https://www.bbc.com/news/election-2019-50596192.

(※5) ^ BBC News, ‘Chris Pincher: No 10 not telling the truth, says ex-senior civil servant, 5 July 2022, https://www.bbc.com/news/uk-politics-62047883.

(※6) ^ BBC News, ‘Energy bills to be capped at £2,500 for typical household’, 10 September 2022, https://www.bbc.com/news/business-62831698.

(※7) ^ Reuters, ‘UK bill will break international law ‘in limited way’, minister says’, 8 September 2022, https://www.reuters.com/article/us-britain-eu-lewis-law-idINKBN25Z1ZS.

(※8) ^ The Guardian (UK edition), ‘White House warns Truss over efforts to ‘undo’ Northern Ireland protocol’, 8 September 2022, https://www.theguardian.com/politics/2022/sep/08/white-house-warns-truss-over-efforts-to-undo-northern-ireland-protocol.

(※9) ^ Reuters, ‘New British PM Truss brings tougher UK stance on China’, 7 September 2022, https://www.reuters.com/world/new-british-pm-truss-brings-tougher-uk-stance-china-2022-09-06/. 』

時代は「自分のアタマで考えるな」だと思う

時代は「自分のアタマで考えるな」だと思う – シロクマの屑籠
https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20220926/1664193445

 ※ 「自分のアタマで考えるな」って、そりゃ無理だ…。

 ※ なぜって、「自分のアタマで考える」とは、オレが「生きている」ってことと、「等価」だからだ…。

 ※ オレは、この年(とし)になるまで、ずっと「生きてきた」が、「自分以外のもの」だったことは、「一度も」無い…。

 ※ ずっと、一瞬たりとも、「自分そのもの」であり続けて来たんだ…。

 ※ 確かに、入院した当初は、「身動きしなくて」「死んでるかのよう。」だったらしい(後から、看護師から、そう聞いた)…。

 ※ しかし、そういう「状態」でも、オレとしては、「あー、頭イテー。ガンガンする…。」「なんか、ボンヤリ、点滴袋が二つ(止血剤と、栄養剤)下がってるなー。」という感想抱いて、「自分のアタマで、ボンヤリと、ものを考えていた」んだ…。

 ※ だから、人間生きてる限り、「自分のアタマで、ものを考える」存在なんだと思う…。

 ※ 「自分のアタマで、ものを考え」なくなったとき、それは、もう、「生きている」とは言えない存在になった…、という意味だろう…。

『今の世の中、自分のアタマで考えないほうが良いターンになっていると思いませんか。
 
 犬も歩けばフェイクに当たる

  これはアウト。
物理的にありえない水の動き、現実的ではない家の配置、画質と画像サイズ。AIが作成した写真です。
熊本地震の際にライオンが逃げたとフェイクニュースを流した人と同様で、災害時に不安を煽るデマを流している。通報しました。
なお、ライオンの件投稿した男性は後に逮捕されています https://t.co/WRRKb1xrWy
— なかむらすばる🌻紅楼夢【き03-b】 (@subaru_chen) 2022年9月26日

先日、静岡県の水害のフェイク画像がツイッター上に流された。ある者はそれを本物と思って拡散し、別の者はフェイクだと疑って拡散を思いとどまったり、疑問の声をあげたりした。自分のタイムラインではこれに引っかかる人はいなかったように見えたけれど、皆が皆、引っかからずに済んだわけではなかった。
 
のみならず、今のインターネット上には、広告にもタイムラインにもグーグルマップにもフェイクなメッセージが存在していて、その成否を判断するのが難しくなっている。そのうちあるものは(例えば健康法のように)高度な専門性なしに正否を判断するのが難しいものだったり、もし間違っていないとしても、そのメッセージをどこの誰に・どこまで適用していいのかわかりづらかったりする。また別のあるものは、(例えばウクライナでの戦況のように)事実を確認する手段が素人には限られていて、しかも国家規模のプロパガンダが混じっている可能性のあるものだったりする。
 
こんな具合に、今のインターネット上には、正否を、真贋を判断しづらいメッセージが溢れている。自分自身のアタマで考え、それをインフォメーションと呼べる水準にまとめあげるのが大変難しくなっている。
 
しかもクソ忙しいご時世じゃないですか。

そのうえ、私たちの可処分時間はどんどん少なくなり、と同時に、私たちが正否や真贋を判断しなければならないことは増え続けている。
 
「時は金なり」というけれど、実際、効率性や生産性に重きを置くいまどきの資本主義社会では、可処分時間はたいへん貴重なものだ。仕事だけでなく、キャリアのための勉強・人脈の形成・リラクゼーション・エンタメといったものも可処分時間を必要とする。そうやって現代人は忙しく日々を過ごしている。
 
忙しくなればなるほど、メッセージの正否や真贋を判断するのは難しくなる。誰かの書き込みや画像がフェイクかどうかを判断するにあたって、1時間費やして構わない場合と、10分費やして構わない場合と、10秒しか費やせない場合では、フェイクに乗せられる確率は同じ人でもかなり違う。時間的余裕がなくなるほど、人はフェイクに対して脆弱になる。
 
例えば、ラッシュアワーの埼京線で通勤しているサラリーマンが、くだんの水害フェイク画像をスマホで見た場合、しかも見たタイミングが乗換駅まであと10秒のタイミングだったら、フェイクに乗せられてしまう確率は高くなるだろう。同じサラリーマンでも、ゆとりのある時間にゆとりのある体勢でそれを見かけたなら、乗せられずに済む確率はだいぶ上がる。が、スケジュールに追われれば追われるほど、私たちはフェイクに乗せられやすくなるし、ともすれば、そのフェイクの拡散に手を貸してしまうかもしれない。
  
