「プーチン離れ」迫られた習近平氏、その意外な手駒

「プーチン離れ」迫られた習近平氏、その意外な手駒
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK180Y10Y2A910C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『「(ウクライナ危機に関する)あなた方(中国)の疑問や懸念を理解している」「きょうは我々の立場を詳細に説明する」。ウズベキスタンのサマルカンドでの7カ月ぶりとなる対面式の中ロ首脳会談の冒頭、ロシア大統領のプーチンは、これまでなら考えにくい、へりくだった言葉を口にした。

中国国家主席の習近平(シー・ジンピン)への最大限のリップサービスに至るまでには、複雑な駆け引きがあった。まず重要なのは、習が2年8カ月ぶりとなる外国訪問の最初の国に選んだのが、意外にもカザフスタンだった経緯だ。

ヌルスルタンに到着した中国の習近平国家主席を出迎えるカザフスタンのトカエフ大統領(9月14日)=ロイター

上海協力機構(SCO)首脳会議が開かれるウズベキスタン入りに先立つカザフ訪問は、短時間だが国事訪問という重みある扱いだった。視線の先にあったのは翌日の中ロ会談である。

ロシアがウクライナ侵攻に踏み切った後、カザフスタンとロシアの関係は険悪になっていた。米欧の対ロシア制裁を巡り、カザフスタン大統領のトカエフが、カザフは決して制裁の抜け道にならないと言明し、プーチンの強い怒りを買った。

ロシア・カザフの確執も利用

ウクライナ侵攻前の1月、カザフで大規模デモが発生した。トカエフは旧ソ連の6カ国でつくる軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)に平和維持部隊の派遣を要請し、ロシア軍を主力とする約2000人の兵力がカザフに入った。ロシアに借りを作った格好だが、情勢はウクライナ侵攻の開始で一変する。

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席(9月16日、サマルカンド)=AP

ロシアの圧力にあらがうには、遠方の米欧との協力だけでは心もとない。隣の大国、中国からの助力が必要だった。習は微妙な力学を十分承知しながら、あえてカザフに足を踏み入れた。中央アジアでの影響力を確保する手駒としてカザフを使ったのだ。

「カザフスタンが国家の独立を維持し、主権と領土を守ることを断固、支持する」。トカエフとの首脳会談で習が口にした言葉は突出していた。カザフが誰から国家の独立を守るというのか。もちろん念頭にあるのはロシアだ。

カザフはウクライナと同様にロシア系住民を抱える。さらに関係が悪化すれば、プーチンは、ウクライナ侵攻と同じロシア系住民の保護を理由に介入してくる。「ロシアがウクライナで勝てば、次はカザフかもしれない」という恐怖感は強かった。

「プーチンと再び会う習主席が、わざわざ事前に来訪したのは、カザフ外交の大勝利だ」。カザフの国際政治学者は、中国を盾にロシアからの圧力を軽減できる利点を強調する。かたや習は中国の利益を考えていた。「言外にプーチンをけん制する手段としてカザフを使ったと解釈できる」。カザフ側では、そう受け止められた。

習にとってカザフは「一帯一路」構想につながる「新シルクロード経済帯」を2013年に打ち出したゆかりの地だ。トカエフは北京語言学院(現在の北京語言大学)に留学経験がある。中国語も堪能で気脈を通じやすい。習はカザフとの鉄道、運輸、天然ガスパイプライン、水利などでの協力を進めた。

ロシアとの間合いをはかる習の言動には、「プーチンの侵略戦争」に距離を置かざるをえなくなった中国の外交・安保戦略の大きな変化がにじむ。2月4日、北京での中ロ首脳会談で「無制限の友好」をうたい、「北大西洋条約機構(NATO)拡大反対」を共同声明に盛り込んだ。その中ロ蜜月は、曲がり角を迎えていた。

ウクライナ東部の戦況はロシア劣勢も伝えられている。ぐずぐずしていれば手遅れになる。これが今回、習が微妙な「プーチン離れ」を選択せざるをえなかった理由でもある。

10月16日からの中国共産党大会でトップ3期目を狙う習にとって、長期政権を担う盟友プーチンのウクライナ侵攻は悩みの種だった。会うのはやぶさかではない。米国との長期的な対決を覚悟する中国は、軍事大国のロシアとの協力を今後も維持したい。

だが明確な主権侵害であるウクライナ侵攻を中国が全面的に後押ししている、という悪いイメージからは早く脱却する必要があった。中国は、習の尊厳を保つ仕掛けが欲しかった。

それがウクライナ侵攻に関する中国の懸念について、プーチンが自ら説明するという儀式だ。中国側は、習が直接、ウクライナに触れたという公式発表は避ける一方、プーチンが国際社会にわかる形で語るなら、双方ともメンツを保てる。

プーチンは不愉快だろう。勢力圏とみなす中央アジアで中国がやりたい放題なのも苦々しい。それでも、ウクライナ情勢が不利だけに、対面による中ロ首脳会談の実現が最優先課題だった。一定の譲歩はしかたなかった。

習氏とプーチン氏の差別待遇

中国は用意周到だった。異例のプーチン発言を引き出した隠れた功労者は、習側近で中国序列3位の栗戦書(リー・ジャンシュー)である。全国人民代表大会常務委員長の栗は9月7日、ウラジオストクでプーチンと会談している。

9月7日、ウラジオストクでプーチン氏と会談する栗戦書・中国全国人民代表大会常務委員長=AP

「世界的に注目された(サマルカンドでの)中ロ首脳会談について、ウラジオストクを含め、様々な調整が事前になされていた」。SCO首脳会議参加国の関係者は、栗による重要な前さばきを指摘する。

習はカザフ同様、ウズベキスタンでも大歓迎された。9月14日夜、SCO首脳会議のためサマルカンド空港に到着した習を盛大に出迎えたのは、会議のホスト役であるウズベキスタン大統領のミルジヨエフ、首相のアリポフらだった。

サマルカンドに到着した習氏を出迎えるウズベキスタンのミルジヨエフ大統領(9月14日)=AP

対照的だったのが、プーチンの出迎えである。大統領は不在で首相のみ。明らかな差別待遇だ。しかもSCO首脳会議の集合写真を撮影した際も、ミルジヨエフは、まず習に丁重に尊敬の念を表明し、次にプーチンに「どうぞ」と話しかけた。この順番も意図的だ。

中央アジア各国は、表向きの態度表明とは別に、同じく旧ソ連に属していたウクライナへの全面侵攻に衝撃を受けていた。プーチンにとってサマルカンドは針のむしろだったに違いない。

インド首相のモディはロシアとの首脳会談で「今は戦争のときではない」とストレートに忠告した。「私たちは全てをできるだけ早く終わらせたい」と返したプーチンの言葉は、ウクライナ側に責任を押しつける容認しがたいものだが、早期停戦に触れたことは驚きである。

中国メディアは、中ロ首脳会談でのプーチンの微妙な発言を中国国内で公式に報じていない。ウクライナ侵攻以来の7カ月、一貫して「プーチン寄り」の報道を続けてきたため、いきなり急転換すれば中国国民が面食らう。慎重なコントロールが必要だった。

だが、中国外務省の影響力が強い一部中国メディアは、モディの忠告を紹介している。プーチンが置かれた厳しい環境を紹介し、中国の外交姿勢の微妙な変化もにじませる。そういう意図があった。

2年8カ月ぶり出国で巻き返し

各国首脳が勢ぞろいして歓談したSCO首脳会議の夕食会の場に習の姿はなかった。確かに中国共産党大会を前に新型コロナウイルス感染症にかかるのを恐れていた。一方、悪役が定着したプーチンとにこやかに談笑し、そのツーショット写真が世界に出回るのを避けた面もある。

中国は事後のフォローも忘れなかった。サマルカンドでの中ロ首脳会談に同席した中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)は、わずか4日後、中国福建省でプーチンに極めて近いロシアの安全保障会議書記であるパトルシェフと戦略的安全保障を巡って協議した。

注目点は、中国側が、先の中ロ首脳会談と一転して、ウクライナに関する意見交換を明言したことだ。福建協議に習側近で公安相に昇格して間もない王小洪が同席したのも目をひく。ロシアとの安全保障協力は軍事に重点を置かず、警察部門が仕切る治安面の協力、「テロ対策」が主体だと中国側は言いたい。

それでも、衣の下から鎧(よろい)がのぞく。パトルシェフも治安を担うロシア連邦保安庁(FSB)出身だが、プーチンと一心同体の側近としてウクライナ侵攻に立案の段階から深く関わっている人物なのだ。

習は、ウクライナ危機の収拾で中国が力を発揮するチャンスを虎視眈々(たんたん)と狙っている。見通しはまだ立たない。それでもプーチンとの会談で、中国が懸念を示している雰囲気を世界に宣伝できたのは大きい。楊潔篪もパトルシェフとの協議で、中国が今後、担える役割を探ったはずだ。
プーチン氏と握手するインドのモディ首相(9月16日、サマルカンド)=ロイター

中国外交は、新型コロナ感染症が最初に発見された湖北省武漢での事実隠蔽と初動の遅れによって長い間、劣勢に立たされた。それ以来、2年8カ月ぶりだった習の外国訪問は、巻き返しへの第一歩となるのか。もう少し見極める必要がある。(敬称略)

中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。
習近平帝国の暗号 2035

著者 : 中澤 克二
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 1,980円(税込み)

この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon楽天ブックス
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

益尾知佐子のアバター
益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授
コメントメニュー

分析・考察

中国にも地政学的な視点はあります。今日、中国から見て海域は米国中心勢力が良からぬことをたくらむ危険地帯。その分、ユーラシア大陸の陸域は自国の勢力で固める必要があります。中国はこれまでロシアに遠慮し中央アジアの主導権を二分してきましたが、今回の外遊で明確に踏み出しました。上海協力機構は中国中心組織に変質しています。

カザフスタン、ウズベキスタンは中央アジアの大国で、両国の指導者にとっても中国からの支持は国内的に大きな得点です。逆に習近平も、今回、彼に勲章を授与してくれた両国の大統領に「習近平主席は真の偉大な領袖だ」と言わしめたことで、中国人民に彼の世界的威光を示せることになりました。
2022年9月21日 20:27 (2022年9月21日 20:31更新)

上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
コメントメニュー

別の視点

中国にとっては寝耳に水で、ある意味迷惑でもある、ロシアのウクライナ侵攻。この暴挙についてプーチン大統領が公の場で習近平国家主席に対する事実上の釈明を余儀なくされるに至ったのは、中国の外交上の勝利と言えるだろう。それに加えて、記事でも触れられているが、中央アジアにおける中国の影響力を格段に強めることができたのも、中国からすれば大きな成果である。英紙フィナンシャルタイムズは9月17・18日付けで、中央アジアにおいて中国とロシアの利害は対立すること、ウクライナ侵攻をうけてカザフスタンなどはロシアへの警戒心を強めたこと、中央アジアにおける中国の影響力は増し、ロシアに対して優位に立ったことを報じていた。
2022年9月21日 13:06』

INPEX、新潟で新ガス田を開発へ 26年めどに商業化

INPEX、新潟で新ガス田を開発へ 26年めどに商業化
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC13D7A0T10C22A9000000/

『INPEXは11月から新潟県内でガス田の探鉱を始める。商業化できる埋蔵量を確認できれば、2026年にも生産を始める計画だ。新規の天然ガス田が26年に稼働すれば同社として国内で16年ぶり。石油資源開発も23年に新潟県のガス田での増産を計画する。日本は天然ガス調達のほぼ全量を輸入に頼っている。ウクライナ危機を発端として資源価格が高騰するなか、国内での新規開発を通じて安定調達につなげる。

INPEXは国内最大級の生産量がある南長岡ガス田(新潟県長岡市)の北側にある南関原地区で天然ガスの埋蔵を確認しており、23年6月まで現地で試掘調査を実施する。採算性が見込めれば、商業生産に移行する考えだ。生産見込み量や投資額は非開示。採掘した天然ガスは既存のプラントで処理し不純物などを取り除く。INPEXは事業化のめどがたち次第、パイプラインの建設工事も本格化させる。

同社が新規ガス田で生産を始めれば、10年の「南長岡AF-13」ガス田以来となる。南長岡ガス田の生産量は21年度実績で11億立方メートル。液化天然ガス(LNG)換算では80万トン分と日本の年間LNG輸入量の1%強に相当する。だが生産開始から時間がたち、直近ピークだった08年度の15億立方メートルから減少している。新たなガス田の開発で、供給量の維持、拡大を狙う。

競合他社も国内での天然ガス田の開発に動く。石油資源開発は片貝ガス田(新潟県小千谷市)で22年7月から生産量を維持するための掘削を始め、23年後半から新たな井戸での生産を開始する予定だ。同社として国内での新たな井戸の稼働は3年ぶり。片貝ガス田では20年度で年間3億5000万立方メートルの天然ガスを生産しているが、新たな井戸により供給量を積み増す。

経済産業省は21年10月に閣議決定したエネルギー基本計画で、国内開発と日本企業が海外で権益をもつ割合を合わせた石油・天然ガスの自主開発比率を19年度の35%から40年に60%以上に高める目標を掲げた。

ウクライナ危機以降、調達不安が広がるLNGは世界で争奪戦となっており、価格も高騰している。貿易統計によると円安進行や資源高で足元のLNGの調達額は前年同期比2倍程度になった。スポット(随時契約)価格も1年前の数倍の水準で、家庭や法人向けの電力・ガス料金も上昇している。国内での増産や海外権益の拡大が進めば、家計や企業の負担軽減につながる可能性もある。

