長期戦制す運用巧者 日米好成績ファンドの「哲学」は

長期戦制す運用巧者 日米好成績ファンドの「哲学」は
令和の投信大全(下)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB111TI0R10C22A9000000/

 ※ あえて、「違うこと」を言っておこう…。

 ※ 個人投資家と、機関投資家の違いは、個人投資家は、「投資しない」という選択肢があることだ。

 ※ 機関投資家は、「会社形態」で活動している限り、「投資しない」という選択肢は「無い」…。

 ※ 必ず、いつでも、「顧客から預かった資金」で、「何かしらの銘柄」を売買している(or 先物を売買している)…。

 ※ だから、「下げ相場で負けを抑える」なんて話も、出てくる…。

 ※ 「下げ相場」だったら、「休めば、いい。」だけの話しだ…。

 ※ そして、「資金を寝かせて」「じーっと、チャンスが来るのを待ち続ける。」…。
 ※ それができるのが、「個人」の「特権」だ…。

 ※ それと、当然の話しだが、「投信」は、手数料を取られる…。それも、けっこうな額の手数料を…。

 ※ 「相場の情勢の判断」「売り買いのタイミングの判断」を、「お任せ」するんだから、当然だ…。まあ、「お任せ料」だな…。

 ※ と言うことで、オレは、「投信」が、あまり好きではない…。

『個人投資家の長期の資産形成で有力な選択肢といえる投資信託。中でも運用担当者が投資先の銘柄を選ぶ「アクティブ型」にはファンドごとに様々な特徴がある。10年という長期間、高いリターンをあげたアクティブ型投信の運用哲学に迫った。

国内公募追加型株式投信に関する三菱アセット・ブレインズの集計を基に、10年間の年率リターンでランキング化した。純資産額は1000億円以上とし、価格変動リスクに対して高いリターンをあげられているかを示す「シャープレシオ」が0.8を下回る投信は外した。

首位は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」だった。米アライアンス・バーンスタインのニューヨークの運用チームはまず、経営の効率性を示す総資産利益率(ROA)といった指標に注目し、投資先の候補を絞り込む。その後は指標から離れ、ビジネスの競争優位性などを評価するファンダメンタル分析に臨む。8月末時点では51銘柄を組み入れており、上位銘柄はマイクロソフトやアルファベットなどだ。

下げ相場で負けを抑える

日本法人の岡田章昌運用戦略部長は、長期投資に適しているかどうかは「市場の下落局面に強いかどうかが重要だ」と話す。現在の体制による運用が始まった2012年4月以降でS&P500種株価指数が上昇した月の平均リターンは同指数に比べ105.1%、下落した月の追随率は89.7%だった。「上げ相場で勝つだけでなく下げ相場で負けを抑えられれば長期で強い投信になる」(岡田氏)

2位のゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」は米国のテクノロジー関連企業を中心に投資する。2000年代初頭のITバブルの崩壊で大きな資金流出に直面。ただ、その後も「投信の名前や運用方針を変えずにやってきたことが今の成果につながっている」(担当者)という。

「継続性を何よりも重視し、全体として運用方針が大きく変わらないように工夫している」。米キャピタル・グループの日本法人、キャピタル・インターナショナルの小泉徹也社長は話す。同社の「キャピタル世界株式ファンド」の日本での販売開始は07年だが、本国である米国のファンドの歴史は1973年にさかのぼる。

9人のポートフォリオマネジャーは基本的に同社のアナリスト出身で、それぞれが一定部分を運用するという独特の手法をとる。ポートフォリオマネジャーが1人交代しても、ファンド全体でみた投資方針はほぼ変わらない。
医療・バイオに特化

三菱UFJ国際投信の「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(健次)」の実際の運用は米ウェリントン・マネージメント・カンパニーが担う。投資対象は長期的な成長が見込める米国を中心としたヘルスケア関連銘柄。「ヘルスケア業界の専門家を運用チームに多く抱えるのが特徴」(三菱UFJ国際投信の担当者)という。

「セゾン資産形成の達人ファンド」は外部の運用会社の投信に資金を振り向けるファンド・オブ・ファンズ(FOF)形式の投信だ。景気に左右されずに5年先まで成長を続ける企業に投資するファンドを中心に選んでいる。「企業の成長を1~2年先まで予想するファンドは多いが、5年先となると少ない」(運用責任者の瀬下哲雄氏)
「日本籍」の投信でも投資先は海外株というファンドが増えている(投信のパンフレット)

