中国が考える台湾圧迫のための封鎖というシナリオ

中国が考える台湾圧迫のための封鎖というシナリオ
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27938

 ※ しかし、そんなことをすれば、国際法的には「ブロケイド(海上封鎖)」と認定されて、「宣戦布告」に準じるものと取り扱われるぞ…。

 ※ 先の、ペロシ訪台に伴う「実弾演習」も、ちょっと「そんな話しが出たとたんに」継続取りやめになったろう…。

 ※ 台湾海峡通過する船舶の「保険料」は、跳ね上がるし、いいことは一つも無い…。
 ※ 自国の利益になるものだったら、ずっと継続しているハズだ…。

『2022年8月25日付のニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が、「中国が台湾を窒息させる方法」と題する記事を掲載し、中国のシナリオは封鎖戦略である、それにはサイバーなどの情報攻撃や海底ケーブルの切断が含まれると分析している。
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 この記事は、

①中国が台湾圧迫のために、あるいは大々的な軍事行動の前哨戦として、封鎖して、台湾を窒息させるシナリオがありうる。

②8月の演習は完全なリハーサルではなかった、実際の封鎖になればグアムや在日米軍基地が攻撃される可能性もある。

③封鎖には目的に応じて強めたり、緩めたりできる柔軟性のメリットがある。

④中国は情報戦を支配しようとする、8月に高雄の新左営駅では構内ディスプレイがハッカー攻撃を受けてペロシ米下院議長を非難するメッセージが映し出された、データ送信が依存する海底ケーブルが切断される可能性もある。

⑤武力示威の常態化は台湾を鈍感にさせ台湾は奇襲攻撃に脆弱になる、示威効果を維持するためにはそれを段々と引上げざるを得ず米中衝突のリスクを孕むことになる。

旨指摘する。なお、この記事には海底ケーブル敷設地図、中間線侵犯軌跡地図など興味深い地図が含まれている。

 NYTの記事は、8月の演習は本格的なリハーサルではなかったと言う。巷間リハーサル論が広くあるなか、興味深い指摘である。本格的行動の際はもっと暴力的になると言う。その時には今回使用の対地ミサイルではなく、先進的な対艦、対空ミサイルを使うだろうと述べる。

 いずれにせよ、中国が台湾に軍事的圧迫を始める場合、封鎖が最初の戦略になる可能性が高くなっているということであろう。昨年2月に、米国専門家(ブラックウィルとゼリコウ)が挙げた三つのシナリオは、

? 南シナ海の太平島等周辺地域への侵攻
? 本島の隔離(緩い封鎖)
? 本島への侵攻

であった。しかし、今や中国は、? のような迂遠なシナリオには関心を持っていないのではないか。中国が香港統一やウクライナ戦争から学んだ教訓は、実力で台湾を支配する場合は一挙に大型の短期決戦をせねばならないと考えているのではないだろうか。』

『今の中国のシナリオは、台湾圧迫のための封鎖、すなわち本島侵攻の前哨戦としての封鎖の可能性が高いと思われる。その意味でここ1、2年の台湾海峡情勢は一層深刻になっている。この記事が指摘するような強力な封鎖戦略は大いにあり得るシナリオだろう。

西側諸国と日本がすべきこと

 かかる事態への西側諸国の対応は、外交と抑止力強化になる。相手の軍事力・軍事行動の強化に対しては、抑止力のバランスで対応していく他ない。力のバランスがなければ外交はなお難しい。台湾問題は段々そういう厳しい現実になっている。

 具体的には、台湾の防衛力強化、西側同盟の緊密化、台湾防衛力への米国の支援強化が重要となろう。米国政府は、9月2日、総額11億ドルの台湾への武器売却を決め、米議会に通知したと発表した。台湾関係法に沿って、対艦ミサイル「ハープーン」や空対空ミサイル「サイドワインダー」、早期警戒レーダーなどを売却すると言われている。

 日本としては、「台湾の有事は日本の有事、さらに日米同盟の有事」との視点から、尖閣諸島を含む南西先島諸島の防衛強化、イージス・アショアの凍結後の対応を含む日米同盟の強化等、一つ一つ取り組む必要があるだろう。本年中に取りまとめる予定の国家安全保障戦略等の文書にも盛り込まれるだろうが、着実に日本の防衛力強化、すなわち抑止力の向上を進める以外にない。防衛費のみの議論にとどまらず、戦略的観点から物事を行うことを望むばかりである。』