脱炭素の流れもあって世界では資源開発投資に逆風が吹く。天然ガスは化石燃料の中では二酸化炭素(CO2)排出が少なく、脱炭素への移行期の燃料として重要性が高まっている。

【関連記事】

・INPEX・JOGMECなど、CO2貯留可能性を新潟県で研究
・INPEX、国内約30年ぶり海洋ガス田「事業性なし」

イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時頃に配信します。

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 
 』

米「ロシアは逃れられず」 安保理、侵攻後初の閣僚会合

米「ロシアは逃れられず」 安保理、侵攻後初の閣僚会合
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22D5R0S2A920C2000000/

『【ニューヨーク=白岩ひおな】国連安全保障理事会は22日、ロシアのウクライナ侵攻後で初となる閣僚級会合を開き、ロシアのラブロフ外相が侵攻以来で初めて出席した。プーチン大統領が発令した部分動員令や親ロシア派がウクライナで計画するロシアへの編入の是非を問う住民投票をめぐり、米欧など各国から非難が集中した。

ブリンケン米国務長官は「プーチン氏は世界の大半が国連に集まる今週、自ら起こした火に油を注ぐために、国連憲章、国連総会と安保理を徹底的にないがしろにすることを選択した」と非難。「国際秩序そのものが目の前でずたずたに引き裂かれている。われわれはプーチン氏が(侵攻をめぐる責任追及を)逃れることを許さない」と強調した。

米国のブリンケン国務長官は「世界が国連に集まっている今週、ロシアは火に油を注ぐことを決めた」と批判した=国連提供

住民投票による事実上の併合が決まれば「プーチン氏はその土地を解放しようとするウクライナの努力を、いわゆる『ロシア領土』への攻撃だと主張することが予想される」との懸念も示した。

一方、会合に遅れて出席したロシアのラブロフ外相は演説で、ロシアへの非難は「西側諸国のプロパガンダだ」と主張。ウクライナへの武器供給や兵士の訓練などの支援をする国も紛争の当事国だと指摘した上で「西側諸国が紛争を故意にあおっていることは罰せられないままだ」と反論した。「特別軍事作戦の実施が不可避であったことを裏付けている」とも述べた。演説後には退席した。

プーチン氏は各国首脳が集まる国連総会の首脳級演説中の21日に国営テレビで国民向けに演説。戦闘継続のための部分動員を発表し、親ロシア派支配地域の事実上の併合に踏み切る考えを示した。「領土の一体性が脅威にさらされる場合」に「すべての手段を利用する。はったりではない」と述べ、核使用の脅しを強めた。

ノルウェーのストーレ首相は「ロシアに対する軍事的脅威は存在しない。ロシア軍が大規模な動員をする正当な理由は何もない」と強調した。「もしロシア国民が自由に意見を述べることができたら、彼らは戦争を選択しただろうか。そうは思わない」と述べた。

ウクライナのクレバ外相は「プーチン氏とその側近を裁判にかける唯一の方法は、ウクライナに対する侵略の罪を裁く特別法廷を設置することだ」と訴えた。会合前、ラブロフ氏と直接話す可能性を問われたクレバ氏は「安全な社会的距離を保つだろう」とも語った。
会合には戦争犯罪や人道に対する罪などを扱う国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のカーン主任検察官も出席。ウクライナでICC管轄内の犯罪が行われたと信じる「合理的な根拠」があると明言した。意図的な民間人への攻撃や、子どもを含む住民のウクライナからの移送について優先的に調査を進めている。

カーン氏は「私がブチャに行った時に見た遺体は(ロシアが主張する)偽物ではなかった。建物や学校の破壊も現実だった」と語った。「いかなる紛争にも責任があることを示さなければならない」と訴えた。

グテレス国連事務総長は「加害者は公正で独立した司法手続きにおいて責任を負わなければならない」と語り、全ての当事者にICCの調査への全面協力を求めた。プーチン氏による核兵器使用の示唆に触れ「世界は核による大惨事を起こすわけにはいかない」とクギを刺した。

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説

予備役まで招集し、核を使うかもしれないとまで言及するプーチン。明らかに切れるカードはもうない。ウクライナの男性は銃をもって祖国を守る士気が高い。それに対して、ロシアの男性はなんのための戦争なのか、参加したくない人が多いはず。核を使ったら、ロシア自身も終わり。停戦にはそれほど遠くないかもしれない。インド首相の「今、戦争している場合じゃない」の一言は停戦を予言しているかもしれない
2022年9月23日 7:18 』

クロス円為替相場が、大荒れ。ここ数年無いくらい。 : 机上空間

クロス円為替相場が、大荒れ。ここ数年無いくらい。 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29726364.html

 ※ FX取引(先物取引一般も)は、「心臓」「血圧」には悪そうだ…。

 ※ 「寿命」が縮むんじゃ、「本末転倒」だ…。

 ※ 「淡々、粛々」、「無事これ名馬」、「健康で、長生き。」が一番だ…。

『本日の午前3時(日本時間)に、米国政策金利の発表があったのですが、マーケットの予想通りに0.75ポイントの引き上げになりました。これで、日本の政策金利と金利差が開いたので、最大で145円90銭/1USDまで、円安ドル高が進行しました。今回の指標の動きは、予め難度が高い事が予想されていました。

それには理由があって、本日の金利発表に先立って、日銀が口先介入を試みるという一幕があったのです。口先介入というのは、為替レートに介入する事を中央銀行が匂わせて、何もしないで為替を調整する事を指します。特に、今回は、単に口頭で発表するだけでなく、レートチェックという、実際に為替介入する寸前の段階の作業まで行いました。レートチェックというのは、各民間銀行へ為替レートを日銀が問い合わせる手続きで、現在では儀式と化しているものです。何しろ、今は、モニターでリアルタイムに為替の動きが見れますからねぇ。わざわざ、そんな事をする必要は、まったく無いわけです。昔は、作業として意味がありましたが、今は、実用性は皆無の儀式と言って良い作業です。

では、なんで、そんな作業が残っているかと言うと、「日銀がレート・チェックをした」という事実が、市場参加者全員に対して、牽制に使えるからです。寸止めとは言え、為替介入直前まで手続きを進めたという事実が、過熱した円安にストップをかけます。実際に、その瞬間に145円を僅かに突破していた為替レートが1円以上も下がりました。現在、米ドルの金利引き上げに対して、金利を固定して金融緩和を継続しているのが、唯一日本だけなので、こうした虚仮威しでも、効果がテキメンなのです。金融の世界って、こういうポーカーゲームみたいな探り合いの世界でもあるのです。だから、ある時点の結果だけ見て、「上がるか下がるかだけの簡単なゲームでしょ」とか言っている人は、まったく実際の相場で勝負をした事が無い人だと、簡単に判ります。そんな、もんじゃないんですよ。

これによって、相場に、どういう条件が加わったかと言うと、「145円/1ドル近くに為替レートが近づくと、日銀が為替介入するかも知れない」という恐怖心をプレイヤーに与えました。つまり、政策金利だけを見て、単純にポジションを張れなくなったのです。これだけでも、難易度が上がったのですが、日本時間の午前3時にアメリカ政策金利の発表、午前3時半にパウエルFRB議長の会見、翌日の午前中に日銀から日本の政策金利の発表、午後3時半に黒田日銀総裁会見と、その瞬間に円単位で為替が変化しそうなイベントが、半日の間に4回もあるのです。

そして、昨晩の徹夜から、本日の夕方まで、チャートに張り付いていたのですが、まさに波乱万丈の展開でした。その4回のイベントで、いずれも1円~2円単位で為替レートが上下動し、恐らくかなりのプレイヤーが、混乱に巻き込まれて轢き潰されたと思われます。その約18時間に及ぶチャートの変化の中で、最高で145円90銭/1ドルまで円安が進んだのですが、その数時間後に、ついに日銀の為替介入で、140円69銭まで、5円以上も円高になっています。そして、今、記事を書いている現在で、142円20銭です。まさに、ロデオの暴れ馬に乗っているカウボーイの気分でしょうねぇ。プレイヤーは。怖い怖い。

このレートの乱高下は、日本が継続する金融緩和、対してアメリカが推し進めるインフレ対策、そして、先進国で唯一金融緩和政策を変えていないのが日本である事、そして、アメリカの政策金利の発表前に日銀が為替介入を匂わせた事など、そして、実際に介入した事など、様々な要因が絡んで起きています。ある程度、私も覚悟していたのですが、ここまで激しいものになるとは思いませんでした。なんだかんだ言って、世界市場において、日本の円というのは、かなり存在感があるんですねぇ。下手にポジションを持ったプレイヤーは、相当数が相場の贄として昇天しただろうなぁと思います。チャートを見てるだけでも、怖かったですもの。これが、あるから、チャートのモニターは止められない。最高にドキドキするエンタメです。FXから引退していてよかった!!』

政府・日銀、24年ぶり円買い介入 円一時140円台に上昇

政府・日銀、24年ぶり円買い介入 円一時140円台に上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA12A5H0S2A410C2000000/

『【この記事のポイント】
・輸入物価の高騰で家計の負担増につながる円安を阻止
・一時1ドル=145円台まで進んだ円安、介入後5円程度上昇した
・大規模な介入繰り返すのは難しく、効果は限定的との見方も

政府・日銀は22日、1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和を維持することを決め、利上げを進める米国との金融政策の違いから円安・ドル高に拍車がかかっていた。輸入物価の高騰で家計の負担増につながる円安を阻止する姿勢を示した。

円安の原因である日米の金利差はさらに広がるとみられる。円買い介入の効果が持続するかは見通せない状況にある。

鈴木俊一財務相は介入後の22日夜に財務省内で記者会見した。為替は原則として市場で決まるものだと前置きしつつ、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことができない」と理由を述べた。関係者によると介入規模は「兆円単位」という。

今回は他国と足並みをそろえる協調介入ではなく、日本の単独介入だった。米財務省の広報担当者は22日、日本経済新聞の取材に対して「米財務省は為替介入には参加していない。日本の当局は為替介入は最近の円のボラティリティー(変動)の高まりを抑えるのが目的だと述べており、我々は日本の行動を理解している」とコメントした。欧州中央銀行(ECB)の広報担当者は22日、取材に対し「為替市場で介入はしていない」とした。

会見に同席した神田真人財務官は判断の決め手は円相場の水準そのものではなく、値動きの荒さだと強調した。「あまりにもおかしなボラティリティーの場合はマーケットを正常化する営みが求められる」と述べた。

訪米中の岸田文雄首相は22日のニューヨークでの内外記者会見で為替介入に言及し、「過度な変動に対しては断固として必要な対応をとりたい」と強調した。

夕方の介入を受け、円相場は一時1ドル=140円台と、直前から5円程度上昇した。

米連邦準備理事会(FRB)は21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅な利上げを続ける方針を示した。日銀は22日まで開いた金融政策決定会合で金融緩和の維持を決めた。

今後も日米の金利差が開くとの見方から金利の高いドルを買う動きが強まり、22日正午ごろには一時1ドル=145円台まで円安が進んだ。午後1時30分過ぎには神田財務官が記者団に対し、為替介入の可能性について「スタンバイの状態と考えていい。いつでもやる用意がある」と語っていた。

3月初めまで1ドル=115円程度で安定していた円相場は同月の途中から円安に振れた。半年あまりで30円も円安に進んだことになる。

ロシアによるウクライナ侵攻で原油や天然ガスの国際価格が上がった。円安は輸入する資源や原材料の値上がりにつながり、日本の企業や家計を圧迫している。

ただ、介入の効果は限定的との見方がある。金利差を背景に円安・ドル高になりやすい構造は変わらない。円買い・ドル売り介入は手持ちのドルを売る必要があり、原資となる外貨準備の範囲内でしか実施できない。大規模な介入を繰り返すのは難しい。

不良債権問題などで日本経済が低迷していた1998年6月も1ドル=140円を超えて円安が進んだ。歯止めをかけようと日米で協調介入に踏み切った。円安に誘導する円売り・ドル買い介入は日本が単独で実施した11年11月が最後だった。米国の景気不安や欧州の信用不安などを背景に直前の10月末に1ドル=75円32銭の史上最高値をつけた。

【関連記事】

・財務相「投機的な動き見過ごせず」 24年ぶり円買い介入
・日銀は緩和維持・FRBは0.75%利上げ 金利差で円安加速

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Markets/Currencies/Japan-intervenes-in-forex-market-to-stem-yen-s-slide?n_cid=DSBNNAR 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
コメントメニュー

ひとこと解説

日本の通貨当局は言行一致を貫いた形である。日銀が異次元緩和続行を決めた前後の急激な相場変動に対して、G7・G20合意で認められている「スムージングオペ」、相場の過度の変動を落ち着かせる目的だという体裁で、今回為替介入に踏み切ったのだろう。だが本音では、大きな問題にもなっている円安ドル高に、そろそろ歯止めをかけたいはずである。介入は、タイミングと効率が重要。勝ちを収めたいのなら、円を売り持ちにしている海外などのプレーヤーを、損失確定の円買い戻しに追い込む必要がある。チャート上の節目は近いところでは142.40円、141.50円など。これらの水準に到達することで、介入の効果はより大きくなる。
2022年9月22日 17:51

尾河真樹のアバター
尾河真樹
ソニーフィナンシャルグループ執行役員兼金融市場調査部長
コメントメニュー

ひとこと解説

145円を超える円安は日本政府として容認できないというメッセージを市場に明確に示した点で、意味のある介入だ。したがって、当面ドル円の145円付近は重くなるのではないか。ただ、今の円安は日本の経常黒字の急速な減少や、諸外国の利上げに対し、日本だけが緩和維持姿勢であることが際立っていることなどが背景にあり、こうしたファンダメンタルズに変化がなければ、介入でドル円を「上昇トレンド」から「下落トレンド」へと向きを変えることは難しいとみている。今後米国経済が悪化し、インフレが抑制されれば自然とドル円は反落しよう。それまでの時間稼ぎという趣旨であれば、今後複数回の介入が必要になるかもしれない。
2022年9月22日 18:49

菅野幹雄のアバター
菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
コメントメニュー

分析・考察

焦るFRBの大幅利上げ、動けぬ日銀の現状維持で円安が進む展開は見えていたのですが、このまま何ら反応しない「ゼロ回答」では為替市場ににらみが利かず、日本の当局として「やってる感」を出さねばならなかったというところでしょう。円安による値上がりで国民の不満が蓄積するなか、岸田政権としても「円安無策」の批判は避けたいはずで、思惑が一致したということでしょうか。過度の為替変動には断固対処するという筋道は通したわけですが、構造的な円安要因は全く消えません。介入の足元をみてくる市場と日本政府の我慢比べが始まったということかと思います。
2022年9月22日 18:40

伊藤さゆりのアバター
伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
コメントメニュー

ひとこと解説

円安阻止のための利上げの可能性を否定した黒田総裁の会見終了後に円安傾向が加速、146円が目前に迫っていたが、足もとは142円台まで押し戻されている。
日本時間16時30分には、スイス中銀が0.75%の大幅利上げを決め、マイナス金利政策採用国が日本のみという構図になったことも、円安に拍車をかけた可能性がある。
今夜は日本時間20時にイングランド銀行の金融政策委員会が少なくとも0.5%の利上げと量的縮小の開始を公表する見込み。
「動かない日銀」がクローズアップされやすい環境で、介入がどこまで効果を発揮するのか見極めたい。
2022年9月22日 17:33』

ロシアに「奇襲」成功なぜ?

