売上高純利益率、高い中堅企業は 1位は「手間いらず」

売上高純利益率、高い中堅企業は 1位は「手間いらず」
NEXT Company
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC02CBA0S2A900C2000000/

『日本経済新聞社は売上高300億円以下の中堅上場企業「NEXT Company」を対象に、稼ぐ力を示す売上高純利益率の3年平均を調べた。高い順にランキングしたところ、首位は宿泊施設向け予約管理システムを手掛ける手間いらずだった。デジタル化や先端技術を通じて顧客の生産性向上を支援する企業が上位に目立つ。未知の感染症や地政学リスクといった荒波を背に各社が変革に挑み、高収益の獲得につながっている。

「新型コロナウイルス下で旅行需要は急減したが、当社への引き合いは強いままだ」。手間いらずの渡辺哲男社長はこう力を込める。過去3年の売上高純利益率平均は47%と、コロナ下でも驚異的な数値をたたき出す。その秘密は、宿泊予約サイトを一元管理するソフトにある。

一般に、ホテルが複数の宿泊サイトに登録した場合、どのサイトでどれだけの予約があるのか確認する必要がある。ダブルブッキングや売れ残りは極力回避したいが、全てを管理すると作業が煩雑すぎる。この悩みを解消したのが「サイトコントローラー」と呼ばれるソフトだ。

各サイトの予約状況や在庫数を集約し、一つの画面で管理できる。在庫数に応じて自動で価格を調整するなど、顧客の利益を向上させる機能もある。デジタル化に伴う予約サイトの乱立や訪日観光客の急増を背景に導入が加速した。

コロナ禍に伴う観光客の激減は、手間いらずにとっても強い逆風となった。大きな波を乗り切るため、国内の予約サイトとの接続数を増やすなどの施策を講じ、顧客の裾野を広げる機会になった。

固定費の負担が軽いことも利益面での強みだ。従業員数は30人程度と小規模なほか、ソフトはクラウドで提供するためコストが膨らみにくい特性がある。

手間いらずは渡辺社長が2003年に設立した比較サイト運営企業を前身とする。利用施設数は約4000に達し、市場シェアは3割(同社推定)と国内でトップクラスだ。

今後はコロナ対策の緩和で事業環境が好転しそうだが、課題も横たわる。導入数の増大が処理システムを圧迫しているからだ。開発人材は不足気味で「1年先まで仕事が埋まっている状況」(渡辺社長)という。開発部門の増員や設備投資で機能に磨きをかけ、さらなる成長に備える。

3位のトリケミカル研究所は化学材料を手掛け、売り上げの大半を半導体材料が占める。スマホの高性能化や自動車の電動化などの需要を取り込み、22年1月期の連結純利益は40億円と過去最高を更新した。

コロナ下でも高い利益率を維持したが、道のりは平たんではなかった。半導体需要は堅調だったものの、その分他社との競争が厳しくなったほか、顧客からは一層の微細化を求められるなど要求が厳しくなった。こうした環境を背景に技術を磨き、競争力を向上したことが寄与した。

得意とするのが絶縁膜材料「High-k(ハイケー)」で、世界トップクラスのシェアを誇る。半導体ウエハーに近い一部の層で使われ、回路の線幅が縮小しても電流を通しにくい特性がある。値下げ圧力が働きにくいことも高利益率を支えている。

8位のMS-Japanは弁護士や公認会計士といった「士業」や経理・人事など企業の管理部門に特化した転職支援サービスを扱う。主力は法改正やセミナーなどの情報を発信する自社サイトだ。サイト経由で登録者を獲得し、広告宣伝費などを抑えて高い利益率を保つ。ニッチ市場ながら高いシェアを確保する。

専門人材の不足は深刻で、業界認知度の高い同社には追い風だ。求職者の利便性を高めるべく支援体制を整備しており、より効率的に業績を伸ばす考えだ。

戦略を聞く:エニグモの須田将啓CEO ブランド品EC、世界で勝負
エニグモの須田将啓CEO

エニグモは輸入代行サイト「BUYMA(バイマ)」を運営する。世界168カ国在住の20万人弱の個人がサイトに登録し、現地でブランド品を購入して日本の消費者に販売する。個人間取引のため、店舗販売の輸入品に比べて割安に購入できるのが特徴だ。会員数は7月末に1000万人の大台に乗せた。

須田将啓最高経営責任者(CEO)は博報堂を経て2004年に創業した。米国から輸入されたサーフボードの販売価格が現地に比べ数倍だった点に注目。海外の日本人が現地で購入し、それを国内の消費者に直接販売する仕組みで価格を抑えられると考えた。

22年1月期の取扱高は676億円と3年前から49%増えた。新型コロナウイルス下で巣ごもり消費が拡大している。仲介手数料が主な収益源で、取扱高が増えるほど採算性が高まりやすい。過去3期の売上高純利益率の平均は約29%に達した。

今後の成長戦略に掲げるのが米国を中心とした海外市場の開拓だ。顧客基盤を拡充するため、今期からM&A(合併・買収)や提携などを積極化する。須田CEOは「安定して利益を出せるようになり、グローバルで勝負できるベンチャーを目指す」と意気込む。
直近売上高が300億円以下の上場企業約2000社(決算期変更など除く)が対象。3期分の売上高純利益率を8月時点で算出。いずれかで最終赤字を計上した、ないしは直近に減収だった企業は除いた。

FOCUS注目企業:HYUGA PRIMARY CARE 訪問薬局、コンサルに商機

HYUGA PRIMARY CARE(ヒュウガプライマリケア)は福岡市や首都圏中心に調剤薬局を運営する。柱は薬剤師が患者の自宅に足を運ぶ訪問薬局事業で、依頼があれば24時間365日対応するのが特長。高齢化の進展も支えに業績を伸ばしており、2022年3月期の単独売上高は57億円と3年前に比べて70%増、税引き利益は3億円と20倍超に増えた。

同社は薬剤師で製薬会社に勤めていた黒木哲史社長が07年に設立した。高齢者が自宅でも調剤薬局のサービスを受けられるようにとの思いがあったという。21年12月に東証マザーズ(現グロース)に上場した。

強さの秘訣は同一地域に集中出店する戦略にある。3.5キロの半径を目安に出店し、地域の患者に切れ目なく対応する。通常よりも待合室を狭くする代わりに調剤室を広げ、薬を作る機械や人員などに余裕を持たすなどの工夫も凝らす。顧客ニーズを的確に取り込み、足元の店舗数は38店舗、在宅患者数は約8000人にのぼる。

中期経営計画として25年3月期に売上高90億円以上、経常利益率13%以上との目標を掲げる。訪問薬局事業のさらなる拡大に加え、他の薬局に経営助言するきらりプライム事業の成長がポイントになる。

訪問薬局で培った運営ノウハウや人材研修などを加盟店に提供し、同社は手数料を受け取る。薬局事業のように資産を持たないため収益率が高いのが特徴。3月末時点の加盟店舗数は約1100あり、これを25年3月期までに3000以上に拡大する算段だ。利便性の高いサービスをどれだけ提供できるのかが大きな課題となる。

NEXT Company https://www.nikkei.com/theme/?dw=18C31500

直近決算期の売上高が300億円以下の中堅上場企業約1900社(金融など除く)について、株式市場に成長を期待される企業をさまざまな切り口から探ります。(2022年5月、売上高100億円以下の「NEXT1000」からリニューアルしました)

売上高純利益率、高い中堅企業は 1位は「手間いらず」(18日 18:00)
メタバース、ライブ「触って」堪能 浸透促す中堅企業は(8月28日) 』