 だったら自分のアタマで正否や真贋を考えないほうがいいのでは

 こんな具合に、インターネットに正否や真贋の定まらないメッセージが溢れていて、しかも私たちに時間的余裕が乏しいとしたら、もう、下手なことは自分のアタマで考えず、誰かに考えてもらうのがいいんじゃないだろうか。この場合の誰かとは、ツイッターのインフルエンサーなどではなく、新聞やNHKニュースなどのことだ。雑誌も含めていいかもしれない。
 
もちろん、そういうマスメディアだって間違えることはあるし、マスメディアがフェイクに乗せられたりプロパガンダに加担したりする可能性もゼロではない。それでも、ツイッターのインフルエンサーなどに比べればその頻度と程度は信頼できるように思う。まして、生兵法にも自分のアタマで考えるよりは信頼できるんじゃないだろうか。
 
かつて、アルファブロガーのちきりんさんは「自分のアタマで考えよう」という本をリリースしたことがあった。
 
自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術

作者:ちきりん
ダイヤモンド社

Amazon
 
ちきりんさんのように考える力があり、この本のとおりに思考するメソッドがあり、考える時間もたっぷりあるなら、これでいいのだと思う。2011年のインターネットの状況にも合っていたかもしれない。
 
けれども私たちの大半はちきりんさんと肩を並べるほど考える力があるわけではない。思考するメソッドを磨く暇すらなく、効率性や生産性にこづきまわされ、リラクゼーションとエンタメを天秤にかけながら可処分時間の短さを嘆いているような身の上だ。そして2022年のインターネットは2011年のソレに比べてずっと難しくなった。嘘を嘘と見抜けない人には(インターネットは)難しいというけれども、いや、今のインターネットでフェイクを見抜くのは簡単じゃないでしょう。
 
だとしたらだ。
もう、私たちは自分のアタマで考えるをやめたほうがいいんじゃないだろうか。
 
や、もちろん個々人の専門領域、職業人としての領域では大いに考えなければならない。しかし専門家にしたって専門領域を一歩出てしまえば素人、へたをすれば平均的な素人よりも性質が悪いことだってある。それならネットに氾濫するメッセージについて正否や真贋を判断するのはもうやめてしまって、なんなら隙間時間にスマホを覗くのもやめてしまって、新聞やNHKニュースなどに目を通すだけにしてしまったほうが安全安心確実ってものだ。新聞やNHKニュースでは味気ないって人はワイドショーでもいいかもしれない。「ワイドショーなんてあてにならない」という人がいるだろうし、その気持ちもわからなくはない。でも、私たちが個人としてツイッターやインスタグラムに貼りついてメッセージを授受し、みずから判断するよりは、まだしも打率がいいんじゃないだろうか。
 
人間は、しばしば間違う。
忙しかったり、疲れていたり、余裕がなかったりすれば尚更だ。
そのうえ情報の正否や真贋を判断すること自体、可処分時間や可処分認知を消耗する行為なわけで、それなら(多少、情報の流通タイミングが遅いとしても)新聞社や放送局のフィルタに通した後の、インフォメーションとして加工された後のものをファクトとみなしたほうが間違いが少なかろう。万が一、新聞社や放送局が間違ったのなら、まあその……仕方ないのかなとも思う。
 
繰り返すが、新聞社や放送局だって稀には間違うこともあるし、それこそ戦争中の国のマスメディアなどは、しばしばプロパガンダを流す。いや、戦争していなくてもマスメディアにプロパガンダ的なものはどこかに混じっていると見たほうがいいだろう。理想論として「民主主義国家の個人たるもの、自分のアタマで判断する能力を涵養すべき」ってのもそのとおり。
 
そして10年以上昔は「インターネットにはメディアとは違った真実がある」などとも言われていた。ですが今のインターネットって難しくないですか。これほどまでに正否や真贋のわからない今日のインターネットにおいては、マスメディアの出してきたものを鵜呑みにするほうが、自分のアタマで考えながらインターネットと向き合うよりも、まだしも確実度が高いのではないかと思う。
 
インターネット上で「自分のアタマで考えよう」って言葉が適用できる時代は遠くなった。少なくとも、それは万人に勧められるものではあり得ないし、いまや、ほとんどの人に勧められるものとも思えない。ネットリテラシーなど午睡の夢。ブロガーとしてのちきりんさんのように振舞い、ちきりんさんの勧めるように考えることは、今、とても難しい。 
ところで

ところで、自分自身のブログに「新聞を読め、NHKニュースを見ろ、ネットはあんまり見るな」って書くの、すごく萎える。ブロガーとしてのちきりんさんが活躍していた頃と現在ではインターネットの時勢が違ってきているのだから、それは仕方のないことではあるけれども。』

部分動員の現実

部分動員の現実 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29755046.html

『ロシアのプーチン大統領令で始まった部分動員の酷い現実が見えてきました。この大統領令は、事前に準備をしていたらしく、発令直後から招集令状の発行や、強行動員(いわゆる、人狩り)が始まっています。色々な例が出ているのですが、まず、今年の冬にでも影響が出そうなのが、畑で農作物の収穫をしている農民を、作業を中断させて、その場で連行する様子がSNSに投稿されています。

収穫して、袋に詰めた農作物は、畑に放置されたままで、誰かかが回収しない限り、腐って終わりでしょうねぇ。こういう事が、単に動員条件を満たした市民に対して、無分別に行われているなら、ロシアは、今年の冬に食糧難に襲われるでしょう。制裁処置で、外国から思うように輸入ができない状態で、国内の農業を害するような事を平気でやっているようでは、食料危機がまったなしです。

中国の防疫対策でも見られた事ですが、国が決めた方針を大々的に行う場合、素人が考えても深刻な影響が出る事でも、完全に無視して、与えられた目標を機械的に達成するというのが、共産国の特徴です。それは、事実上の一党独裁で、司法も立法も行政も、組織図では分かれていますが、事実上、党の下部組織に成り下がっている為、眼の前にぶら下げられたニンジンを追いかけるがごとく、とにかく数字を消化する事しか頭に無くなるからです。また、それを、客観的に評価して、止める仕組みもありません。