ロシアに「奇襲」成功なぜ? ウクライナ高官が語っていたこと
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/09/22/25528.html

『ロシアによる軍事侵攻への抵抗を続けるウクライナの戦いが大きな転換点を迎えました。
ウクライナ軍が東部ハルキウ州の大部分を奪還し、「大きな勝利」(ゼレンスキー大統領)を挙げたのです。

奇襲ともいえる攻撃。実は、1か月前の8月下旬にNHKの取材に応じたゼレンスキー大統領の側近は、この展開を示唆するかのようなことばを残していました。

「いまの戦いは、国境を完全に取り戻すため行われている」

9月に何が起きた?

ウクライナ軍の部隊がロシアと接する東部ハルキウ州で大規模な反転攻勢を行い、ロシア軍は10日、重要拠点イジュームからの撤退を表明しました。いったい何が起きたのか。

実はウクライナ軍は8月下旬から東部ではなく、まずヘルソン州など南部で領土奪還に向けた攻勢をかけていました。この攻勢にロシア軍は防戦を余儀なくされ、主力を南部に移動させていたとも伝えられていました。しかし、9月6日ごろからの5日間で、ウクライナ軍は東部で反撃を展開。劇的に解放していったのです。

いわば、ロシア軍を南部に集中させ、東部で「奇襲」をかけた形でした。アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、この5日間で解放した地域は3000平方キロメートル以上にのぼり、これは4月以降にロシア軍が奪った領土を上回る規模だとしていました。専門家や研究者の間でも驚きの声があがるウクライナ側の成果でした。

1か月前、ゼレンスキー大統領の“側近”は

彼は、こうした状況を見据えていたのではないか。そう思える発言をしていたのが、ウクライナのポドリャク大統領府顧問です。ふだんは大統領府長官に外交や内政に関する助言を行いますが、ゼレンスキー大統領にも直接助言することもある高官です。8月23日に首都キーウで行ったインタビューで、南部の動きについて興味深いことを語っていました。
ウクライナ ポドリャク大統領府顧問(右)

クリミアでの関与を示唆?

軍事侵攻が始まって半年となった8月。南部で注目される出来事が起きていました。ロシアが8年前に一方的に併合したクリミアのロシア軍施設などで、何者かによる爆発や攻撃が相次いだのです。

クリミアで発生した爆発(2022年8月9日)

この時期、ウクライナ軍は同じ南部ヘルソン州などで支配された地域の奪還を目指し反撃を続けていました。ポドリャク氏は、直接の関与について認めなかった一方で、こうも語っていました。

ポドリャク氏
「クリミアでこの2週間で起きたこと(ロシア軍施設での爆発や攻撃)は、クリミアで行う軍事作戦も、占領されたザポリージャ、ヘルソン、ルハンシク、ドネツク、ハルキウと同じものになることを示している。これらの地域とクリミアの間に違いはない」

「ロシアの社会にパニックをつくりだし、士気を下げる。これはうまくいっている」

ウクライナ軍の総司令官は、9月に入ってクリミアのロシア軍基地での爆発について、ウクライナ側による攻撃だと認めました。いま振り返ると、ポドリャク氏は、インタビューをした当時、ウクライナ軍は南部だけでなく東部の奪還を見据え、準備をしていると示唆していたのではないか、そう考えてしまうほどのその後の展開でした。
ウクライナ軍の戦い方は

また、ポドリャク氏はロシア軍との違いを強調し、ウクライナ軍の活動をこう語っていました。

「ウクライナはロシアのようには戦わない。ロシア軍は兵士の犠牲を顧みず、100メートルでも200メートルでも前進しようとするが、われわれはクリエイティブに戦う。最小限の犠牲で領土を奪還するため、ロシア軍のインフラを重点的に破壊している。弾薬、燃料庫、戦術的な指揮所、物流拠点をできるだけ多くねらっている」
国旗を掲げて走行するウクライナ軍の装甲車(ハルキウ州・2022年9月15日)
「国境」を完全に取り戻す戦いに

この時期は、南部でのウクライナ軍の攻勢に注目が集まっていたさなか、ポドリャク氏はこうも語っていました。

「侵攻が始まった当初、誰もがウクライナによる領土の割譲を話題にしていたが、半年で状況は大きく変わった。いまの戦いは、国際的に認識された国境を完全に取り戻すために行われている」

「国境を取り戻す」。ロシアと国境を接する東部ハルキウ州の大部分を奪還した今の状況を見ると、まさにポドリャク氏の発言どおりになったともいえます。
ウクライナが奪還した重要拠点イジューム(ハルキウ州・2022年9月14日)

「戦術的勝利」の積み重ねが必要

さらに、ロシアに打ち勝つために必要だとポドリャク氏が強調したのが、ウクライナが「戦術的勝利」を得ることでした。

「戦術的勝利とはロシアの戦術的な敗北の積み重ねを意味する。ロシアに占領された都市を含む一定の領土の解放であるべきで、また、前線のロシア軍が武器、弾薬、燃料に事欠くようになり、徐々に占領地から撤退していくか、その大多数がせん滅される。これが交渉プロセスの始まりのカギとなる」

奪還したイジュームに入ったゼレンスキー大統領(2022年9月14日)

これは「ヨーロッパの戦争」

そのために何が必要か。ポドリャク氏は、依然としてロシア軍は火力で優勢に立っていると認めた上で、長距離砲や高機動ロケット砲システム=ハイマースなど、供与を求める兵器を一つ一つあげた上で、欧米各国からの協力を呼びかけました。

「彼ら(欧米)に理解してもらいたいと思うことがある。この戦争を一刻も早く終わらせたいと思うならば、どれくらいの兵器が必要になるのか計算してみることが必要だ」
高機動ロケット砲システム「ハイマース」

「これはヨーロッパの戦争だ。ウクライナだけでなく、ヨーロッパ全体へ影響をもたらす。ロシアが勝てば、ロシアの支配が待っている。ヨーロッパに自国のルールを押しつけてくる。ヨーロッパの人々へのメッセージはとてもシンプルなものだ。いまはまだ家の暖房の温度を下げるだけでいいが(ドイツなどでロシア産の天然ガス不足対策として暖房の温度を下げる動きを指す)、いまロシアを止めなければ、それでは済まなくなる」
日本へのメッセージ

私たち日本に何を求めるのか。ポドリャク氏は、日本の立場に理解を示しながら、復興での役割に期待を示していました。

「日本が私たちウクライナ寄りの姿勢をとってきてくれたと理解している。日本の地政学上の位置を考えると非常に重要なことで、とても好ましいことだと考えている。 日本が兵器の供与が出来ないことも十分に理解している。日本がウクライナの戦後の財政再建などで主導的な役割を担ってくれると信じている」』

台風15号発生 あすにかけ太平洋側に接近

台風15号発生 あすにかけ太平洋側に接近 土砂災害などに警戒を
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220923/k10013832351000.html

『23日午前、高知県の南の海上で、台風15号が発生しました。台風は23日夜から24日にかけて西日本から東日本の太平洋側に接近する見込みです。東海や近畿、関東甲信を中心に大雨となるおそれがあり、土砂災害や低い土地の浸水などに警戒が必要です。

気象庁の観測によりますと、23日午前9時、高知県室戸岬の南およそ300キロの海上で熱帯低気圧が台風15号に変わりました。

中心の気圧は1000ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートルで中心の北側280キロ以内と南側185キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。

台風は1時間に20キロの速さで北へ進んでいて、23日夜から24日にかけて西日本から東日本の太平洋側にかなり接近したあと、25日の朝までに温帯低気圧に変わる見込みです。

東海や近畿、関東甲信を中心に25日にかけて、雷を伴って激しい雨が降り、局地的には1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。

24日朝までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで

▽近畿、東海で200ミリ、
▽関東甲信で120ミリと予想され、
さらに25日の朝までの24時間には
▽東海で100ミリから200ミリ、
▽関東甲信で100ミリから150ミリの雨が降る見込みです。

西日本と東日本の太平洋側では海上を中心に風が強まり、ところによって波が高くなる見込みです。

気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に警戒するとともに、強風や高波、落雷、竜巻などの突風に注意するよう呼びかけています。

3連休の期間中、海や山など屋外のレジャーには危険が伴うことがあるほか、交通機関に影響が出る可能性もあり、最新の気象情報を確認するようにしてください。』

プーチン演説、合理的判断の欠如が露呈

プーチン演説、合理的判断の欠如が露呈…現実から自分を分離、ロシア国民が離反
https://biz-journal.jp/2022/09/post_318850.html

 ※ 『 脅迫について、ルネサンス期のイタリアの政治思想家、マキアヴェッリは次のように戒めている。

「ある人物が、賢明で思慮に富む人物であることを実証する材料の一つは、たとえ言葉だけであっても他者を脅迫したり侮辱したりしないことであると言ってよい。なぜならこの二つの行為とも、相手に害を与えるのに何の役にも立たないからである。脅迫は、相手の要心を目覚めさせるだけだし、侮辱はこれまで以上の敵意をかき立たせるだけである。その結果、相手はそれまでは考えもしなかった強い執念をもって、あなたを破滅させようと決意するにちがいない」』…。

 ※ なるほど…。「脅迫」と「侮辱」は、マイナスの効果しかない…、ということだな。覚えておこう…。

 ※ 『こうした思考回路に陥るのは、この連載で以前指摘したようにプーチン氏がナルシシストだからである。ナルシシストが何よりも恐れるのは、自己愛が傷つくことだ。だから、せっかく占領したウクライナ東部の領土の広大な部分をウクライナ軍に奪還され、ロシア軍が東部での戦線の重要拠点からの撤退を余儀なくされたことは、プーチン氏にとって何よりも耐えがたかったはずだ。

 この傷ついた自己愛を修復すべく、兵力不足を補うために、予備役まで動員する決断をしたと考えられる。しかし、プーチン氏の決断が合理的かどうか、はなはだ疑問である。』…。

 ※ 『ナルシシストの独裁者にはとてもつきあっていられないというのが、逃げ出そうとするロシア人の本音ではないか。とくに「補正要素」が欠けた悪性のナルシシズムの持ち主は、「偉大さを維持するために、どんどん現実から自分を分離していく」(『悪について』)が、プーチン氏はその典型のように見える。』…。

 ※ 「プーチン、ナルシスト説」か…。

 ※ 「当たっている」ような、気もするな…。

『ロシアのプーチン大統領は9月21日、国民向けのテレビ演説を行い、ウクライナで戦闘を継続すべく部分的な動員令に署名したと明らかにした。これは、戦地に派遣するために、職業軍人だけでなく、有事に招集される、いわゆる予備役も部分的に動員する大統領令である。また、ウクライナ東部と南部の占領地域の親ロシア派武装勢力幹部らがロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施すると発表したことについて「決定を支持する」と述べた。

 驚くことに、この演説でプーチン氏は「欧米側は、核兵器でわれわれを脅迫している。ロシアの領土保全に対する脅威が生じた場合、国家と国民を守るために、あらゆる手段を行使する」と語り、核戦力の使用も辞さない構えを示した。おまけに、「これはブラフ(はったり)ではない」と付け加えた。

 プーチン氏がこの演説を行った背景には、ウクライナ軍が反転攻勢を強めており、東部でかなり広範囲の領土を奪還したことがあると考えられる。当然、プーチン氏は危機感を強めているはずだが、そんなことはおくびにも出さず、「一歩も引かない」という強い意志を示した。まあ、これまでプーチン氏は自ら引いたことが一度もないのだから、こういう反応をすることは予想の範囲内だった。

 しかも、「これはブラフ(はったり)ではない」と凄んだのは、欧米諸国も自身の演説に耳をそばだてることを想定したうえでのプーチン氏の脅迫にほかならない。一応スーツにネクタイ姿だったが、ヤクザ映画に出てくる○○組の組長がテーブルにドスを突き立てて脅しているような印象さえ受けた。

