ダークウェブのマーケットプレイスで「ジャヴェリン」を販売しているとする人物に接触した。

ダークウェブのマーケットプレイスで「ジャヴェリン」を販売しているとする人物に接触した。
https://st2019.site/?p=20321

『Maria Korenyuk, Lucy Swinnen and Jack Goodman 記者による2022-9-24記事「Undercover with Russia’s fake arms dealers」。

 BBC国際サービスのディスインフォメーション対策チームは、ダークウェブのマーケットプレイスで「ジャヴェリン」を販売しているとする人物に接触した。

 ロシア国営TVによる宣伝報道。ウクライナ人たちは米国から寄付された兵器をダークウェブで転売しているぞと。

 そこでBBCが調査してみたところ、それらの兵器はフェイクであった。

 ロシア人はウクライナ人のことを「ウクロプス」と蔑称する。
 NATOから供与された対戦車火器をウクライナ軍の上層が転売しているぞという宣伝はまず6月2日に「ASB軍事ニュース」というプロクレムリンの英語アカウントに投稿された。

 このアカウントは今、ツイッターでは凍結されてしまったが、テレグラムではまだ生きている。登録読者10万人。

 同じ日、ロシア語のテレグラムのチャンネル(フォロアー70万人)に、別な投稿が。いわく。米欧から支給された、ジャベリン、機関銃、戦車までが転売され、世界のテロリストや犯罪者の手に渡るだろう、と。

 そこにジャヴェリンの写真が添えられている。3万ドルで売るという。引渡しの場所は、ウクライナとポーランドの国境、もしくは国外にて。

 BBC調査班は、どことも紐付けられていないラップトップ端末を用意し、特別なブラウザーを使い、ダークウェブ内の犯罪に肉薄することにした。

 まず笑かしてくれるのが、売人はウクライナ人で、これらの販売元はキーウにあると主張されているのに、ウクライナ語の都市名のスペルが間違っている。

 この売り手は、すでに32の商談を成立させたと主張する。米国製M4カービンやその他の小火器だ。
 ところがいずれの商品写真もずいぶん古いものばかりで、しかも画像加工されていた。(特別な探知ソフトウェアを使ってブラウズすると、そういうインチキが自動警告される。)

 M4カービンの画像の初出を辿ると、ロシアのウェブサイトに2014年に掲載されたもののコピーと分かった。
 他の銃器写真も、2014年に銃器オタクのサイトに投稿されたもののコピーであった。

 ダークウェブのマーケットプレイスで自爆ドローンの「スイッチブレード300」を2機、売りますと言っているサイト。その写真はフォトショップ加工されている。

 間抜けにもシリアル番号がそのままであるおかげで、それらはシリアの戦場で2015年から2016年にかけて拾得されたものだと判明。

 自称ウクライナ人である販売人に問い合わせたところ、商品は、ある隠れ家に置かれるので、そこから持って行け、という。その前に代金を「管理人」に預けなければならない。

 キミの使うウクライナ語は文法の間違いだらけだと指摘したところ、販売人は、わたしはポーランドから来たのである、と言い訳した。

 そこで、3ヶ国語のチャットの文体を解析できるプロ翻訳家に調べてもらったら、この「売り手」はロシア語が母語であることは確実だという。癖が出るのだ。

 しかもそのプロの翻訳家氏いわく。この売り手は、グーグル翻訳ソフトを使って、ロシア語からウクライナ語に直しているのに相違ないと。

 というのは、チャットの中に、ロシアではふつうによく使う言い回しが登場する。それはポーランド語圏には存在しない言い回しである。それがそのままウクライナ語に訳されている。

 オンライン翻訳ソフトは、どうにもわかりかねる語についてはオリジナル入力をそのまま残す。杜撰にも、そのようにして訳されそこなったロシア語が、いくつもチャット文中に残存している。

 レビュー投稿も人工的なものである。ポーランド人多数が投稿しているように装っているが、ポーランド人ならこのような話し方はしないという文法になっている。つまりロシア人工作員が、オンライン翻訳でロシア語原文をポーランド語に変えては、せっせと書き込んでいるわけだ。

 ロシア国営のサイトRTは、ポーランドの国境警備隊がグルになっており、ウクライナ人がミサイルをポーランドに持ち出している、としきりに宣伝。

 BBCは、このロシアの宣伝工作を承け売りする投稿者が、英国、日本、ベトナム、トルコ、米国等に存在することも発見した。

 露骨な「偽ニュース」にはもはやロシア国外の人々はひっかかってくれない。そこで、マーケットプレイスへの「偽商品」出品を通じて、誰も証明し難いルーモアを流布させてやろうという、新手の間接的な宣伝作戦のようだ。』