招集された人々の中には、本来なら動員対象外の45歳以上の市民、退役していて糖尿病の持病を抱えている元中佐、動員対象外なはずの兵役すら経験していない学生も含まれています。プーチン大統領が何と説明しようと、現場では「指示された数を招集する」事が、最優先で動員をかけています。

実は、ロシア市民も、今までの共産党のやり口を知っているので、公に説明されている事が、誠実に実行されると考える人は、殆どいませんでした。何しろ、ロシアが爆速で開発した、コロナ対策ワクチンの「スプートニク」でさえ、その効果と安全性を疑って、接種を拒否する市民が大勢いました。基本的に、一律で国が命令する事は、言葉とおりには信じていないのです。何度も、裏切られているゆえの不信感が、常識と化してしまっている国がロシアです。

これは、中国も同じで、武漢肺炎対策の都市封鎖を、やらないと行政が説明しても、それを信じるマヌケが最終的にババを引く事は、判っているので、噂が出た時点で、商店には買い占めに走る市民が殺到しました。そして、案の定、言った舌が乾かないうちに、ロックダウンが行われるわけです。行政の説明を信じた、模範的な市民が、一番苦しむ事になります。

つまり、昨日の記事でも書いたように、建前と実際の乖離が激しいし、現場は指示された数字を達成する事しか考えていないので、政府を信頼したり、誠実に行動した人間が、結果として一番、酷い目に遭います。政府が発表する内容は、広告部が市民の反発を受けないように作った作文に過ぎず、実際は違うのが当たり前なのです。

それゆえ、基本的に血で繋がった身内や、近所に住んでいる知人以外は、信用しない社会が出来上がります。中国では、道でうずくまっている老人を親切心で、病院まで送り届けたら、後で慰謝料を請求されて、裁判所も、それを認めたという事件があってから、道で倒れている人がいても、素通りするのが当たり前になっています。いちゃもんを付けられて、慰謝料を請求される詐欺かも知れないからです。人を信用する奴が馬鹿という常識が蔓延しています。

これは、文化大革命の時代に、密告が推奨されて、密告をしていないと、革命に非協力的であるとして、それ自体が告発されるような地獄の社会を経験しているからこそとも言えます。これによって、子が親を告発したり、友人が知人を告発したりする密告合戦が起きて、相互不信が高ました。共産党にとっては、こういう不信が蔓延る社会というのは、コントロールがしやすくて、ある意味、好ましいのです。「憎しみと不信は、独裁者の糧」なのです。人々が協力する事が無くなり、革命が起きる芽が無くなるからです。

今後、動員をきっかけとして、プーチン大統領が失脚するかいなかは、今までの歴史の中で培われた相互不信の社会を越えて、人々が連携できるかにかかっています。そして、それは、多くのマスコミが、言い出しているように、簡単な事では無いはずです。プーチン大統領は、目的の為に人を動かすのに、恐怖がいかに有効かを、今までの実体験から知り尽くしています。その為、判る人には判る形で、非協力的なオリガルヒ(経済貴族)を、事故死として暗殺しています。見せしめですね。この壁を突破するのは、簡単ではありません。 』

それでも政府・日銀が金利を引き上げない理由

それでも政府・日銀が金利を引き上げない理由
島澤 諭 (関東学院大学経済学部教授)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28033

『9月22日、政府・日本銀行は、1998年6月以来24年ぶりに円安に対応した円買いドル売りの為替市場介入を断行した。この介入により、円ドル相場は午後4時台1ドル=145.90円から約5時間後には140.40円と3.8%の円高となるなど、一定の介入効果はあったように見えた。

政府・日本銀行による市場介入により、円は一時140円台に上昇した(ロイター/アフロ)
 しかし、9月26日現在、円ドルレートは144円台後半まで円安が進むなど、再度1ドル=150円を目指した動きになりつつある。

 主要先進国がインフレ退治のために軒並み金利を引き上げる中、政府・日銀が金利の引き上げを頑なに拒否し、米国による為替操作国認定のリスクを冒してまで円安局面での介入という戦後日本では稀有な対処に及んだ。理由は、故安倍晋三元首相の悲願であったデフレからの脱却、インフレ率2%達成というよりはもっと深いものがあるのではないか。
 つまり、金利を引き上げたくても引き上げられないのだ。

日本国債の最大の保有者は日銀

 なぜ、政府・日銀は金利を引き上げられないのだろうか。

 金利引き上げが日本経済に与える影響は広範囲に及ぶが、最大の懸念は国債価格暴落、つまり、国債バブルの破裂にある。』

『現状では、国債の保有主体は、日本銀行44.3%を筆頭に、生保等19.6%、銀行(預金取扱機関)14.7%となっている。
(出所)日本銀行「資金循環統計」 写真を拡大

 つまり、日銀は世界最大の日本国債保有主体であり、金利引き上げによる国債バブルの破裂の影響を最悪の形で受けることになる。

 ただし、金利引き上げにより国債価格が暴落したとしても、あくまでも含み損でしかなく、日銀が日本国債を満期まで保有すれば形式上問題はない。しかし、日銀が満期償還まで含み損を抱えている事実に変わりはない。マーケットがこの含み損をどう評価するかに日銀の信用力は依存することになる。

 仮に、マーケットが問題なしとすれば日銀の信用力は維持され、したがって日銀の信用力に裏打ちされる日本円の信用力も維持される。

 反対に、マーケットが日銀の国債関連の含み損について、日銀のバランスシートを著しく棄損し、日銀の経営基盤に大きなマイナスだと評価すれば、日銀の信用力は地に落ちる。そうすれば日本円の価値も地に落ち、日本経済と日本国民は激しいインフレと激しい円安に見舞われる。
金利を引き上げても引き上げなくても結果は同じ