「こいつ堅気じゃないな」と思わせる迫力で、欧米の民主主義国には、これだけ凄んで見せられる首脳はいない。日本の首相では到底太刀打ちできないだろう。さすが元KGBで、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた独裁者だけのことはあると妙に感心した。
脅迫によって欧米諸国の要心を目覚めさせることになっても、どうでもいい

 脅迫について、ルネサンス期のイタリアの政治思想家、マキアヴェッリは次のように戒めている。

「ある人物が、賢明で思慮に富む人物であることを実証する材料の一つは、たとえ言葉だけであっても他者を脅迫したり侮辱したりしないことであると言ってよい。なぜならこの二つの行為とも、相手に害を与えるのに何の役にも立たないからである。脅迫は、相手の要心を目覚めさせるだけだし、侮辱はこれまで以上の敵意をかき立たせるだけである。その結果、相手はそれまでは考えもしなかった強い執念をもって、あなたを破滅させようと決意するにちがいない」

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2022/09/post_318850.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.』

『この戒めをプーチン氏が知っているかどうか、わからない。たとえ知っていたとしても、ウクライナさらには欧米諸国がこれまで以上に要心しようが、敵意を募らせようが、どうでもいいと思っているのではないか。プーチン氏は、とにかく自分が仕掛けた戦いに勝ち、強大なロシアを取り戻すことしか考えていないように見える。

 こうした思考回路に陥るのは、この連載で以前指摘したようにプーチン氏がナルシシストだからである。ナルシシストが何よりも恐れるのは、自己愛が傷つくことだ。だから、せっかく占領したウクライナ東部の領土の広大な部分をウクライナ軍に奪還され、ロシア軍が東部での戦線の重要拠点からの撤退を余儀なくされたことは、プーチン氏にとって何よりも耐えがたかったはずだ。

 この傷ついた自己愛を修復すべく、兵力不足を補うために、予備役まで動員する決断をしたと考えられる。しかし、プーチン氏の決断が合理的かどうか、はなはだ疑問である。プーチン氏が部分的な動員令に署名したとの発表を受け、ロシア発の航空便に予約が殺到し、週内の便はほぼ満席になっているという。

 おそらくロシアから逃げ出したい人が多いのだろう。そういう願望を抱くのは、この動員令の対象者だけではないはずだ。これから統制や締めつけがさらに厳しくなり、物資不足も深刻になると思えば、逃げるが勝ちと考えるのは当然だ。

 ナルシシストの独裁者にはとてもつきあっていられないというのが、逃げ出そうとするロシア人の本音ではないか。とくに「補正要素」が欠けた悪性のナルシシズムの持ち主は、「偉大さを維持するために、どんどん現実から自分を分離していく」(『悪について』)が、プーチン氏はその典型のように見える。

 当然、これからも客観性と合理的判断が欠如した決断を繰り返し、さらなるロシア国民の離反を招く可能性が高い。もっとも、プーチン氏は国民と側近を恐怖で支配しているので、表立ってプーチン氏を批判する動きはそれほど盛り上がらず、嫌気がさしたロシア人が国外に脱出するだけかもしれない。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

塩野七生『マキアヴェッリ語録』新潮文庫、1992年

エーリッヒ・フロム『悪について』渡会圭子訳、ちくま学芸文庫、2018年

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2022/09/post_318850_2.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.』

二階氏「媚中派とかいうけど中国と話できなくてどうすんだ」

二階氏「媚中派とかいうけど中国と話できなくてどうすんだ」日中関係50年支える“議員外交”
https://news.yahoo.co.jp/articles/4231726524a24639c001de3c9625d72f9ca57cfb

『来週、国交正常化50年を迎える日本と中国の関係を振り返る「日中50」です。両国関係に欠かせないものに“議員外交”がありますが、最近では「媚中派」という批判の声がついてまわります。

自民党 二階俊博 元幹事長

「中国との間に格別の関係があるんですよ」

中国との“議員外交”を牽引してきた自民党の二階元幹事長。

中国 習近平 国家主席

「中国は中日関係の発展を重視しています」

2015年、およそ3000人の大訪問団を率いて訪中します。党役員としては異例の習近平国家主席との面会を行い、安倍総理の親書を手渡しました。

自民党総務会長(当時) 二階俊博氏

「3000人の皆さんの前で(安倍総理の親書を)渡すのが一番良かろうと思って」

2012年の民主党政権による尖閣国有化と翌年の安倍総理の靖国神社参拝によって、“戦後最悪”と呼ばれるほど関係が悪化していた当時の両国。この時の訪中がその後の習主席の来日に繋がるなど、関係改善に大きく貢献したとされます。“議員外交”について、二階氏はこう語ります。

自民党 二階俊博氏

「政府の使いではないんですよね。ですから、そういう新たな立場で、(議員外交を)積極的にやっぱり、やっていくっていうことが大事でしょうね」

当時の田中総理と周恩来首相が北京で国交正常化に合意してから、29日で50年。歴史認識や天安門事件などで、日中は幾度も困難な時期を迎えましたが、小沢一郎氏や福田康夫氏らによる“議員外交”が関係改善の起爆剤になってきました。

しかし、中国の軍事拡大や新型コロナウイルスの発生で、“議員外交”は厳しい局面に立たされています。

さらに日中関係を重視する政治家への「媚中派」「朝貢外交」との批判がインターネット上などで強まっています。

自民党 二階俊博氏

「媚中派とか何とか言うけど、中国と話できなくてどうすんだと、言ってるお前は中国の誰と話できるんだと。中国のどの発言、どの態度が悪いって言うなら、一言抗議にいけるかって」

二階氏は近隣の大国である中国と本音で語り合える関係こそが重要なのだと強調します。

自民党 二階俊博氏

「50年って言ったら長い年月だけども、(日中の関係を)大きく捉えたら、短い期間とも言えるんですね。日本は中国なしに、やっぱり国際社会でやっていけないでしょう。中国との関係っていうのは深いでしょう。こういうことをやっぱり忘れたら駄目ですよね」

安倍政権時代に合意した習氏の来日は現在も宙に浮いた状態です。

次の50年の日中関係に、“議員外交”は何が出来るのか。政治家たちの底力が問われています。

TBSテレビ 』

兵士不足のロシア軍は「刑務所で囚人をスカウト」

兵士不足のロシア軍は「刑務所で囚人をスカウト」 戦場に送られた3000人は全滅の異常事態 この冬に敗れる可能性
https://news.yahoo.co.jp/articles/6d8f552071d3f6c7056d6a2eb5942a04c5705959?page=2

『残酷な結末

「ワグネルはプーチン政権に近い軍事会社として知られています。ロシアの独立系メディアは、同社が囚人に『6カ月間の兵役で、釈放と20万ルーブル(約47万円)の報酬』を約束したと報じました。BBCが入手した動画でも、ワグネルの最高幹部が『6カ月働けば自由になる』と囚人に呼びかけている姿が収められていたそうです」(同・記者)

 その背景として、まずはロシア軍がウクライナで甚大な戦死者を出していることが挙げられるようだ。

「ロシア軍は現在に至るまで、1000人単位の戦死者しか発表していません。一方、ウクライナ軍は、5月の時点で3万人の戦死者が出たとする分析を発表しました。また、アメリカの国防総省は8月、ロシア軍の戦死者は7~8万人と推計しています」(同・記者)

 兵員不足は深刻で、囚人を“勧誘”しているのではなく、実際は“強制”だという指摘もある。いずれにしても、彼らを待っていたのは、まさに残酷な現実だったようだ。

「ロシアに受刑者の支援団体があり、独立系メディアの取材に応じたのです。団体の分析によると、ワグネルと契約を結んだ囚人は約3000人。10日間から2週間の訓練で前線に送られたものの、ほぼ全員が戦死したと結論づけています」(同・記者)
傭兵との違い

 兵員不足の原因として、徴兵忌避の問題も大きいようだ。ロシアでは18歳から27歳の男性に1年間の兵役が課せられている。

「ウクライナ侵攻では、こうした兵士も『演習に参加する』というウソの命令で最前線に送られたと報道されています。戦場で塗炭(とたん)の苦しみを味わっているのは間違いなく、悲惨な状況は口コミでロシア国内にも伝わっているようです。ロイターは7月、『徴兵拒否の若者が相次いでいる』と報じ、徴兵を避けるため国外に脱出した若者のインタビュー記事を配信しました」(同・記者)

 ある軍事ジャーナリストは「ロシア軍の現状は、あまりにも我々の常識とは違うことばかりで、言葉を失ってしまうほどです」と言う。

「囚人の志願兵を傭兵のように受け止めている向きもあるようですが、傭兵と民間軍事会社では求められる役割が異なります。前者は、戦力不足に苦しむ正規軍が経験豊富な外国人兵士などを雇用し、実際に戦闘行為を行わせます。一方の民間軍事会社は、本来、最前線で戦うことはありません」

 傭兵は、戦場の経験が豊富であるが故に、訓練する必要がない。即戦力だからこそ“商品価値”を持つ。

 対して民間軍事会社の実情は、「強力に武装した警備会社」というイメージのほうが正確だという。補給部隊や駐屯地の警備が主な任務だ。』

韓国大統領、カメラに気付かず米国侮蔑発言

韓国大統領、カメラに気付かず米国侮蔑発言 米主催の会合で
https://news.yahoo.co.jp/articles/9562c66124e0e01d8e6cd75c61f47e943dc7fa42

『【AFP=時事】すでに史上最低の支持率を記録している韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル、Yoon Suk-yeol)大統領が21日、訪問先の米ニューヨークでジョー・バイデン(Joe Biden)大統領主催の国際会合に出席した際、米国を侮蔑する表現を用いて側近に話し掛ける瞬間を映像に捉えられ、非難を浴びている。

【動画】バイデン氏、FOX記者を侮辱 マイクONに気付かず

 尹氏は、感染症対策に取り組む基金への増資を検討する会合で米国が60億ドル(約8600億円)の出資を表明した後の記念撮影の時に「もし、こいつらが議会で可決しなかったら、バイデンの※※メンツは丸つぶれだな」と側近に韓国語で話し掛けている。

 この映像は韓国で一気に拡散された。ユーチューブ(YouTube)では投稿から数時間で再生が200万回を上回り、韓国語ツイッター(Twitter)上では「こいつら」がトレンド1位になった。

 尹氏の発言は、バイデン氏が約束した資金拠出には米議会の承認が必要な点を指摘したものとみられるが、ユーチューブのコメント欄には、「大統領の言動は韓国の威厳に関わる」との投稿があった。

 5月に大統領に就任したばかりの尹氏だが、すでに評論家の言うところの「無理解」ぶりを連発し、支持率は一時24%まで下落した。その後32%まで持ち直したものの、記録的な低迷が続いている。

 数日前には、エリザベス英女王(Queen Elizabeth II)の国葬参列のため訪英した際、女王のひつぎが公開安置されていた国会議事堂のウェストミンスターホール(Westminster Hall)を弔問に訪れず、その理由を「交通渋滞のため」と釈明する羽目に陥ったばかりだった。【翻訳編集】 AFPBB News』

中国で囁かれる、常軌を逸したゼロコロナ政策が終わらない本当の理由

中国で囁かれる、常軌を逸したゼロコロナ政策が終わらない本当の理由
ゼロコロナは「インビジブル文革」?党大会に向けた事実上の戒厳令か
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71936

 ※ あまりに、「ありそうな話し」だ…。

『(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国の貴州省三都県で、ゼロコロナ政策のために隔離施設に移送される市民47人を乗せた「防疫バス」が深夜谷底に転落、27人が死亡し20人が負傷する大事故が起きた。ネット上では、この事故に人災だと怒りをぶつける声であふれた。

 なぜこのような事故が起きたかと言うと、現在中国では全国各地で部分的ロックダウンと「静態管理」と呼ばれるゼロコロナ政策が展開されており、それに伴う市民の強制隔離が夜中に闇に紛れて行われるケースが多いからだ。

 運転手も乗員も白いガサガサした動きにくい防護服を着せられて、何時間もバスを走らせて、遠方の山奥に陽性者や感染の可能性がある市民を隔離する。運転手は息苦しくて視野の狭い防護服を着たまま、街灯もない山道を猛スピードで運転するし、乗客の市民も防護服で息苦しい。バスは満員で子供も老人も妊婦もいるわけだし、どこに連れていかれるかわからないから、車内は不安と怒りで怒号や悲鳴があふれる。運転手も焦るだろうし、事故は起こるべくして起きたといえる。

 ネットでこの隔離バス(事故を起こしていない車両)の中の様子の動画が流れているが、市民が「バスから降ろせ」とものすごい剣幕で騒いでいる。市民が悪いのではない。いきなり夜中に強制隔離され、トイレ休憩もなく、何時間もバスでどこか知らないところに連れていかれようとすれば、私でも騒ぐだろう。

 事故を起こしたバスは、貴陽市から黔南州茘波県の隔離ホテルに向かうため、9月18日午前零時に出発した。事故は午前2時40分ごろだという。貴陽から東南へ約170キロの地点で、山中の高速道路から谷に転がり落ちたそうだ。20人が病院に搬送されて治療を受けているという。おそらくすぐには救助も来なかっただろう。

 ちなみに隔離された市民は陽性者ではない。地域に1人、濃厚接触者が出た、ということでコミュニティの住民全員の隔離措置をとったのだ。貴陽の人間をわざわざ黔南州まで連れて行くのは、おそらく強制収容者が多すぎて貴陽の施設がいっぱいだったからか。』
『だが、貴州省の感染者はいったい何人なのか。9月20日現在で350人だ。1日の新規感染者は41人で、死者は2人。ほとんどが無症状。ちなみに、中国全体では、感染者は98.3万人で死者は5226人である。

