プーチン大統領 “予備役”部分的動員発表 なぜ?

【演説全文】プーチン大統領 “予備役”部分的動員発表 なぜ?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/detail/2022/09/22/25523.html

『ウクライナへ軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は2022年9月21日、国民向けのテレビ演説を行いました。
この中で、戦地に派遣する兵士について、職業軍人だけでなく、有事に招集される、いわゆる予備役を部分的に動員する大統領令に署名したことを明らかにしました。
演説全文は以下のとおりです。』

『プーチン大統領演説 全文

皆さん、私の演説のテーマは、ドンバス地域の情勢と、2014年の軍事クーデターによりウクライナで政権を奪取したネオナチ政権からドンバス地域を解放するための特別軍事作戦の経過だ。

きょう私が話す相手は、わが国の全国民、さまざまな世代・年齢・民族の人々、われわれの偉大な祖国の国民、大いなる歴史的なロシアが結ぶ全ての人々、いま最前線で戦い、任務についている兵士・将校・義勇兵、われわれの兄弟姉妹であるドネツク人民共和国、ルハンシク人民共和国、ヘルソン州、ザポリージャ州のほかネオナチ政権から解放された各地域の住民だ。

話すのは、ロシアの主権と安全、領土保全のために不可欠で緊急の対応について、みずからの将来を決めたいという同胞の希望と意志への支援について、そして、あらゆる手段でみずからの支配を保とうと、主権を有し自立した発展の中心を封鎖・抑圧し、ほかの国や国民にみずからの意志を押しつけ続け、偽善を植え付けようとする一部西側エリートたちの侵略政策についてである。

西側の目標は、わが国を弱体化させ、分裂させ、最終的に滅ぼすことである。彼らは1991年、ソビエトを分裂させることができたので、今度はロシア自体が、互いに致命的に敵対するたくさんの地域と州に分裂する時が来たと明言している。

そして、西側は長いことそうした構想を練ってきた。彼らはカフカスの国際テロリスト集団を鼓舞し、わが国の国境近くにNATOの攻撃インフラを置いた。彼らは全体的なロシア嫌いを武器として、特にウクライナでは数十年にわたり意図的にロシアへの憎悪を醸成し、反ロシアの足掛かりとしての運命を背負わせ、ウクライナ国民自身を大砲の餌食にしてわが国との戦争に追い込んだ。

彼らはこの戦争を2014年に始め、民間人に武力を行使し、クーデターの結果ウクライナに生まれた政権の承認を拒む人々に対して、ジェノサイド、封鎖、テロを計画した。

そして、いまのキエフ(キーウ)政権が実際、ドンバスの問題の平和的な解決を公式に拒否し、さらに核兵器を要求したあと、すでに過去2度起こったとおり、ドンバスへのさらなる大規模攻撃が避けられないことはじつに明白となった。そうなれば、ロシアのクリミア、すなわちロシアに対する攻撃へと続くことも避けられなかっただろう。

これを踏まえれば、先制的な軍事作戦を行う決定は絶対に必要不可欠であり、唯一可能なものだった。ドンバス全域の解放という作戦の主要目標は、以前もいまも変わっていない。

ルハンシク人民共和国は、すでに全域でネオナチの掃討が済んでいる。ドネツク人民共和国での戦闘は続いている。この8年間で、キエフ(キーウ)の占領政権はこの場所に深く階層化された長期的な防衛施設を築き上げた。正面突破すれば多大な損失を出すことになることから、われわれの部隊とドンバスの共和国軍の部隊は、計画的かつ有能に行動し、装備を使用し、人員をむだにせずに、ドネツクの土地を一歩ずつ解放している。町や村からネオナチを追い出し、キエフ(キーウ)政権が人質や人間の盾にした人々を支援している。

ご承知のとおり、特別軍事作戦には、契約に基づいて任務に当たる職業軍人が参加している。彼らと肩を並べて戦っている義勇兵組織は、民族も職業も年齢も異なる人たち、真の愛国者だ。彼らは心の声に従ってロシアとドンバスを守るため立ち上がった。

この点に関して、私はすでに政府と国防省に対し、義勇兵とドネツク・ルハンシク人民共和国の部隊の戦闘員の法的な位置づけを、完全かつ可及的速やかに決定するよう指示した。この地位は、物資・医療面の支援や社会保障を含め、ロシア軍の正規軍人と同じでなければならない。ドンバスの義勇兵組織と民兵部隊に装備品を供給する態勢作りに特別な注意を払わなければならない。

ドンバス防衛の主要任務の決定に際し、わが軍は、国防省と参謀本部の戦略行動全般に関する計画と決定に基づいて、ヘルソン州とザポリージャ州の相当な領域と、その他いくつかの地域をネオナチから解放した。結果として、1000キロを超える長大な戦線が形成された。
ウクライナに展開するロシア軍兵士

きょう、初めて公言したいこととは何か。イスタンブールでの交渉を含め、特別軍事作戦の開始後すでに、キエフ(キーウ)の代表団はわれわれの提案に非常に前向きな反応を示した。これらの提案は何よりもロシアの安全、われわれの利益に関わるものだった。ところが明白に、平和的解決は西側諸国の思惑に沿わず、一定の妥協が成立したあと、実際キエフ(キーウ)には一切の合意を潰すよう直接の命令が下されたのだ。

ウクライナにはさらに多くの武器が投入されるようになった。キエフ(キーウ)政権は、外国人よう兵と民族主義者から成る新たな武装集団、NATOの教範で訓練され西側の顧問が事実上指揮する軍隊を配備した。

同時に最も過酷な形で強化されたのが、2014年の軍事クーデター直後に確立されたウクライナ全土の自国民に対する弾圧体制だ。脅迫・テロ・暴力による政治はますます大規模で、おぞましく、野蛮な形態となっている。