 このとき、金利を現状から据え置いても、円安によるインフレの高騰が生じるのに対して、金利を引き上げても日銀が大量に日本国債を保有することから生じる財務悪化を懸念してインフレが生じる。面白いことに、金利を引き上げても引き上げなくても結局同じ結果が生じていることに注意が必要だ。

 結局、日銀が金利を引き上げても引き上げなくても、現状の世界経済環境が続くのであれば、日本経済はいずれハイパーインフレとハイパー円安のリスクに直面する。

 つまり、黒田東彦日銀が現状のインフレに対して金利を引き上げないということは、結果が同じならば、円安に対しては米国に睨まれない程度に要所要所の介入で対応し、世界的なインフレに対しては、資源価格や食料品価格への政府補助金で対応してもらう方がましと判断したのだろう。インフレはともかく、円安であれば海外に展開する企業からの利益還流による税収増が見込めるのに対し、円高では元々国際競争力が落ちてしまっている日本企業の競争力がいっそう低下して景気も冷え込むだけだからだ。』

『このように、黒田日銀は金利を引き上げた場合のリスクの蓋然性の方が大きいと判断した可能性が高い。

利上げで早まる財政破綻

 現在、国家予算は新型コロナ対応もあって、2020年、21年と140兆円を超え膨張した。22年度当初予算は107.6兆円だが、自民党の茂木敏充幹事長は30兆円規模の補正予算を提言していることもあり、最終的には140兆円近くの予算規模と引き続き拡張的な予算となるだろう。

 一方で、大規模な歳出を支えるのは国債の発行だ。新発債と借換債を含めて毎年200兆円を超える国債を発行しても、低金利で推移しているのは、先にも見た通り、日銀が事実上の財政ファイナスを行っているからだ。この結果、日銀が保有する国債からの受取利息は1兆1233億円である上、国税を加えると1兆2584億円を国庫納付金として政府に還流させている。

 現状では、政府がさらに歳出規模を拡大させ、日銀が引き続き財政ファイナンスを行ったとしても、問題なさそう見える。しかし、金利を引き上げた場合、この好循環が断たれてしまうどころか、日銀のバランスシートが含み損のせいで棄損するのに加えて、政府の財政破綻を早めるリスクまで抱えてしまう。

 黒田日銀はインフレ率を口実に金利政策の変更は時期尚早としているが、実はそもそも何が起きようとも金利の引き上げは困難なのである。内外金利差の拡大で円安になれば、「円安のデメリットももちろんあるが、輸出が伸びるメリットが上回る」と言ってみたり、インフレ率が2%を達成したら「コアインフレ率はまだ2%に到達していない」と言ってみたり、今後も金利引き上げの要求が高まったとしても、結局、あれこれ理由を付けてそれに応じることはないだろう。

  なぜなら、日銀が安心して金利を引き上げられる環境が整うのは、政府債務の削減が進んだ時であり、そのためには短期的にはバラマキ的な財政運営からの脱却、中長期的には社会保障制度の抜本的な改革という2つの政府財政赤字の根源を退治することが必要だからだ。

 政府も政治も高齢者の票を大切にするあまり、日本経済や若者の未来を大きなリスクに晒している点を反省すべきだろう。』

中国、民間船使用で「海軍力」を強化

中国、民間船使用で「海軍力」を強化=報道
https://www.epochtimes.jp/2022/09/118839.html

『AP通信は24日、中国政府は民間船を利用して海軍力を強化していると報じた。

スリランカの港に停泊中の監視装置を積んだ中国科学調査船、南シナ海で係争中の島々の間に数カ月も停泊する漁船⋯専門家はこれらの船は民間船に見えるが、実際は中国の海上能力を強化する軍民融合政策の一環であると指摘した。

(※ 無料は、ここまで。)』

焦点:中国の「デジタルシルクロード」、アジアで監視拡大の懸念

焦点:中国の「デジタルシルクロード」、アジアで監視拡大の懸念
https://www.epochtimes.jp/2022/09/118835.html

『[プノンペン 19日 トムソン・ロイター財団] – ドローンから身を隠すのは難しい。カンボジアの都市プノンペンにあるカジノ「ナガワールド」の外では、プラカードを掲げ、スローガンを叫ぶデモ隊の上空で、ドローンはかすかなうなりを上げながら、正義を求める発言者1人1人の頭上に静止している。

ナガコープが経営するホテル・カジノ複合施設が入ったガラス張りとクロムメッキの高層ビルの外で、数百人の労働者が、昨年解雇された従業員約400人の復職を要求してストライキを続けていた。武装した機動隊と監視カメラが、その様子をじっと見張っている。
「録画されていることは分かっているが、どうすることもできない。せいぜいドローンに向かって手を振るくらいだ」と語るのは、組合指導者のチヒム・シター氏(34)。シター氏は1月の抗議行動で十数人の仲間とともに逮捕され、9週間勾留された。

香港証券取引所に上場するナガコープは、12月に始まったストライキは違法であり、解雇はコロナ禍でのコスト削減を目指した「合意による別居計画」だったと述べた。

現地警察はこの従業員ストライキは違法で、公共の秩序と安全に対する脅威だと述べた。警察は一部のデモ参加者を「重大な治安の混乱を引き起こそうと扇動した」容疑で起訴した。

チヒム・シター氏をはじめとするカンボジアの人権活動家は、自分たちは絶えず監視されており、ソフトウェアや監視カメラ、ドローンがオンライン・オフラインを問わず、彼らの行動を全て追跡していると語る。

こうした技術の多くを提供しているのが中国で、「一帯一路(中国の広域経済圏構想)」インフラプロジェクトの一環として、大量のデジタル監視システムを各国政府に売り込んでいる。

習近平主席が「一帯一路」構想を立ち上げたのは2013年。中国の強みである豊富な資金とインフラ構築能力を活かして、アジアからアフリカ、ラテンアメリカへとまたがる「共通利益で結ばれた広範な共同体を構築」することが狙いだ。