新疆、チベットでの新たな民族弾圧

 もっと悲劇的なのは新疆やチベットのゼロコロナ政策だ。

 新疆ウイグル自治区のイリでは、すでにロックダウン50日目を過ぎている。住民は自宅から外に出ることができない。そして、他の漢族の都市と違い、日ごろからウイグル人市民に対して厳しい弾圧を加えている当局は、自宅に閉じ込められた市民たちに十分なケアをしていない。食糧や医薬品をほとんど支給しない地域もある。このため少なからぬ市民が餓死しているようだ。あるいは餓えの苦しさ、辛さに耐えられず自殺する人もいるという。

 イリでは7月末からロックダウンが開始された。9月上旬に漏れ伝わってくる動画やSNSの声を総合すると、すでに数十人の餓死者がでているようだ。また数百人が病院で医療が受けられないために死亡したという。

 もちろん、この数字の裏は取れていない。だが公式には、新疆で確認された新たな感染者はこの1週間で1人。感染者合計は9月20日時点で1168人で、死者は3人だ。イリ市民のSNS投稿の中には、食べる者がないから庭の木の葉でスープを作っているといった話もある。1歳5カ月のわが子が病気になっても病院に行かせてもらえず亡くなったという話も投稿されていた。』

『新疆ではウイグル人の強制収容問題や弾圧が国際社会でも問題視されたが、このイリの今の状況は、新型コロナ防疫の名を借りた新たな民族弾圧ではないか、と疑われるくらいひどい。

 この仕打ちは、イリは人口の半分がウイグル人とカザフ人が占める北部都市で、第2次東トルキスタン共和国の拠点の1つであり、中国政府がトルキスタン独立勢力の動きを最も警戒する地域だからではないか。

 チベット自治区のラサも1カ月以上ロックダウンが続く。ラサの人口は90万人で7割がチベット人。連日、多くのチベット市民が深夜の闇に紛れてバスに詰め込まれて隔離施設に送りこまれている。

 チベット人女性が微博でこう訴える。PCR検査では陰性だったが、集中隔離施設に連行されることになった。未完成のコンクリート打ち放しの部屋に男友達ら4人が一緒に収容され、トイレも使えない。食べ物もトイレットペーパーも生理用品もない。惨状を訴えると、管理当局者が彼女を殴った。その傷をSNSでアップすると、当局者から削除命令がきた。だが、彼女は削除を拒否したという。

 今年(2022年)は上海、西安、成都、重慶などの一級、二級の大都市でも厳しいゼロコロナ政策の洗礼を受けているが、これら都市では、抗議活動や時に官民衝突に発展するようなデモが頻発していると聞く。だが少数民族地域で漢族と同様の抗議活動をすれば、テロとして弾圧される可能性もあり、抗議の声は上げにくい状態だと推察される。』

『長老たちを軟禁状態にするため?

 しかし、中国はどうしていまだにゼロコロナ政策から抜け出せないのだろう。世界的にみても中国の感染拡大はけっして深刻というほどではない。ましてやオミクロン株の重症化率は比較的低いのではないか。コロナで死ぬのではなくコロナ政策で殺される。苛政(かせい=民衆を苦しめる政治)は虎より猛し、いやコロナより猛し、だ。

 今ここに、チャイナウォッチャーの間に出回っている党内部筋からの「リーク」というのがある。私はこの手の「リーク」の信頼性は3割以下だと思っているので無視しようかと思ったが、友人のニューヨーク在住の華人評論家の陳破空も、このリークを受け取ったそうで、紹介していたので、ここでちょっと引用する。

 そのリークによれば、ゼロコロナ政策の目的は防疫ではなく、党大会前に習近平が政敵、特に力のある長老たちに、会議に出たり発言したりできないように自宅に足止めさせるため、いわゆる軟禁状態にするためだ、というのだ。

 その「リーク」は、ゼロコロナ政策に関する方針についての共産党内の内部通達と、リーク者である党内人士の反応からなる。およそ9項目ある。その概要を列挙してみよう。

(1)目的は防疫を口実に政治老人(長老、引退指導者)約50人を軟禁すること。外出、会議、集会への出席を阻止する。

(2)感染状況がなくても感染状況を作り出せ。PCR検査を継続し、別動隊によって感染を拡大せよ。

『(3)言論を封鎖せよ。感染状況は深刻でない、ウイルスは大して怖くないなどの言論、WHOのテドロス事務局長の「コロナ感染拡大が間もなく終息する」といった発言なども抑え込め。

(4)西安、上海、重慶、成都、貴陽、ウルムチ、ラサなどでは、感染状況を作り出し、ゼロコロナ政策、ロックダウンを徹底せよ。

(5)党大会で習近平が連任したのち、ゼロコロナ政策の大勝利を宣言する。そこでゼロコロナ政策を終わらせ、人心を買い、習近平の英明のおかげだと、党に感謝させよ。

(6)ゼロコロナ終結の期日は最も早くて10月20日、最も遅くて来年3月の全人代後。

(7)北戴河会議では、政治老人たちをコロナから守る名目で参加せさない。

(8)李克強は、ゼロコロナに対し怒り心頭だが、内部会議の守秘義務の原則によって、対外的には発言していない。

(9)党内では、党と国家が最も危険な時期を迎えているとびくびくしている。どのように党と国家を救えばよいか分からない。』

『105歳の大長老が異例の改革開放アピール

 裏も取れていない話で、鵜呑みにできるものではないが、多くの市民が、今中国が直面しているゼロコロナ政策の本当の目的は、防疫や人民の健康を守るためのものではなく、経済の悪化や社会の不安定化に対して不満をもつ人民が党大会前に騒ぎ出さないようにコントロールする口実ではないか、と疑っているのも確かだ。

 なので、感染状況をわざと作り出し、全国的に人の動きを管理し、ラサやイリなど要注意地域では長期のロックダウンを実施し、党内の反習近平派や長老たちの動きも、コロナ感染予防のため、といって会議や集会への欠席を促して、その発言を封じ込めようとしている、というのは妙に納得のいく話なのだ。

 老い先短い長老は怖いもの知らずで、習近平に対して面と向かって苦言する。江沢民、曽慶紅、朱鎔基、胡錦涛、温家宝はじめ長老のほとんどが、今の習近平の反鄧小平路線・毛沢東回帰路線に反対だ。

 105歳の大長老で、習近平を総書記に推した1人であり、歴代の総書記選びで強い発言権を持ってきた共産党のキングメーカーこと宋平(元政治局常務委員)が9月12日、珍しく公の場にオンラインで出席し、「改革開放は中国の発展に必要な道だ」と強く訴えた。ネット上に流れたこの短い動画はすぐに削除されたという。

 会議は江蘇省の奨学金の基金会の10周年記念のイベントだったが、そんな地方のイベントに宋平が105歳の高齢にかかわらずビデオ出演し、改革開放を訴えること自体が異様な印象を与えた。

 もし、このリークが本物なら、コロナのせいで発言の機会を奪われている長老たちの不満を代弁する形で、105歳のキングメーカーが高齢をおして出てきたということだ。

 陳破空は、この徹底したゼロコロナ政策は、習近平の穏形文革、あるいは穏形政変、つまり目に見えない「インビジブル」な文革、あるいは政変ではないか、という。政変というと、習近平から権力の座を奪おうとする軍のクーデターや反習近平派官僚による宮廷内クーデターをイメージするが、本来、鄧小平の打ち立てた集団指導体制と任期を2期に制限した平和的な権力禅譲システムを破壊して、独裁的権力を打ち立てようとする習近平の方が政変を起こそうとしているのだ、という見方だ。

 では、この政変が成功し、習近平が個人独裁体制を打ち立てた時、今度はビジブルな、目に見える文革が発動するのだろうか。中国が直面しつつあるこの政治的危機をどうやって回避することができるのか、私も想像がつかない。』

途上国から見ればウィンウィンではなかった一帯一路、軌道修正が始まった

途上国から見ればウィンウィンではなかった一帯一路、軌道修正が始まった
多くは中国による「無用の長物」の押しつけ、巨大債務に喘ぐ途上国
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69646

『(塚田 俊三:立命館アジア太平洋大学客員教授)

 ソビエト連邦時代、KGBの一幹部*1であったプーチンは、その後、国民的人気を誇るロシアの大統領となった。そのプーチンは現在、彼自身の最後の野望を実現すべく、ウクライナ侵攻という途轍もない実験を開始した。陸海空からの、容赦ない、無差別な軍事攻撃は国際社会から轟々たる非難を招き、プーチンは今や国際社会から完全に孤立してしまった。

 これが東洋の、権力闘争に熟達した指導者であれば、同じ夢を追うにしても、もっと巧みにことを進めていたであろう。それは、数千年前の昔からその国で採られてきた兵法に従い、深く、静かに潜行し、時が来れば立ち上がるとする戦法だ。

 これはプーチンが採ってきたような荒々しく、むき出しの攻撃とは対照的に、相手国を必要以上に警戒させることなく、しかもより深く侵入することを可能とする“トロイの木馬”方式である。

 そして、この東洋の指導者は、すでにシルクロードからの風を受けて、自らの夢の実現に挑み始めている。ただ、その全貌は、ときに別の衣をまとっていることもあり、外からは見え難いが、開始から数年を経過した今、その真の姿が明らかになりつつある。そこで本稿では、この問題を取り上げ、必要な分析を試みたい。

*1 Lieutenant colonel. Lieutenant colonel は米国等ではthree star officer であるが、ロシアではtwo star officer

欧米諸国による一帯一路への対抗策の策定
 言うまでもなく、ここに言う夢とは、習近平国家主席が手掛ける一帯一路構想であるが、欧米諸国は、同構想の途上国への急速な浸透を懸念して昨年相次いで一帯一路に対する対抗策を打ち出した。その先駆けとなったのは、米国の「Build-Back-Better World」構想で、バイデン大統領は、昨年6月12日、G7の場でこの構想を発表した。次いで、英国は11月1日に「Clean Green Initiative」を、そしてEUは12月1日に「Global Gateway」を発表した。

 これらの対抗策は、表現にこそ多少の違いはあれ、その狙いとするところは皆同じで、(i)普遍的価値の追求と(ii)高品質で透明なインフラの整備を挙げている。バイデン大統領は、これらのイニシアティブは、G7諸国が、強調して策定したものであるとして、その意義を強調した。』

『一帯一路は、それが実施に移されてからすでに十年に近い年月を経ているが、ここに来て、G7諸国がこぞって対抗策を打ち出すこととしたのは何故だろうか。

 これを打ち出したのが、米中対立の最中にある米国だけであれば何ら驚くに足らないが、これまで一帯一路に深く係わってきたEUまでもが(EUはその加盟国の3分の2がすでに一帯一路の正式パートナーとなっている)一体となって同様の対抗策を打ち出すこととした背景には、何か共通の認識があったからなのであろうか。

 本稿においては、この問いに答えるべく、これまでの一帯一路の展開の経緯、その特殊性、さらには、その問題性を分析し、一帯一路の隠された狙いを明らかにしたい。

一帯一路までの経緯
 一帯一路が発表されたのは、今から約10年前、すなわち2013年であるが、それは全く新しい施策としてというよりは、2001年来進められてきた対外展開政策の延長線上に策定されたものであり、これに明確なフレームワークを付し、新たなブランド名を付けて、打ち出されたものにすぎない。

 ただ、それは習近平主席の肝入りで打ち出されたことから、それまでの中国企業の海外進出施策とは次元を異にし、国家戦略上より高次のプログラムとして位置付けられた(2017年に開催された第19回共産党大会において一帯一路は党の最高令である党規約に盛り込まれた)。

 そこで中国の海外展開政策の変遷を少しさかのぼってみてみると、1990年代までは、同政策は基本的には、国内志向型であり、外国資本の国内誘致が中心であった。

 これが、2001年のWTO加盟後は、一転して中国企業が海外市場に出、外貨を稼ぐことを奨励する「走出去」に変わった。それは、今まで厳しく制限されていた中国の国営企業にその海外進出を認めるものであり、その意味で画期的な決断であった。

 さらに2008年の世界金融危機後は「走進去」の下、政府は中国企業の海外市場への進出を積極的に推奨し、中国国営企業は海外市場で大いに稼ぐべきとされた。

 次いで、2012年には、中国企業は(特に規模の大きい国営企業は)、世界のトップを目指すべしとする「走上去」が打ち出され、企業の海外進出に一段と拍車がかかった。

 このように中国の国営企業の海外進出政策は、段階的に強化され、ついには「海外事業をこれら国営企業の中心的な収益事業とすべし」とするところにまで進んだ*2 。

 あえて言うならば、長らく厳しい国家統制のもとにあった国営企業が、ワイルド・ウエストに解き放たれ、西部の荒野で荒稼ぎして良しとする政府のお墨付きを得たに等しく、国営企業は、海外市場では、稼げるところでは派手に稼ぐとするカウボーイ・ビジネスを身につけていったと言えよう。

*2 李立栄(2021), “中国金融の海外展開の新局面”、世界経済評論、3・4月号』

『一帯一路、その特殊性

 上記でみた通り、国営企業が海外で手掛けるインフラ事業は、中国政府の周到な指導の下に進められてきたことから、ともすれば、それは、中国の経済協力の一端をなすと解されがちであるが、それは、以下にみる通り、OECD諸国が進める通常の経済協力とは大きく異なる。

 通常の経済協力であれば、支援対象プロジェクトは両国の援助機関同士の協議を通じて決められるが、一帯一路下の場合、プロジェクトの発掘は、中国の国営企業が自ら行い、当該企業がこれを途上国側に提案し、その合意が得られれば、実施するとする企業主体の経済活動である。