強調しておきたい。ネオナチから解放された領土は、歴史的に「ノヴォロシア」の土地だが、暮らす人の大多数が、ネオナチ政権のくびきに置かれることを望んでいないとわれわれは知っている。ザポリージャ州、ヘルソン州、ルハンシク、ドネツクで、ハルキウ州の占領地域でネオナチがはたらいたような残虐行為が見られたし、まだ見受けられる。バンデラ主義者やナチの懲罰隊員の子孫は、人を殺し、拷問し、投獄し、憂さ晴らしをし、民間人に制裁を加え、嘲笑している。

ドネツク人民共和国とルハンシク人民共和国、ザポリージャ州、ヘルソン州には、戦闘開始前は750万人以上が居住していた。その多くが避難民となり、故郷を去ることを余儀なくされた。そして、残った約500万人は、いま、ネオナチ戦闘員による絶え間ない砲撃やミサイル攻撃にさらされている。彼らは病院や学校を攻撃し、民間人に対するテロ行為を行っている。

われわれは、近しい人々を苦しめるため迫害者に引き渡す倫理上の権利を持たず、運命をみずから決定したいという彼らの切実な願いに応えないわけにはいかない。ドンバスの人民共和国の議会とヘルソン、ザポリージャ両州の「軍民行政府」は、その土地の将来についての住民投票の実施を決定し、われわれロシアにこうした措置を支持するよう要請してきた。

強調しておきたい。われわれは、人々がみずからの意思を表明できるよう、住民投票の実施に向けた安全な条件を整えるためあらゆることを行う。そして、ドネツク・ルハンシク人民共和国、ザポリージャ州、ヘルソン州の住民の大多数によってなされるみずからの将来についての決定を、われわれは支持する。

皆さん。

現在ロシア軍は、すでに話したとおり、1000キロを超える戦線で活動していて、ネオナチ組織だけでなく、事実上、西側が結集した全軍事機構と対抗している。

こうした状況においては、次のような決定を下す必要があると考える。それは、われわれが直面する脅威に十分対応できるものだ。すなわち、われわれの祖国と主権、領土の一体性を守り、わが国民と解放地域の人々の安全を確保するために、ロシア連邦で部分的な動員を行うという国防省と参謀本部の提案を支持することが必要だと考える。

繰り返しになるが、言っているのは部分的な動員のことで、つまり兵役への招集の対象となるのは、現在予備役になっている国民だけで、とりわけ(ロシア)軍で勤務したことがある者、一定程度の軍事の専門知識や関連する経験を有する人だけだ。

兵役に招集された者は、部隊への派遣に先立って必ず、特別軍事作戦の経験を考慮した追加の軍事訓練を受けることになる。

部分的な動員に関する大統領令には署名した。

法令に基づき、連邦議会の上下両院には、本日、正式に書面で通知される。

動員措置は本日9月21日から開始される。各地の首長に対し、徴兵委員会の業務に必要なあらゆる援助を行うよう指示する。

特に強調したいのは、動員により兵役に招集されたロシア国民は、契約に基づき兵役に就く軍人と同じ地位、給与、あらゆる社会保障を受けるということだ。

部分的動員に関する大統領令は、国家防衛の調達を履行するための追加的な措置も規定していることを付言する。軍産複合体の役員は、兵器や装備品の増産と、追加の生産設備の配備に直接の責任を負っている。また、防衛産業に対する物的、資源的、財政的保障をめぐる全ての問題は、政府によって遅滞なく解決されなければならない。

西側は、攻撃的反ロシア政策においてあらゆる線を越えた。われわれは常に、わが国とわが国民に向けた脅威を耳にしている。西側の無責任な政治家の一部は、ウクライナに対する長距離攻撃兵器、つまりクリミアやその他のロシアの地方への攻撃を可能とするシステムの供給計画について、ただ話をしているというだけではない。

こうしたテロ攻撃は、西側の兵器を利用したものも含め、すでにベルゴロド州とクルスク州の国境付近の集落に対して行われている。NATOは、最新のシステム、航空機、艦船、衛星、戦略無人機を利用して、リアルタイムでロシア南部全域を偵察している。

アメリカ、イギリス、NATOは、軍事行動をわが国の領土へ移すようウクライナに直接働きかけている。もはや公然と、ロシアは戦場であらゆる手段でもって粉砕され、政治・経済・文化、あらゆる主権を剥奪され、完全に略奪されなければならないと、語られている。
核による脅迫も行われている。西側が扇動するザポリージャ原発への砲撃によって、原子力の大災害が発生する危険があるというだけでなく、NATOを主導する国々の複数の高官から、ロシアに対して大量破壊兵器、核兵器を使用する可能性があり、それは許容可能という発言も出た。

ロシアに対してこうした発言をすることをよしとする人々に対し、わが国もまたさまざまな破壊手段を保有しており、一部はNATO加盟国よりも最先端のものだということを思い出させておきたい。わが国の領土の一体性が脅かされる場合には、ロシアとわが国民を守るため、われわれは、当然、保有するあらゆる手段を行使する。これは脅しではない。

ロシア国民は確信してよい。祖国の領土の一体性、われわれの独立と自由は確保され、改めて強調するが、それはわれわれが保有するあらゆる手段によって確保されるであろう。核兵器でわれわれを脅迫しようとする者は、風向きが逆になる可能性があることを知るべきだ。 世界の支配を目指し、わが祖国、わが母国を解体し隷属させると脅す者を阻止するのは、われわれの歴史的な伝統で、わが国民の宿命の一部となっている。われわれは今回もそれを成し遂げ、今後もそうし続ける。皆さんの支持を信じている。』