プノンペンの地元メディアによる報道では、中国は新たな全国規模の監視システムの一環として、同市に1000台以上の監視カメラ(CCTV)を設置したとされる。

カンボジア政府のフェイ・サイファン報道官は、この技術が活動家や組合指導者らを標的として使用されていることを否定。トムソン・ロイター財団に対し「CCTVなどの監視用インフラは治安維持目的であり、犯罪や交通違反、その他の違法行為を取り締まるためのものだ」と述べた。

<強まる中国の影響>

当局が治安維持を理由に監視を正当化する一方で、人権団体は、監視用インフラは広く公に意見を求めないまま設置されることが多いと指摘。強力なデータ保護法がない状況では、プライバシー侵害や個人情報の分析(プロファイリング)、差別などの問題につながる可能性があると懸念する。

「一帯一路」構想の参加国は、中国で少数民族のウイグル族を弾圧するために使われているとされる人工知能(AI)ベースの顔認識システムなどの技術を、「スマート警察活動」や「スマートシティ」といった計画のために利用。ソーシャルメディアサイト監視のためのデジタルツールも使っている。

ワシントンを拠点とするシンクタンク「カーネギー国際平和財団(CEIP)」のスティーブン・フェルドスタイン上席研究員は「こうしたツールは、反体制派に対する追跡や威嚇、政敵の監視、政府への抗議行動の事前探知のための新たな可能性を生んでいる」と語る。

「独裁体制のもとでは、こうしたツールは明らかに抑圧を深刻化させる危険性がある」とフェルドスタイン氏は言う。AIを利用した中国の監視技術は50カ国以上の「一帯一路」参加国で展開されていると同氏は推測している。

中国の「一帯一路」構想の重要な柱が、いわゆる「デジタルシルクロード」。古代の交易路シルクロード沿いにある国々で、現代的な電気通信やデータインフラを構築しようという取り組みだ。

米シンクタンク「民主主義を守るための同盟」(ASD)の最近の報告書によると中国は、ハイテク企業による海底ケーブル敷設、データセンターや携帯電話の中継塔の建設に始まり、データと情報の流通管理のための中国のサイバー関連法やインターネット・ゲートウェイの模倣に至るまで、多岐にわたり関与しているという。

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ASDで最新技術を研究するリンゼイ・ゴーマン上席研究員は「遺伝的監視情報であれ、政治的見解や活動に関する情報であれ、中国がこうしたシステムを通じてデータを蓄積できるようになりかねないというリスクがある」と語る。

<「誰もが恐れている」>

軍事政権下のミャンマーでは昨年、民主的に選ばれた政権が軍部により覆され、抗議行動や反対派に対する流血の弾圧が始まった。中国企業はこの国でも、複数の都市において第4世代(4G)・第5世代(5G)ネットワークのほかに顔認識システムを展開している。

ミャンマー軍事政権は中国に似たサイバー法制を採用し、特定のウェブサイトへのアクセスを制限し、フェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアを禁止している。
ミャンマー当局者は以前、顔認識システムは治安と「市民の安寧」を維持するために必要だとの見解を示していた。

だが、同国第2の都市マンダレーで政治犯への法的支援を行っているシュー弁護士(26、仮名)によれば、抗議活動参加者を標的としたCCTVや顔認識システムの活用を巡る報道で「恐怖感が増した」という。

「警察はCCTVの記録を法廷の証拠として提出するため、活動家にとって危険であることは分かっている」とシュー弁護士は語る。「投獄された活動家に面会するため刑務所に行く際は、マスクを着用するようにしていた。新型コロナを恐れているからではなく、顔を隠したいからだ」

同弁護士はなおも言った。「誰もがCCTVを怖がっている」

<常に監視下に>
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中国、民間船使用で「海軍力」を強化=報道

世界的にも、AI技術の台頭により大規模な監視システムが増殖中だ。顔認識システムや音声識別システムなどが、犯罪者の追跡や学生の出席確認といったさまざまな用途に用いられている。

「このような技術によって、政府による監視手法の性質や監視対象の選択は変化した」とフェルドスタイン氏は語る。

カンボジア当局は、中国がウェブサイトやSNSのブロックに使っているファイアウオールに似た全国規模のインターネット・ゲートウェイを構築している。非営利団体「カンボジア人権センター」のチャック・ソピープ氏は、このようなシステムには透明性がほとんどないと指摘する。

「収集したデータやその利用方法について、政府は何の情報も開示していない。こういった透明性の欠如には非常に問題がある」と同氏は語る。

「この種の技術の利用は市民の、特に政権を支持しない市民のプライバシーを侵害し、当局が批判的な声や反体制派を弾圧するための新たな手段となっている」

プノンペンでは労組指導者のチヒム・シター氏を中心とする抗議活動参加者らが対応を進めている。対面による会議を増やし、その際は携帯電話も電源を切る。仮想プライベートネットワーク(VPN)や暗号化されたチャットグループを使用し、ソーシャルメディアへの投稿を避けるようにしている。

「常時監視され追跡されているという感覚は、とても疲れる」とシター氏は言う。

「何をしても警察に筒抜けになる。恐ろしい」

(Rina Chandran記者 翻訳:エァクレーレン)』

ロシア当局に拘束された日本領事、既に解放と政府関係者

ロシア当局に拘束された日本領事、既に解放と政府関係者=報道
https://www.epochtimes.jp/2022/09/118965.html

『[東京 27日 ロイター] – ロシア当局に拘束されたウラジオストクの日本総領事館の領事に関し、日本政府関係者が、拘束は数時間で既に解放されていると明らかにしたと、共同通信など国内メディアが27日報じた。』

中豪の外相会談、何の成果なく決裂と対豪戦狼外交の失敗

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:中豪の外相会談、何の成果なく決裂と対豪戦狼外交の失敗
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5374704.html