 国営企業の海外事業は、中国では“対外経済合作”と呼ばれているが、それは途上国に対する経済協力事業というよりは、むしろ、外国政府あるいは国際機関からの支払いを受けて行う商業的請負事業である。この点は、中国の統計上も国営企業に拠る海外事業は、“対外支援”とは分類されず、“対外経済合作”として分類されていることからも分かる。

 このように国営企業が海外で行うインフラ開発事業は、あくまでも採算ベースの請負事業であるので、途上国側からの支払いがなければ着手されない。他方、途上国は、通常インフラ工事に必要とされるような多額の資金は持ち合わせていないので、(それが如何に魅力ある提案であっても)発注には出しえない。この点は、国営企業も十分に承知しており、「資金が必要であれば、アレンジしましょう」と申し出、そこで途上国側が「頼む」と言えば、当該国営企業は、すぐさま現地大使館(経済商務処)と連絡を取り、商務部を通じ、中国の国有銀行に話が繋がれ、融資が実現することとなる。

 言い換えれば、一帯一路は、国営企業と国有銀行とが、二人三脚となって進める中国特有の海外インフラ・ビジネスであるといえよう。』

『一帯一路が内包する問題点

 このように、一帯一路下で進められるインフラ開発は、途上国における企業主体の商業的活動であるので、どうしても儲け主義に走りがちであり、このため、現地で種々の問題を引き起こすことになる。その主な問題点を列記すると以下の通りである。

【高コスト】:一般に中国企業が提案するプロジェクトは低コストであると解されているが、実は逆で、高コストのプロジェクトが多い。

 例えばケニアの鉄道プロジェクトは、通常価格よりも3倍も高いといわれており、モルディブの首都マリに建設された病院は、通常価格の2.6倍であったといわれている。これ程大幅な価格アップではないとしても、3~4割高めのプロジェクトはざらにある。例えば、マレーシアの東海岸鉄道プロジェクトは、いったんは前政権の下で調印されたものの、新しく選ばれたマハティール首相は、プロジェクト・コストが高すぎるとし、再交渉に持ち込み、当初の見積価格を3割3分引き下げることに成功した。パキスタンでも、政府はML-1鉄道のコスト見積もりは高すぎるとして、再交渉に持ち込み、当初見積価格を2割6分引き下げた。

 どうして、一帯一路の下では高めのコスト設定が可能なのかというと、それは中国からのローンはタイド(ひも付き)であり、また通常の経済協力案件のように国際競争入札に掛ける必要がないので、中国企業は他社の応札価格を気にすることなく、必要と見込まれる費用はすべて盛り込んで請負価格を設定することができるからである。

 さらに、施工段階に入ってからも、請負企業は、正当な理由がありさえすれば、当初の契約価格の更改を求めることができ、このような形でのコストアップも珍しくない。

【中国基準の押し付け】:中国の国営企業が一帯一路の下で受注する請負契約は、一種の「Turn-key契約」(設計から建設及び試運転までの全業務を単一のコントラクターが一括して請け負い、キーを回しさえすれば稼働できる状態で発注者に引き渡す契約)、あるいは「Engineering, Procurement, and Construction契約」(設計エンジニアリング、調達、建設を一括して請負う契約)である。その下ではコントラクターは、基本設計から詳細設計、建設、引き渡しに至るまですべて自分でコントロールできるので、請負企業は、自国で慣れ親しんだやり方で工事を進め、自国で製造される資機材をそのまま現地に持ち込んで、迅速に建設できるように詳細設計を書き上げることができる。

 これが通常の経済協力案件であれば、先ずコンサルタントが選定され、そこが基本設計、予備設計等を実施し、プロジェクトの詳細が決まると、建設業者・コントラクターが別途雇用され、コンサルタントが先に準備した予備設計に基づき、工事を実施するとする二段階方式が採られる。だが一帯一路の下では、中国の国営企業がこの両方の段階を一括して引き受け、プロジェクトの発掘から設計、建設、引き渡しまで一気通貫で行うので、自由度が高い。このため、プロジェクトの迅速なデリバリーは可能となるが、工事の施工は、事業者寄りの、効率一点張りのものとなり、途上国側の希望は反映されないものになりがちである。

 実際、一帯一路下でのプロジェクトは、そのほとんどすべてが中国の基準に従って設計されており、そこで使われる資機材もほとんど中国製である。

 例えば、インドネシアのバンドン・ジャカルタ間の高速鉄道プロジェクトでは、高速鉄道車両は勿論、通信システムからレールに至るまで、すべて中国で製造され、それがインドネシアに運ばれ、現地で組み立てられる形を取った。調達価格も比較的自由に設定できるので、そこに、不透明な費用(tea moneyやpalm greasing)も潜り込ませることもでき、それが後々プロジェクトの“円滑な実施”に役立つことがある。』

『利益を生まず巨額の維持費を垂れ流し続ける「ホワイト・エレファント」
【ホワイト・エレファント】:先に述べた通り、国営企業は政府が掲げる「走進去」、「走先去」の下、海外事業の拡大に走ろうとするが、これに熱心なあまり、途上国の債務負担能力とは無関係に出来るだけ大きなプロジェクトを作り上げ、これを途上国に提示し、自己の売り上げを増やそうとすることが多い。

 例えば、ラオスのような低所得国に対し、急峻な山岳地帯を突き抜ける高規格の高速鉄道をつくることは(その総延長の6割はトンネルか橋梁にせざるを得ず、途轍もないコストが掛かることは目に見えている)、自己のエンジニアリング能力の高さを誇示するだけの提案であり、ラオスの経済規模からみて(このプロジェクトの総コストはラオスのGDPの4割に達する)、到底正当化されうるものではない。

 プロジェクトが完成すればするで、巨額の維持運営費がかかるので、とんでもないホワイト・エレファント(無用の長物)を背負わされてしまうことになる。

昨年12月に開通した中国・昆明とラオスのビエンチャンを結ぶ高速鉄道。このような急峻な地形を走る高速鉄道の建設には現在のラオスの国力に見合わない莫大な費用がかかった(写真:新華社/アフロ)
ギャラリーページへ
【高い借入コスト】:これらの肥大化されたプロジェクトの費用を(当初の提示価格のみならず、正当な理由によるコストアップ部分も含めて)負担させられるのは(中国の国営企業ではなく)工事の発注元である途上国である。

 もちろん途上国側もこのような多額の費用を負担させられることは望まず、契約書にサインすることには躊躇するが、もしもそこに(通常は確保が難しい)必要資金をすぐさま貸してくれる銀行があり、また借入金の返済が始まるのも数年先のこととなるのであれば(長期資金の借入には通常5年程度のgrace periodが付く)、ついついこの銀行からお金を借りてしまう。

 これら資金の貸し手が、世銀、ADB等であれば、問題はさして大きくないが(世銀、ADBの貸付金利は1%程度。そもそも世銀、ADBがこのような返済の見込みのないプロジェクトにお金を貸してくれる訳はないが)、それが中国の国有銀行の場合は、その貸付金利は高く(譲渡性の高い融資を行うとされる中国輸出入銀行ですら2%台、ましてや、その4倍程度の融資実績を誇る中国開発銀行から借り入れた場合は6%台)、後々多額の返済義務を抱えることになる。』

『途上国側も蓋をし続けたい不透明契約
【不透明な契約条項】:中国との契約は、多くの秘密条項を含んでいる。例えば、途上国がデフォルトを起した場合、債務の肩代わりに天然資源の掘削権あるいは不動産開発権を中国企業に譲渡しなければならない、とする条項が含まれていることは稀ではない。

資源の採掘権を外国に明け渡してしまうことには国民の反対が強く、その反対を受けて政府は中国と解約交渉に入らざるを得なくなることが多いが、いざ解約しようとすると、その際に課されるペナルティーの額が非常に高く設定されていたことが分かり、結局は契約解除を諦めざるを得なくなるのだ。

 解約とまではいかなくとも、契約の内容が不当であるとして、投資紛争に持ち込むことはできるが、いざ投資紛争に持ち込もうとすると、今度は「仲裁は中国国内で、しかも中国の手続きに従って行わなければならない」とする契約条項が効いてきて、結局は勝ち目はないことが分かり、諦めてしまうことになるのだ。

 一帯一路下のプロジェクトにはこのような一方的な内容の契約条項が数多く含まれており、その契約は原則外部秘となっている。

 実はこれらの契約を外部秘とすることを望むのは、むしろ途上国側という皮肉な実態もそこにはある。これらの秘密条項が明らかになれば、真っ先に批判されるのはこのような契約にサインした当の政権であるからだ。

【地域社会との軋轢】:一帯一路に係る問題は、このような経済的問題に留まらず、社会的な問題にも及ぶ。プロジェクトが始まれば、多くの雇用機会が生まれると現地から期待されることが多いが、対外経済合作には、対外労務提供も含まれており、現地が期待するほどの雇用を生まないだけではなく、逆に中国から労働者が大挙して入ってくることになる(最近のプロジェクトでは、現地の労働者を使うものが増えてきてはいるが)。

 これらの労働者はプロジェクト終了後も(現地での婚約等を通じ)そのまま居着くことがあり、その多くが、現地で小売業を始め、現地の小売業界に少なからぬ影響を与えることがある。

 例えば、太平洋諸島の一国であるマーシャル諸島では、小売業の6割が、中国人一世または二世によって運営されていると言われている。一帯一路は、時の政権からは歓迎されるが、一般庶民からは強く反発される所以である。』

『以上、一帯一路が途上国でどのような問題を起こしているかを、典型的な事例に即してみてきたが、中国側は、一貫して、一帯一路は中国と途上国の双方にウィンウィンをもたらすとして、その意義を強調してきたが、実際上は、それは、(i)中国の国営企業にとっては請負事業増大の機会を*3、(ii)資機材のサプライヤーにとってはその資機材の輸出増の機会を 、(iii)国有銀行にとっては貸出増の機会を付与し、中国側には二重、三重の利益をもたらすものとなる一方、途上国にとっては益するところが少ない。そこでの「ウィン」は全て中国に帰属すると言って過言ではない。

 他方、途上国にとっては、「自力では作れないインフラを中国の支援のお陰で手に入れることができるのだから、それは途上国にとってもウィンではないか」とする反論がありうるが、もしも、当該インフラの規模が適切で、途上国が自力で維持管理できるものであればそうとも言えよう。だが、その施設が過大で、必要以上に立派なものであれば、当該施設は、完成後、収益どころか、累積赤字を生むだけのものとなり、それは途上国にとってはルーズ(lose、負け)でしかない。加えて、後々巨額の返済義務が残るのであれば、それはウィンウィンどころの話ではなく、途上国にとってはまさにルーズ・ルーズとなる。

 そしてたいがいの場合は、そのようになっている。

*3 当初から予想されている資機材の購入金額は、すでに請負契約の金額に含まれているため、この分は差し引いて考える必要があるが、施工期間中に発生するコストオーバーランに係る部分は貿易額の純増となる。

ついに軌道修正が
 一帯一路は、2013年に導入されて以来、急速に広まっていったが、実はその投資額は2016年をピークに、2017年から減少に転じている。これは一つには一帯一路の当初の目的であった「国内の余剰生産力のはけ口」としての役割が一巡したことにもよるが、それだけではなく、上記でのべたような問題点が徐々に噴出し始め、受入国側で一帯一路に対する警戒感が高まってきたことにもよる。

 このような問題事案の存在は、現地の状況に日々接する大使館・外務部においては既に認識されていたところであるが、これら外務部の認識・懸念は、政府部内で圧倒的な力を有する(一帯一路の主務官庁である)商務部の前にはかき消され、政府全体の意見とはならなかった。

 しかし、このような現地での問題は、党中枢の耳にも入り始め、一帯一路の進め方について見直しが行われ、党幹部が主宰する一帯一路建設工作指導小組からの指示もあり、2018年4月に、これまで商務部中心に進められてきた一帯一路の推進体制は大幅に改革され、国務院に新しく「国家国際発展協力署」が設置されることになった。同協力署には、それまで商務部内に置かれていた対外投資経済協力司が移管され、その運営は国家発展改革委員会が主導し、商務部、外務部がこれに参加する形となり、政府部内で外務部の声がより強く反映されるようになったのだった。』

『党本部から発せられる指導方針にも変化がみられた。2018年8月に開催された“一帯一路建設工作5周年座談会”において習近平主席は「一帯一路を質の高い発展の方向に変化させる必要性」があると述べ、さらに、2019年4月に開催された第2回「一帯一路国際協力ハイレベルフォーラム」においては、同主席は「国際スタンダード」を尊重することの重要性に言及するとともに、「一帯一路上のプロジェクトは、商業財政上の持続可能性を確保」したものとすべしであると述べた。これを受け、一帯一路案件に対する政府の審査は各段に強化され、その選定はより厳格なものとなった。

 同時に、投資先の分野も、従来からのハードウエア中心から、情報通信技術を始めとするソフトウエアも含めた、より広範なものへと変わっていった。また、情報通信関連技術は民間企業が多くを有することから、一帯一路への民間企業の参入も促された。さらに、一帯一路の支援対象は面的な広がりもみせ、“境外経済貿易合作区”の設置やスマートシティーの建設が打ち出された。これらの面的支援の拡充は、一時的な建設労働者に限らず、より幅の広い分野の要員の海外移転を促すことになり、それは現地での人的ネットワークの強化に繋がり、後々別の機能を果たすことになる。

裏に隠された地政学的な意図
 冒頭、欧米諸国が昨年相次いで一帯一路に対する対抗策を打ち出すこととしたのは、何故なのか、という問いを投げかけたが、もしも、中国政府が、一帯一路の問題点を認識し、これら問題を解決すべく、必要な改革に着手したのであれば、今暫くその推移を見守るべきで、今の段階であえて対決姿勢を打ち出す必要はなかったのではなかろうかとの見方もある。

