台風14号、最強級に急発達 高い海水温・季節風影響か

台風14号、最強級に急発達 高い海水温・季節風影響か
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『台風14号は非常に強い勢力で九州に上陸した。気象庁が「過去に例がないほど危険」とみる台風14号は、予想を上回って過去最強級の勢力へ急発達した。通過した海域の温度が高く、季節風の影響も受けて大量の水蒸気が流入したとみられている。気象庁は新たに宮崎県に大雨特別警報を出し、広い範囲で警戒を呼びかけている。

「住家が倒壊するような猛烈な風、命の危険があるような災害の可能性がある」。18日午後、気象庁の担当者は台風14号が接近した九州地方へ最大限の警戒を求めた。

統計のある1951年以降、上陸時にもっとも中心気圧が低かったのは61年「第2室戸台風」の925ヘクトパスカルで、59年「伊勢湾台風」の929ヘクトパスカルが続く。台風14号の中心気圧は17日、これらを上回る勢力の910ヘクトパスカルになった。

米軍合同台風警報センター(JTWC)は一時、台風14号を最も強い区分の「スーパー台風」に位置づけた。1分間平均の最大風速が毎秒約67メートルを超える規模の台風が該当するという。気象庁の担当者は「当初の予想より発達し、16日の夜から急激に勢力が強まった」と説明する。

予想を上回る急発達をもたらしたのは大量の水蒸気の流入だ。9月は日本の南海上の海面水温が高く、台風が通ってきた海域は28度以上とみられる。温度が高ければ蒸発する水蒸気の量が増えて台風にたえず流れ込み、勢力が衰えにくい。

九州大の川村隆一教授(気候力学)は南西方向からの季節風の影響も挙げる。季節風は例年この時期、強弱を繰り返しながら弱まるが、比較的強く吹いたタイミングが台風14号の接近に重なった。フィリピン近海の大量の水蒸気が台風の反時計回りの風に接続するように流れ込んだ可能性が高いという。

気象庁によると、台風14号の上陸時の中心気圧は935ヘクトパスカルとなり勢力はやや弱まった。しかし速度は時速約20キロと遅く、大きな暴風域を維持したままゆっくり北上する。同庁担当者は「猛烈な風が長時間続く。台風から離れた地域も広範囲で大雨への警戒が必要」と指摘する。

地球温暖化が進む中、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、台風の強さや大きさが増している可能性があると指摘している。国内外の研究機関なども大型化や勢力が強まるとの未来像を示す。気温が高まったり海面水温が上昇したりすると、空気中の水蒸気量が増えて台風が発達しやすい条件が整うという。

IPCCが2021年に発表した第6次評価報告書によると、1分間平均の最大風速が毎秒50メートル以上となるような強い熱帯低気圧の発生の割合は過去40年間で増加した可能性が高い。北西太平洋の熱帯低気圧は、その強度のピークに達する緯度が北方に移っているとしている。

また非常に強い熱帯低気圧の割合と、最も強い熱帯低気圧のピーク時の風速は、地球温暖化の進行に伴い、地球規模で増加すると予測している。

気象庁や文部科学省が20年にまとめたリポート「日本の気候変動2020」は、温暖化が進むと台風が強大化して日本に接近する可能性があると指摘する。世界の平均気温が今後上昇した場合をシミュレーション(模擬実験)すると「スーパー台風の強度で日本にまで達する」という。

リポートは、日本の南の海上で台風が最も発達した場合について、中心気圧が860ヘクトパスカル程度、最大風速が毎秒85~90メートルになる可能性があると指摘した。地球温暖化の進行も踏まえたうえで、勢力の強い台風へ備える必要性が高まっている。

(都市問題エディター 浅沼直樹、矢野摂士、秦明日香)

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