『中国の王毅(ワン・イー)外相China’s Foreign Minister Wang Yiとオーストラリアのペニー・ウォン外相 Australian Foreign Minister Penny Wongは2022年9月22日、米ニューヨーク市内で会談した。

双方は国連総会に出席するため、ニューヨーク滞在中だった。

中国とオーストリアの関係は冷え込んでいる。ドイツメディアのドイチュ・ベレによれば、両外相の話し合いで、関係改善の具体的な進展は得られなかった。中国政府外交部(中国外務省)は同会談を24日になって公式サイトで紹介した。紹介が遅れた理由は不明。

PennyWongウォン外相は22日の王外相との会談後、オーストラリア・メディアに対して「中国の関税を終わらせる希望は打ち砕かれた」と述べた。

両外相の40分間の会合では、人権から貿易に至る一連の食い違いについて何の進展も見られなかったという。

ウォン外務大臣はマレーシア生まれで、オーストラリア以外での出生でこの役職に就く初の人となりました。オーストラリアも中国との関係など外交においてもいろいろな課題があるので、彼女の手腕が期待される。

これより先、ペニー・ウォン外相は21日(現地時間20日)、国連総会で演説し、「(ロシアの)脅威は想像を絶するものであり、まったく無責任なものだ」と発言。戦争責任に関しては「ロシアのみが、この違法で道義に反する戦争の責めを負うべきだ。平和はまずロシアがウクライナ領土から撤退することによってのみ成し遂げられる」と述べ、ウクライナで攻撃を続けるロシアの姿勢を厳しく非難した 参照記事。

オーストラリアが2020年以来、中国における新型コロナウイルスの起源を調査するよう呼び掛け、中国企業の華為技術(ファーウェイ)の自国における5G構築への参加を排除したことなどで両国関係は冷え込んだ。

中国側が食肉や木材、石炭などオーストラリアからの輸入に関税追加などの制限措置を導入したことで、関係はさらに悪化した。オーストラリアは昨年上半期、中国の石炭禁輸措置で輸出量が多少減ったが、市場の状況はオーストラリアに有利に展開している。

下半期からは国際的な石炭価格が跳ね上がり、輸出額の伸びが続く大勢にある。

オーストラリア経済は昨年、プラス成長を記録することに成功し、今年上半期には記録的な貿易黒字を出した。

これまで約2年、豪へ経済報復を続けた中国だが、豪州の反中感情を強固にするだけに終わった。経済が好転した豪州へ、もう強気の中国は通じない。豪州の世論調査を見れば、中国の対豪戦狼外交が完全に裏目に出たと読める 参照記事。

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一方、中豪が互いに、経済分野で相手を重要な存在としている状況に変わりはない。

中国はオーストラリアにとっての最大の貿易相手国であり、中国の公式データによると、2021年の中豪2国間の貿易総額は前年比35.1%増の2312億米ドル(約33兆円)に達し、中国のオーストラリアからの輸入額は同40.6%増の1648億米ドル(約24兆円)に達した。参照記事 、、、

もうすぐ任期切れで退任間近の王毅(ワン・イー)から、現状維持以上の発言が出るわけもなく、会談結果は予想通りだった。

対豪経済戦略の失敗は、すべて王毅(ワン・イー)の浅知恵と習近平の経験不足の結果だ。

結局このコンビは、少なくても対外政策、経済面では何の成果もあげていない。壊し屋、自惚(うぬぼ)れ屋、ワン・イー、さようなら!』

ウクライナ北東部で大損失のロシア軍と、これまでの累計損失

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ウクライナ北東部で大損失のロシア軍と、これまでの累計損失
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5374824.html

『2022年9月27日:ウクライナ軍の参謀総長の推定によると、戦争開始の2022年 2月24日から 9月26日までに、ロシアはウクライナとの戦争で 累計57,000 人以上の軍人を失い、最近の1日で約 500 人のロシア兵が殺害されたと報告された。

ここ数日でロシア軍は、クラマトルスク KramatorskとドネツクDonetskの前線で最大の損失を被り、ロシア軍の累計総戦闘損失は次のように推定されている。

(+ )内の数字は最近数日のもの。参照記事 参照記事:厳しい冬に備える住民 ウクライナ東部ドネツク

・94d3731-vtratyApproximately 57 200 (+500) military personnel(人的損失)
・2 290 (+15) tanks(戦車)
・4 857 (+25) armoured combat vehicles(装甲車両)
・1 369 (+1) artillery systems(砲撃基地)
・330 (+2) multiple-launch rocket systems(ロケット基地)
・172 (+1) air defence systems(防空基地)
・FireShot Webpage Screenshot #2005 - '首都キエフ攻260 (+1) fixed-wing aircraft(固定翼機)
・224 (+4) helicopters(ヘリコプター)
・970 (+4) operational-tactical UAVs(無人機)
・241 (+0) cruise missiles(巡航ミサイル)
・15 (+0) ships/boats(艦船、ボート)
・3711 (+10) vehicles and fuel tankers(車両、燃料タンカー)
・131 (+1) other vehicles and equipment(その他車両、機器)参照記事』

ロシア連邦構成国でも強制動員への反発 動員リストにミス?