 にもかかわらず、欧米諸国が、あえて、この段階で、強硬な姿勢を採ることとしたのは、何といっても、一帯一路が途上国で引き起こしている問題が欧米諸国の基本的価値観に抵触し、これ以上看過しえないとみたからであると思われる。

 だが、それだけでは、欧米諸国は、これ程強硬な措置を取らなかったと考えられるが、あえてかかる措置を、しかも、G7諸国が一体となって取ることとしたのは、一帯一路の裏に隠されてた中国の地政学的な意図を見て取ったからであると推測される。

 次回(明日掲載予定)は、この点を掘り下げてみてゆくこととする。

*【後編】はこちら
一帯一路下で整備された途上国の港湾施設は「中国軍事基地」の隠れ蓑
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69647

もっと知りたい!続けてお読みください

一帯一路下で整備された途上国の港湾施設は「中国軍事基地」の隠れ蓑
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69647 』

一帯一路に邁進の中国、アフリカ17カ国に提示した「債務免除」の狙いは何か

一帯一路に邁進の中国、アフリカ17カ国に提示した「債務免除」の狙いは何か
最貧国に差し伸べた救済の手か?あるいは高次の戦略に基づく懐柔策なのか?
2022.9.22(木)
塚田 俊三
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71917

『(塚田俊三:立命館アジア太平洋大学客員教授)

 中国の一帯一路は、2013年以来、世界のインフラ市場を席巻してきた。それは、あたかも国有企業を先兵として途上国に送り込み、そのコントラクターとしての戦場での戦いを、後方から国営銀行が支援するかのような連携プレーのなせる業であったといえよう。

 当初、一帯一路は多方面から歓迎されたが、プログラムが進むにつれて、綻びが出始めた。特に問題となったのは、債務の返済である。

「支払期限がきた無利子貸し出し、返済は一切無用」

 中国の国有企業は、できるだけ大きく稼ぐためにプロジェクトを膨らませて提示することが多く、これに伴う途上国の借入金も巨額となった。このため、数年もすると債務の返済に窮する国が続出した。

 深刻な債務危機に直面した途上国は、中国に対し、債務の削減を求めたが、中国側はこれには頑として応ぜず、債務の軽減を図るどころか、むしろ、プロジェクト資産の差し押さえ、さらには、債務の返済に代わる地下資源の譲渡を求めた。

 このような経緯があったことから、「中国の債務の取り立ては厳しい」という評判が途上国の間で広まっていった。

 そうした認識が途上国で共有され始めた中、先月8月18日、中国の王毅外相は、突如アフリカの17カ国に対し、「支払期限がきた23件の無利子貸し付けについては、その債務の返済を一切求めない」と切り出したのだ。

 この発表は、ほかでもない中国が行い、しかもその総額が100億ドルにも達するものであったことから、世界の注目を浴びた。

 債務の減免にはこれまで頑なな態度をとってきた中国が、何故にかくも寛大な施策をとることとしたのであろうか? そこには、何か隠された意図があったのであろうか? あるいは、それは単に、今や世界のスーパーパワーとしての地位を確立した中国は、世界のリーダーとしての責任を自覚し、それに相応しい振舞いを取り始めたということであろうか? 本稿においては、これらの問題を、中国の対外政策において中心的な役割を果たす一帯一路の変遷との関係から見ていきたい。』

『一帯一路の「構造」

 一帯一路は、その導入以来すでに10年を経るが、その性格は徐々に変化してきた。

 当初の狙いは、過剰な生産能力を抱えていた中国国営企業にそのはけ口を海外市場で与え、その活性化を図ることであった。これを受けて国営企業は、大挙して途上国のインフラ市場に乗り込み、手当たり次第にプロジェクトを見つけ、形だけは取り繕い(フィージビリティあり、環境問題無しとしとする等)、これを請負事業として途上国に売り込んでいった。

 その手法は、非援助型の対外経済協力とされる“対外経済合作”によるものであり、具体的には、中国企業が、自らプロジェクトを発掘し、これを基本設計から、建設、引き渡しに至るまで一括して引き受け、完成次第これを途上国に引き渡すとするものであり、その契約上の性格は、中国企業が海外からの発注を受けて行う請負事業である。

ケニアの首都ナイロビと第二の人口を擁する港湾都市モンバサを結ぶ長距離鉄道も中国の一帯一路によって建設され、2017年5月末に開業した。プロジェクトは予定より早く3年半で完成したが、そのコストは類似プロジェクトの3倍となった(写真:AP/アフロ)

ギャラリーページへ

 通常、先進国が実施する経済協力であれば、フィージビリティ・スタディー(S/F)、環境影響評価(EIA)、基本設計等は第三者が実施し、その枠組みの下で、別の事業者がこれを施工するという手筈となるが、中国の対外経済合作では、こういった二段階手続きは踏まず、国営企業がそのすべてを一括して実施する。言い換えれば、S/FやEIA、さらには、基本設計はすべて中国企業が自ら行うので、その内容は自分に都合のいいように決められる(例えば、上記写真キャプションで述べたケニアの長距離鉄道は国立公園(Nairobi National Park)内を通過するが*1、このような路線の建設は、通常の環境影響評価では決して認められないにもかかわらず、中国企業が実施したEIAではこれを良しとした)。

*1 New York Times, August 7, 2022 “Jewel in Corruption – The troubles of Kenya’s China-funded rails”

 中国企業は、この利点を活かし、プロジェクトのサイズを必要以上に膨らましたり、時間のかかる環境対策を省いたりすることができるし、さらには、発注者の要望に応じ、完工時期を早めたり(例えば、次期選挙までに完成させるとか)、建設以外の目的に使用する曖昧な資金を浮かせたりすることもできる(例えば、次回の選挙資金向けとか)。

 途上国政権にとっては、中国企業が提案するプロジェクトは、面倒な調達手続きを要せず、工期も短く、すべて丸抱えでやってもらえるので大変ありがたく、また、いろいろ“お土産”も付いてくるので、できることなら中国企業に発注したいと考える。』

『だが、中国企業のプロジェクトはあくまでも請負ベースで行われるので、その資金を準備しなければ何も始まらない。他方、途上国は、インフラ整備に必要な多額の資金は持ち合わせていない。そこでその旨を中国企業側に伝えると、当該国有企業はすぐに動き、現地大使館に話を繋ぐ。現地大使館には商務部担当のアタッシェが駐在しており、そこから話が本国の商務部に上がり、適切な国営銀行が選ばれることになる(我が国の大使館と違うのは*2、中国はこの現地での相互連携が極めてスムースに行われるということである)。

*2 我が国大使館は、特定の企業をサポートしているとみられることを避けるため、すべてに慎重。

 途上国は、そのインフラ整備を一帯一路の枠組みの中で行うと、資金調達に関して中国の銀行を使う以外の選択肢はなく、またそのローンはタイド(ひも付き)であるという難点はある。だが、もしも世銀やアジア開発銀行(ADB)から借りると、詳細で時間のかかる審査を経る必要があり、加えて厄介なコンディショナリティも付いてくるので、こういった点をすべて省いてくれる中国からの融資は魅力があり、結局はこれを使うことになるのである。

2018年9月、北京で開かれた中国・アフリカ協力フォーラムサミットに併せて、中央アフリカ共和国のトゥアデラ大統領と会見した習近平主席(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
ギャラリーページへ

綻びが出始めた一帯一路

 中国の国有企業と国営銀行の二人三脚で進められる一帯一路は、発足当初は順調な滑り出しを見せたが、数年も経つと問題点がいろいろ出てきた。

 そもそも、一帯一路のプロジェクトは先に述べたように、拙速で準備されたものが多く、実施段階に入るとエンジニアリング上の問題が表面化し、設計の途中変更を余儀なくされ、大幅遅延やコストオーバーランを引き起こすものが増えたのだ。

 また、短期間でのデリバリー(受け渡し)を売り物にして現地政府の受注にこぎつけたこともあり、当該国有企業は、早期完工を目指し、地元対策などには目もくれず、効率優先でことを進める。だから技術者はもちろん、労働者も大量に中国本土から呼び込み、資機材に至ってはほとんど中国本土のものを使用し、現地ではこれを据え付けるだけといった具合で工事を進めた。

 このため、現地には十分な雇用機会をもたらさず、また、資材の現地調達もなかったことから、地域経済界との間で軋轢が生じたり、環境悪化問題等を契機に地域で反対運動が起きたりした事例もあった*3。College of William and Maryの2019年の調べによれば(AidData*4)、一帯一路プロジェクトの35%は、汚職、環境、地域との軋轢等から、実施不能または大幅遅延に陥ったとした。

*3 モンテネグロの高速道路プロジェクトは環境問題を引き起こし、地元の反対にあった。

*4 同大学が中国の165か国、13,427件のプロジェクト融資案件を対象に行った調査結果であり、2021年9月に発表された。』

『一帯一路は、金融面でも問題を起こした。中国の政策銀行からの借入れは必ずしも安くはなく、中国開発銀行から借り入れた場合はその金利は4.5-6%であり、譲渡性が高いといわれる中国輸出入銀行から借りた場合であっても、2-3%である。これら金利は、世銀、ADBや先進国の開発援助機関からの借り入れた場合の1%前後と較べるとかなり高い。

 このように中国からの借り入れ案件は、金額が大きいだけではなく、金利コストも嵩むので、途上国にのしかかる債務負担は重く、数年間の返済猶予期間が終わるや否や、半年毎の均等割賦返済に窮する途上国が多数出始めた。債務の弁済が滞った場合、その取り立ては厳しく、デフォルトに陥ると、中国国営企業はすぐさまプロジェクト資産の接収を開始したり、さらには債務の弁済に代わる地下資源の提供を途上国側に求めたりし、窮地に陥る国が見られた。

 このような厳しい債権回収のやり方をみていて、中国は、“意図的にプロジェクトのサイズを膨らませ、貸せるだけ貸し込んでおいて、途上国を返済不能に追い込み、その上で、途上国の資産や地下資源を取り上げることを最初から目論んでいたのだ”とみる向きすら出てきた(いわゆる“債務の罠”)。

世界中に広がった「債務の罠」に対する警戒感

 このように一帯一路はそれが開始されてから数年も経つと、それが内包していた問題が噴出し始め、これを見ていた現地政府は、プロジェクトの規模の縮小あるいは貸し付け条件の緩和を、さらには債務の棚上げを中国政府に求めた。しかし、中国政府は、最重要の国策機関である国営政策銀行が多額の不良債権を抱えるような事態は何としても避けたいと考え、途上国政府の要請には応じなかった。

 こうした中国の債務救済に対する姿勢は、世銀、IMFが中心となって進めた、Debt Service Suspension Initiative (DSSI)においても表れた。DSSIは、COVID-19の蔓延に伴う債務の増大に直面する最貧途上国に対し、G20諸国が協調してその債務返済義務を一時的に猶予するとするものであり、2020年5月に始まり、その後半年毎に延伸され、2021年12月まで続いた。

 その際に争点となったのは、債務の支払猶予の対象となる公的融資機関の範囲をどこまでとするかという議論であった。中国側は、この範囲を国家国際発展合作署と輸出入銀行に限定し、国営銀行である中国開発銀行は含めないとする立場をとった。世銀、IMFは、中国開発銀行の融資額が国家国際発展合作署や輸出入銀行のそれよりも遥かに大きいことから*5、DSSIの対象機関に中国開発銀行も含めるべきだと主張したが、中国政府は頑としてこれを受け付けなかったのだ。

*5 中国開発銀行の2013年から2018年までの年平均融資額は317億ドルで、輸出入銀行の2013年から2019年の年平均融資額は、217億ドルである。国家国際発展合作署については、それが提供する無利子融資の額は、これら国営銀行の融資額と比較すると遥かに少ない。』

『中国が債務の返済猶予を受け付けなかった理由

 何故に中国がこのような立場をとったのかを理解するためには、これら機関の性格の違いを知る必要がある。国家国際発展合作署は、2018年商務部の海外援助部門から独立して設置された政府機関であるが、それは商務部がそれまで所管してきた無利子融資業務を引き継ぎ、これを継続して実施することを主な業務とした。

 中国輸出入銀行は、途上国に対する中長期資金(15-20年)の提供を主たる業務とするが、その資金には、政府助成が入っていることからその金利は、市場金利よりは低く、2-3%である*6。

*6 輸出入銀行の資金は、次の二つの窓口のいずれかから提供されている。一つは途上国に対する直接融資であり、途上国のsovereign guaranteeの下に提供される。もう一つは、輸出金融の一環として提供されるbuyer creditであり、途上国の国有企業が中国の国営企業から調達する設計施工サービスの支払いに充てられる。

 他方、中国開発銀行は、輸出入銀行と同じく国営の政策銀行とはいえ、その運営は、独立採算制を旨としており、利益を上げることが想定されている。

 その資金はもっぱら内外の資本市場での債券発行により調達しており、このため、高い信用格付けを維持することは極めて重要であり*7、債務の据え置きといった財務状況の悪化につながるような処置を採る余裕は無いのである(ちなみに、中国政府内での中国開発銀行の地位は高く、それは、国務院直轄の機関であり、地位的には大臣レベルであり、他のいかなる大臣の指示も受けない。他方、輸出入銀行は、その業務は国家国際発展合作署の監督の下に行われており、副大臣レベルの機関である)。

*7 S&Pでは“A+ with stable outlook”とされている。

 このように中国開発銀行は、基本的には市場原理に沿って運用されており、業務に対する政府の関与はなく、この点で、他の二つの機関とは大きく異なっており、これが世銀、IMFの要求には応じ得ないとした理由である。』

『なぜ急に債務救済に踏み切ったのか

 ここで冒頭の問いに戻ろう。

 先に述べたとおり、中国の王毅外相は、本年8月18日、中国・アフリカ協力フォーラム閣僚級会議成果実施調整者会議をオンラインベースで開催し、突如、その場において、アフリカの最貧17カ国に対し、無利子融資案件で、2021年末までに弁済期限がきたものについて、債務の弁済をすべて免除すると述べた。

同大臣の発言では、これら17カ国がどこの国か、無利子案件は何かは、明らかにされなかったが、その総額は100億ドルに達すると述べたことから、大きな反響を呼んだ。これは、中国の対外支援政策が大きく変わったことを意味するのであろうか? あるいは、その背後に何か特別な思惑があったからなのであろうか?