ここまで紹介してきた投信は国内で購入できる「日本籍」だが、投資先は海外株に集中している。一方、レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」と「ひふみプラス」は日本の成長株が投資先の中心だ。運用チームが「直接企業を訪問し、5年先など長期でみて企業価値が上がると思う会社を見つけてくる」(ファンドマネジャーの佐々木靖人氏)。

中小の場合、大企業と違って証券会社などにも専門のアナリストは少ない。投資判断には増収率なども加味するものの「社長や財務担当者などとの対話がカギ」(佐々木氏)だ。
投信も米1強、世界の半分占める
世界最大の経済大国、米国。投資信託の世界でも米国1強は鮮明だ。米国の3月末時点の投信残高は32.3兆ドル(約4600兆円)と世界全体(67.8兆ドル)の半分を占める。個別投信の残高で見ても上位は米国籍が独占する。確定拠出年金(DC)制度などを通じ長期・積み立て投資をする風土が根付いている。一方、コスト意識の高まりを背景に、パッシブ(インデックス)型や上場投資信託(ETF)も急拡大している。

投資家がいつでも解約できる「オープンエンド型」(ETFも含む)投信の3月末時点の残高で国別トップの米国は、2位のルクセンブルク(6.1兆ドル)を大きく引き離す。8位の日本の14倍もの大きさだ。

個別ファンドで見ても米国は他を圧倒する。8月末の純資産残高が世界最大のアクティブ投信は、米キャピタル・グループの「ザ・グロース・ファンド・オブ・アメリカ」だった。米国の成長株を中心に投資する株式ファンドで、純資産額は約2100億ドルにのぼる。保有銘柄上位には米テスラやマイクロソフト、アルファベットなどが並ぶ。
2位もキャピタル・グループの「アメリカン・バランスド・ファンド」。株式と債券に分散投資するバランス型で、資産の50~75%を成長株や配当株など株式に投じる。債券では投資適格債を組み入れる。運用額上位にはキャピタル・グループのファンドが目立つ。

債券ファンドでは米債券運用大手ピムコの「ピムコ・インカム・ファンド」が5位だ。新興国債券や低格付け債(ハイイールド債)なども含め、世界の幅広い債券の中から投資先を選別し、相対的に高い利子収入を安定的に追求することを目指す。

こうした大型アクティブ投信の中には国内運用会社が日本向け投信として提供していたり、ネット証券経由で投資できたりするものもある。

では、米国の投信はなぜここまで大きくなったのか。日本証券経済研究所の前特任リサーチフェローで、世界の投信市場に詳しい杉田浩治氏は①株価の長期上昇②DCでの普及③販売側の手数料体系――の3つを大きな理由として挙げる。
株式市場の値動きの差は明確だ。米S&P500種株価指数が1999年末から2021年末までに3倍以上になった一方、東証株価指数(TOPIX)の上昇率は16%だ。米国では長期投資が個人資産の増加につながると多くの投資家が実感してきた。
DC制度の整備も早かった。個人退職勘定(IRA)が1974年、企業型DC(401kなど)が81年からスタートし、投信市場に資金が流入した。これらの制度経由で保有する投信は21年末時点で12.6兆ドルにのぼる。

販売側の手数料体系の改革も後押しになった。資産運用の助言をし投信販売で重要な役割を担うフィナンシャルアドバイザー(FA)の手数料は、販売時にとる方式から顧客資産に応じてとる仕組みに徐々に変わっていった。顧客の資産が増えるとFAが受け取る手数料も増えるため、頻繁な売買ではなく投信の長期保有につながっている。

大型アクティブ投信がいくつも存在する米国だが、このところ目立つのはパッシブ投信やETFの普及だ。パッシブ運用の投信とETFの残高は2011年の約2兆ドルから21年は12.5兆ドルになった。米国の株式市場は効率化が進み、アクティブ運用が超過収益を上げづらくなっているという。パッシブ化がどこまで進むかは議論が分かれるが、アクティブ投信に求められるハードルは高まっている。

=おわり

[日経ヴェリタス2022年9月18日号巻頭特集より抜粋]
学頭貴子、ESGエディター 松本裕子、湯浅兼輔が担当した。
日経ヴェリタス https://www.nikkei.com/theme/?dw=20062208 』