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ロシア連邦構成国でも強制動員への反発 動員リストにミス?
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5374676.html

『ロシア連邦を構成するダゲスタン共和国(Dagestan: イスラム系、首都はマハチカラ)では動員に対する強烈な抗議が始まっており、住民が動員を阻止するため道路を封鎖、これを解散させるため警察が威嚇射撃を行い物議を醸している。

特にダゲスタン共和国では住民が警官に「ウクライナがロシアを攻撃したのではなくロシアがウクライナを攻撃した」と問い詰める様子や、抗議から逃げだした警官を住民が追いかけ回す様子も確認されており、ここだけは動員に反対する住民の勢いが治安部門を圧倒しているように見える。9月25日投稿された記録映像  記録映像
Republics_in_the_Russian_Federation

連邦を構成するダゲスタン共和国のハサヴユルトでは夫、兄弟、息子の動員を阻止するため住民(主に母親)が道路を封鎖、これを解散させるため警察が威嚇射撃を行う様子を映した動画が登場、死傷者の有無は不明だが「ネオナチ組織だけでなく西側諸国の軍事機構全体を相手にしているため部分的な動員が必要だ」というプーチン大統領の訴えは地方でも支持されていないようだ。

ロシアは公式国名をロシア連邦といい、連邦政府の下に83の連邦構成主体と呼ばれる地方自治体が存在し、これらは更に21の共和国、46の州、9つの地方、1つの自治州、4つの自治管区、2つの連邦市に大別され、その中でも最も高い自治権を持つのが共和国。左の地図はロシアの連邦構成主体のうち、共和国のみを色分けしたもの。ダゲスタンだけ赤く表示。

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9月25日、少なくとも100人が拘束されたとされる中、ダゲスタンのセルゲイ・メリコフ首長(Sergey Melikov:大統領職)右は25日、共和国内での動員に「誤りがあった」とメッセージアプリ「テレグラム」に投稿し「リストに載っていない人々が動員されたことが事実である場合、学生、複数の幼い子供を持つ父親、人生でライフルを持ったことがない人などがリストに在れば、すぐに修正する必要があります.そのような過ちが動員の最初に起こったことが分かった」とテレグラムに書き、首長は、動員中に権利が侵害された住民に、共和国の入隊事務所に連絡するよう促した。

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ロシアでは、ショイグSergei Shoigu露国防相の説明と異なり、軍務経験のない人や幼い子どものいる親が招集されたという報告が複数なされている。

ロシア各地、サハ共和国の首都ヤクーツクYakutskでも抗議デモが起きているが、とりわけ、カスピ海沿岸に位置しイスラム教徒の多いダゲスタンのような貧しい少数民族地域で反発は強いようだ。 参照記事 英文記事

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独立系のネットメディア「メドゥーザ」は、動員が始まった9月21日以降、25日までにロシア国内の少なくとも10か所の徴兵事務所conscription office,military registration and enlistment office で放火630_360_1663940745-889事件が相次いでいると伝え、プーチン大統領の決定に対する国民の不満が顕在化している 記録映像 記録映像  英文記事 参照記事。英文記事  

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、ロシア国民に対して、動員を回避するよう、あるいはすでに前線に配置された場合は、機会が生じたらすぐにウクライナ側に降伏するよう呼びかけた。参照記事

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ロシア領イルクーツク州の現地メディアは「25歳のロシア人男性が26日朝、ウスチ・イリムスクの軍事務所(軍への登録や入隊手続きを行う場所)で発砲して地元の軍事委員長が負傷した」と報じた。現地記事と映像 

プーチン大統領が「部分的な動員」を発表後、動員への反対もしくは招集作業を妨害するため各地の軍事務所が放火(30ヶ所以上)されているものの、ここまで直接的で攻撃的な抗議は今回が初めてなので、露国営メディアも速報でイルクーツク事件を報じるほど注目度が高い。

拘束された犯人の母親は「親友に届いた招集令状に息子は怒っており、動員は部分的ではなく全ての人を連れて行く気だ」と証言しているらしい。

容疑者は手製の銃器を手に入隊事務所に現れて発砲し、事務所に集められていた青年らに「さあ家に帰ろう。誰も戦わなくていい」と声をかけたと言う。

撃たれた軍事委員は6発の銃弾を受け重傷で、散弾を発射したのだろうと書かれている。容疑者自身も徴集兵だったと言う。 参照記事、、、、散弾をぶっ放すべき相手はクレムリンに居るのだが、、、。』

ドイツが中共発の貨物を受け取っている最大の港は、デュイスブルク

ドイツが中共発の貨物を受け取っている最大の港は、デュイスブルク
https://st2019.site/?p=20329

『2022-9-23記事「Duisport and Port of Hamburg here to stay on the Silk Road」。

    ドイツが中共発の貨物を受け取っている最大の港は、デュイスブルクで、ハンブルクがそれに次ぐ。

 この2港からは鉄道が欧州各国へつながっている。すなわち輸送ハブ港。

 ドイツ人は中共と縁を切る気は無い。』

イタリア極右党首メロニ氏は、「ベルト&ロード」への参加を続けるつもりはないと表明。

イタリア極右党首メロニ氏は、「ベルト&ロード」への参加を続けるつもりはないと表明。
https://st2019.site/?p=20329

『2022-9-26記事「Italy likely to leave the Belt and Road under Giorgia Meloni」。
   選挙で大勝ちして次の首相になることが確定したイタリア極右党首メロニ氏は、「ベルト&ロード」への参加を続けるつもりはないと表明。

 イタリアは2019-3に、BRIに加わる最初のG7国となっていた。』

ウクライナに対する戦争で死んだロシア兵は、すべての罪を清められる…。

ウクライナに対する戦争で死んだロシア兵は、すべての罪を清められる…。
https://st2019.site/?p=20329

『ロイターの2022-9-26記事「Orthodox Church leader says Russian soldiers dying in Ukraine will be cleansed of sin」。

   ロシア正教会のいちばん偉い人「Patriarch Kirill」(75)いわく。
 ウクライナに対する戦争で死んだロシア兵は、すべての罪を清められる、と。

 すなわち、戦死するということは、他のすべての人のために自身を犠牲にするという行為なので、その行為によって生前の罪は水に流されるのである。

 かたやローマ・カトリックのフランシス教皇いわく。神は戦争を支持していない、と。』

この段階でロシアが戦術核を敢て使うとすれば…。

この段階でロシアが戦術核を敢て使うとすれば、それは、オデーサ市からヘルソン市を経て、ザポリッジア市対岸(右岸)まで、点々と、数発、炸裂させる流儀になるだろう。
https://st2019.site/?p=20329