 この問いに対する答えは、意外なほど単純である。今回の発表は、一見すると中国の経済支援政策の大きな変更に見えるが、実はそうではなく、従来からの路線を踏襲したに過ぎない。

 中国では、最貧国(low income countries)に対しては無利子融資を提供してきているが、無利子融資については政府機関(以前は商務部、現在は国家国際発展合作署)を通じて提供していることから、従来より、外交上必要とされれば、政府の判断で(二国間協議を通じてではあるが)、特定国に対し、債務の棚上げや帳消しを認めてきた(これが、銀行から提供されている対外経済協力資金である場合は、債務の帳消しは、当該銀行の財務状況の悪化に繋がるので、通常は実施されない。ただ、輸出入銀行の場合、例外的に貸し付け条件の見直し等が行われることはある)。』

『債務免除でも中国の「身銭」は切らず

 このように中国の債務の減免は皆無ではないが*8、今回の発表が、かくも大きな注目を浴びたのは、その債務免除額が大きく、また、かかる措置が各国との事前交渉なしに、しかも、17カ国もの多くの国を対象に一斉に行われたということである。

*8 中国は今回のみならず昨年もアフリカの最貧15カ国に対し、総額1億ドル強の債務救済を行ったが、その金額は今回の発表と較べると極めて小さい。このほか、コンゴ民主共和国に対しても、2021年、0.1億ドルの債務救済を行ったが、それはコンゴ民主共和国との個別交渉を通じて行ったものであった。

 同時にここで注目しておくべきなのは、今回の債務救済措置は、中国側が身銭を一切使うことなく、行われたということである。

 というのは、債務を帳消しにした場合、当然その穴埋めをするためのお金をどこかで見つけなければならないが、中国は、このための資金として、昨年、IMFから“棚ぼた”的に手に入れたSDR(特別引出権)を使うこととしたからである。

 IMFは昨年8月、すべての加盟国を対象に、その持ち分に応じた額のSDRの特別配給を行うことを決定したが、中国のIMFへの出資比率は6.07%であったことから、これに対応する395億ドル相当の特別配分を受けており、それは外為特別会計で眠っていた訳で、今回はそれを使用するというだけのことであるので、特段の痛みは伴わない。

 ただ中国が巧みなのは、上記の債務救済の発表を、日本が、世銀、UNDP、アフリカ連合委員会の協力を得て開催する第8回アフリカ開発会議(本年8月27日、28日の両日)の直前にぶつけてきたことである。』

『我が国としては、今回のアフリカ開発会議を通じて、何とか、援助額では日本をはるかに上回る中国に対して有効な対抗軸を形成したいと考えていた。種々検討した結果、編みだしたのは、中国からの債務漬けで困窮している国に対し、そこからの脱却を手助けするため、もしも、当該途上国が“中国からの融資を再検討”するのであれば、日本のODA資金を提供するという作戦であった。だが、中国は、その機先を制し、同開発会議の直前に外相会議を開催し、その場でアフリカ諸国に対する大幅な債務棚上げを打ち上げた。

 その10日後、我が国は、予定通り、アフリカ開発会議を開催し、法の支配、透明性の確保、国際基準の順守といったいつものきれいごとを並べ立てたが、こういった発言は、実利を重んずるアフリカ諸国にとっては、全く効き目がないだけでなく、むしろ耳障りに聞こえたであろう。

 この点、中国のように、アフリカ諸国に対し、何本の無利子融資を帳消し、その総額は幾らとするといった具体的な提言の方がはるかによく聞いてもらえたであろう。

強権国家陣営vs自由主義陣営、アフリカ諸国は前者に好意的

 実は、中国が今回このような施策を大々的に打ち上げたことの背景にはもう一つ理由がある。

 ご承知の通り、ウクライナ戦争以来、世界は、中国、ロシアを枢軸とする強権国家陣営と、G7諸国を中心とする自由主義陣営とが鋭く対立する構図となったが、世界にはその間で立場を明確にしないグレーゾーン国が多数存在する。ここ2、3カ月の間激しくなってきたのは、このグレーゾーン国に対する2陣営による綱引きであった。今回の中国の債務救済発言は、そのような政治的なコンテクストの中で行われたものであり、それは、明らかにこれらグレーゾーン国を強権国家側に引き寄せることを狙ったものであった。』

『自由主義陣営の目から見れば、同陣営が圧倒的な支持を得ていると考えがちであるが、途上国は我々が思うほど自由主義陣営に傾いていない。

 中国は、アフリカ諸国には、実質的な面で既に圧倒的な食い込みを見せており、それが故、中国のアフリカ諸国における評価は決して悪くはない。アフリカ全域をベースに世論調査を行っている調査機関、アフロバロメーターが、昨年アフリカ34カ国を対象として行った調査によれば、63%が中国を肯定的に評価し、米国のそれ(60%)や国連のそれ(57%)を上回ったとしている。ましてや、アフリカにおいては影の薄い日本は選択肢にも挙がっていない状況であった。

 また、ロシアも、アフリカには、かなりの食い込みを見せており、サハラ砂漠以南の地域では最大の武器供与国であり、また、アフリカの20カ国とは軍事協定を結んでいる*9。このほか、マリ、リビア等の国々に、ロシアの傭兵集団、ワグネル・グループ*10を送り込む等、様々な軍事支援を行っている。

*9 読売新聞8月29日号3面

*10 Wagner Groupは、2014年のクリミア半島侵攻以来その存在が明らかになった傭兵集団であり、プーチン大統領の私的軍事集団であるともいわれている。

より高次の世界戦略として位置づけられる一帯一路

 上記で述べた中国の対応は、一帯一路が新たな段階に入ったことを示している。一帯一路が打ち出されたのは、習近平が国家主席となった第一期(2013-2017年)の期間中であるが、そこでの重点は、国内経済のさらなる発展を促し、これを通じてその権力基盤を強化することにあった。具体的には、先にも述べたとおり、過剰な生産能力を抱える国有企業に対し、そのはけ口を与える、また、外の世界から隔絶した中国北西内陸部に対し中央アジア・欧州につながるland-bridgeを提供することであった。

 習近平政権も第二期(2018-2022年)に入り、その政権基盤が確立すると、同主席は、その思想を、特に歴史観を強く打ち出した*11。同主席は、中国がかつて西欧諸国に踏みにじられたという苦い記憶を踏まえ、“中華民族の偉大なる再興”を国家目標とし、今世紀半ばまでに、経済、政治、軍事のすべての面で世界覇権を確立するとした。

*11 習近平主席は、歴史を好み、また、歴史から学ぶことを重視する。

 勿論、かかる壮大な夢は一夕にして実現するものではなく、まず途上国においてその支配構造を固め、これを踏み台として、世界制覇に向かうとするのが、現実的な方策であろう。この意味で、途上国経済への侵攻を図る一帯一路は、かかる世界戦略を進めるうえで欠かすことのできない重要な布石として位置づけられた。』

『このような戦略の下、一帯一路の援助内容も変化を見せ始め、従来からの“箱もの”インフラ中心から、よりソフトで戦術的な内容のものにかわっていった。具体的には、監視社会実現に必要なデジタル技術の輸出(5G機器や監視カメラ等)、海底ケーブルの敷設等の通信網の整備、スマート・シティの建設、治安当局の能力開発等に重点が移っていった。

54カ国も国連加盟国があるアフリカに積極的に手を差し伸べる中国の意図

 さらに、この段階において明確になったのは、一帯一路が軍事戦略上の重要な手段として用いられるようになったということであり、これと関連したインフラ施設の整備に重点が置かれた。例えば、戦略上重要なシーレーン上にあるジブチ、パキスタン、スリランカ、カンボジア等の港湾への支援が強化され、これら港湾が中国艦隊の寄港可能港として使用できるように整備された*12。さらに、これら港湾に近接する地域に、国際空港の建設が提案され、海空両面からの軍事使用が可能な拠点の整備が目指された。

*12 バースの延伸、水深の増大、岸壁の耐荷重の強化等

 同時に、習近平国家主席は、将来の国際政治は、国連主導型で進められるべきだとの考えを有している。これは一見いかにも公平で民主的なアプローチにみえるが、それは国連加盟国の多くは、途上国であり、これら途上国を中国側に靡かせることは容易であるという打算に基づく提案である。

 だからこそ、中国は54カ国もの国連加盟国があるアフリカ地域に対する支援を強化してきたのであり(勿論、その主な狙いは、地下資源の確保ではあるが)、また、太平洋地域も、そこに15カ国もの主権国家が散在することから、同地域への進出を強化してきている。先に述べた、グレーゾーン国に対する綱引きも、このコンテクストの中でとらえるべきだろう。

 中国の世界制覇への動きは、習近平主席の第3期就任が確定した段階で、さらに加速し、より確固たるものとなり、これを阻もうとする勢力があれば、容赦なく打ちのめそうとするであろう。アジア近隣諸国における地政学的リスクが高まっている現在、我が国は、このような国を隣国に持っているのだということを片時も忘れるべきではなく、反撃力の不断の強化と防衛網の高度化を図ることが必要であろう。小さくとも、俊敏な反撃力を有するが故に、手ごわい相手とみなされるようになることが、我が国が取りうる唯一の有効な牽制策であると言えよう。』

[FT]エクアドル、中国と債務再編で合意 14億ドル軽減

[FT]エクアドル、中国と債務再編で合意 14億ドル軽減
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB214CE0R20C22A9000000/

『南米エクアドルは19日、複数の中国の銀行と債務再編で合意したと発表した。2025年まで14億ドル(約2000億円)相当の返済負担が軽減されるという。中国は金融危機に陥りそうな国の救済に力を入れるようになっている。
エクアドルのラソ大統領(6月、ロサンゼルスでの米州サミット)=ロイター

中道右派のギジェルモ・ラソ大統領が率いるエクアドル政府は中国国家開発銀行との14億ドル、中国輸出入銀行との18億ドル相当の融資契約について再編で合意したと明らかにした。返済期限が先送りされ、金利と償却の負担は軽くなる。

今回の合意で、25年までの返済額は国家開発銀行向けが7億4500万ドル超、輸出入銀行向けは約6億8000万ドル減額される。計約14億ドルの返済負担が除かれる。

エクアドル大統領府は「合意によれば、返済期限は国家開発銀行分が27年まで、輸出入銀行分は32年まで先送りになる。キャッシュフローを政府の優先課題に回すことが可能になる」と説明する。

エクアドル政府は2月から対中債務の再編を模索していた。07~17年に政権を担当した左派のコレア前大統領の時代からの10年間、中国はエクアドルにとって最も重要な金融パートナーであり続けた。
中国からの融資は計180億ドル

中国からの融資はコレア氏の大統領就任から計180億ドル前後にのぼる。高金利にもかかわらず中国に傾斜するエクアドル政府に対し、国内のエコノミストは批判的だった。

中国は近年、各国に救済措置として数百億ドル規模の緊急融資を提供している。米欧が主導する国際通貨基金(IMF)に対抗しているようにもみえる。米ウィリアム・アンド・メアリー大の研究機関エイドデータがまとめた資料によると、パキスタン、スリランカ、アルゼンチンの3カ国に対する中国の救済融資の大きさが目立つ。17年以降に計328億3000万ドルに達した。

エクアドルは6月、燃料や食料の価格高騰に抗議するデモでまひ状態に陥った。ラソ氏はその後、デモを主導する先住民グループと交渉を続けてきた。債務再編で資金を確保できるのはよい材料だ。デモ参加者は社会支出の増額などを求めてきた。

エクアドル政府とは別に、同国の国営石油会社ペトロエクアドルは最近、中国と合意した契約で7億900万ドルの収入を得られるとの見通しを示した。同国の財務相は、ここで得た資金を社会支出にあてると約束した。

「この契約で石油の一部を市場価格で販売できるようになり、エクアドルに追加の利益をもたらす」と財務相は説明した。「これらの資金を使い、大統領は社会投資を一段と強化できる」と話す。
物価高に抗議する市民デモ

ラソ政権は抗議デモに直面しているうえ、議会では少数派で、勢いを失っている。だが、エクアドルの複数のアナリストは、今回の債務再編を同政権の政治的な勝利だと受け止めている。

首都キトの政治リスクコンサルティング会社プロフィタスの創業者、セバスチャン・ウルタド氏は「(債務再編は)前向きな合意だ。国家の役割を果たし、積極財政に転じる重要な政治上の欲求がある」と指摘する。「返済削減の実現は、公共財政の観点から大事だ」とも語る。

エクアドルは中国と自由貿易協定(FTA)を締結する考えだ。12月に開かれる中国と中南米カリブ海諸国とのビジネスサミットまでに実現する構えだ。

ウルタド氏は、債務再編の合意はFTAをにらんだ措置かもしれないとみている。「(中国とのFTAは)容易でないが、いずれにせよ中国との関係が良好だとの事実を物語っている」

By Joe Parkin Daniels

(2022年9月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』