 ※ しかし、そんなことをすれば、ロシア軍自身も「放射能汚染」から免れないのでは…。

 ※ (風向き次第では、「放射能灰」の「丸かぶり」となろう…。)

 ※ そういう「汚染地帯」の中で、「軍事活動」なんか、できるものなのか…。

 ※ まあ、誰も「経験したことの無い」話しだな…。

 ※ ある程度の「シミュレーション結果」でも、あるものなのか…。

 ※ さらには、「報復」の問題もある…。

 ※ 必ずや、「報復」しないではおかないだろう…。

 ※ そして、それは、「全面核戦争」(≒世界の終わり)の引き金と、なり得る…。

 ※ ヤレヤレな話しだ…。

 ※ ロシアへの影響力がある国に、期待する他ないな…。

 ※ なんとか影響力を行使して、「おもいとどまらせて」欲しい…。

 ※ 皆さん、今のうちから「備えて」おきましょう…。

 ※ (と言って、どーすんだ?急遽、シェルターでも買うのか?)

 ※ (ウクライナ人は、ことごとく「自宅」に「地下室」を備えていて、水・食料品などの「備蓄品」も、ある程度貯えているようだったな…。)

『※この段階でロシアが戦術核を敢て使うとすれば、それは、オデーサ市からヘルソン市を経て、ザポリッジア市対岸(右岸)まで、点々と、数発、炸裂させる流儀になるだろう。

すなわち露軍が確保している南部占領地の「前縁」を核で帯状に汚染して、放射能スクリーンを張ることで、戦線の流動を止めてしまうわけだ。

特にクリミア半島の奪還を予防する。そのために、南部では、ドニエプル川の下流を自然境界として確定させる。

米国に対しては、「核の移動弾幕砲撃」、すなわち同様の帯状爆発のラインをすこしずつ北上、もしくは西進させると脅すことになるだろう。』

ロシアの国内法では、徴兵はいかなる条件であってもロシア領土の外にある戦場へは出さないということが明記されている。

ロシアの国内法では、徴兵はいかなる条件であってもロシア領土の外にある戦場へは出さないということが明記されている。
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『Sergio Miller 記者による2022-9-23記事「Russia’s Conscripts Problem」。

    ロシアの国内法では、徴兵はいかなる条件であってもロシア領土の外にある戦場へは出さないということが明記されている。平和維持活動ですら、ゆるされないのである。
 この法律(連邦法第931号)はイェリツィン時代の1995-6-23に制定された。ところが今じっさいにプーチンがやらせていることは、あからさまに、この国内法に違反している。

 では誰ならば国外配備できるのか。プロ将校。プロ下士官。そして3年契約の志願兵だ。ロシアではこれを「コントラクトニキ」=「契約兵」と呼ぶのである。

 またロシアでは下士官のことは「スペシャリスト」と呼ぶ。

 空挺部隊は、8割が契約兵である。

 露軍においては、すべての部隊のドライバー(露軍では「運転整備兵」と呼ばれる)は、全員、徴兵である。そこで普通の人は疑問に思う。AFVやトラックの操縦兵が全員、法律で「越境」を禁じられているのに、どうして露軍は外征戦争ができるんだ?

 侵攻前の夢の計画では、1週間で全ウクライナを占領したあと、徴兵たちは本土に呼び戻し、その穴を、「ロスグヴァルディア」(ロシアの志願州兵)かコントラクトニキで埋めさせるつもりだった。

 プーチンにとり、大急ぎのインチキ住民投票で占領地が「内地」だということにしてしまう以外に、違法状態を解消する方法は無いのだ。

 ちなみに1991に実施された最後の自由投票では、ドネツク州やルハンスク州も含め、いま露軍が占領している地域の住民の8割以上が、ロシアからの分離に賛成しているのである。』

米国は砲弾のグローバル・サプライ・チェーンを構築しようとしていないか?

米国は砲弾のグローバル・サプライ・チェーンを構築しようとしていないか?
https://st2019.site/?p=20325
 
 ※ 「ありそうな話し」だ…。

 ※ アメ様のご意向無しに、日本政府が「独断で」「武装強化」に動くことは、あり得ない…。

 ※ 「どこの勢力」に向けての話しなのかは、説明を要しないだろう…。

 ※ たぶん、「全面戦争」をも、視野に入れていると思われる…。

『※雑報によると、スロヴァキア製の155ミリ砲弾がウクライナに供給されつつあり。
これは私見だが、米国は砲弾のグローバル・サプライ・チェーンを構築しようとしていないか? 

平時に世界中の小国にカネを払って少量ずつ、砲弾量産を続けていてもらう。そうすれば、有事に急速増産をかけられるから。日本政府が急に弾薬増産に意欲的になったのも、その背景があるからではないか?』

イランには「ハーピィ」「ハロプ」の模倣はできなかったのだ。

イランには「ハーピィ」「ハロプ」の模倣はできなかったのだ。
https://st2019.site/?p=20325

『Defense Express の2022-9-25記事「Iranian Shahed-136 Have a Feature that Makes Usage of Radar-Reliant Air Defense Against Them Problematic」。

    軍事専門サイトの『The Drive』が、おかしな記事を載せている。イランの「シャヘド136」には地上レーダーを攻撃する能力があり、それは「アクティヴ」だという。
 レーダー輻射源にホーミングするセンサーなら、それは「パッシヴ」だろう。ミサイル用語の基本だろう。

 そして現段階で得られている「シャヘド136」の残骸に、対レーダー・ホーミング能力が備わっている証拠はない。

 ※イランには「ハーピィ」「ハロプ」の模倣はできなかったのだ。その模倣ができているらしいトルコは、じつにあなどれない。

 イラン製のシャヘド136とシャヘド131の投入は、9-24の戦況報告によって初確認された。使用された場所は、オデーサ、ドニプロ、ミコライウである。

 レシプロ偵察機の「モハジェ-6」も1機、海上に墜落したのが回収されている。』